野老の里

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武蔵野の記憶 小ネタ 西武バスのIC一日乗車券を使ってみた

2017年08月29日 | 武蔵野の記憶
あるとき、西武観光バスの秩父地区路線を調べるために西武バスのHPを見ていたら一日乗車券の文字が目に入った。「1Day Pass(IC一日乗車券)」と呼ばれるもので、残念ながら秩父地区では使えないものの、それ以外では大宮でも飯能でも東京都内でも西武バスに一日乗り放題になる。西武バスの路線図を見てみると、所沢からだと大宮へは一本で行けるのはもちろんのこと、東京や飯能へも乗り継けば他の交通機関を使うことなく行くことができるようだ。時間があれば一度使ってみたいものだと考えていた。

8月の最後の日曜日。長雨が一段落し、久しぶりに山歩きに行けそうだった。そこで新調した雨具などを入れ、準備万端整えていたのだが、当日起きてみたら2時間の遅刻。春や秋ならどこか別の山に行くことも考えるのだが、夏場は暑さを考えると早出が基本。泣く泣く山歩きは諦めることにした。家の用事を済ませ、時計を見るとまだ午後1時前。天気も一日保ちそうなので、気になっていた1Day Passを使って出かけることにした。行き先をどうしようかと考えた末、飯能方面を目指すことにした。大宮へは所沢から一本で行けて、事実何度もこれまでに利用しているし、東京方面も清瀬に出てしまえば比較的容易に乗り継げる。難しいのは飯能方面だ。入間市駅から青梅を経由して飯能へ入る路線と狭山市駅から直接飯能へ入る路線の二つがあるのだが、どちらの駅も所沢からはバスで直接行くことができない。とりあえず川越に出れば狭山市方面へ出ることが可能なようなので、まずは川越まで行くことにした。

ボクは普段最寄り駅として小手指と新所沢を使っている。川越へは新所沢駅から出ている本川越駅行きに乗るのが便利だ。1Day PassはSuicaやPasmoなどのICカードでしか利用できないので、事前に620円分は少なくともチャージしておく必要がある。本川越駅行きのバスは三富新田の一つである所沢市の下富地区、さらに狭山市の上赤坂地区、川越市の今福地区などの雑木林と農地に囲まれた農村地帯を抜けていく。以前歩いた懐かしの不老川を渡るとだんだんと川越市の中心街へと入っていく。国道16号が横切る新宿(あらじゅく)町に入った辺りから渋滞が酷くなってきた。自宅から川越駅へ行くにはこのバスは便利なのだが、この渋滞だけはいつも問題になる。結局バスと電車を乗り継いで本川越駅まで行き、川越駅まで歩いたほうが早いのだ。それでも川越駅前のバスターミナルが整備されてからはいくらか渋滞が緩和されたようにも感じる。川越駅西口を過ぎ、人通りの多い終点の本川越駅に着く。1Day Passの購入は下車時にICカードを読み取り機にかざす前に1Day Passを購入したい旨を運転手さんに伝えればよい。駅前にあったイトーヨーカ堂は更地となり、また駅に西口が新しく出来たことで大分景色も変わってしまった。バスターミナルにある路線図を見ると川越駅西口から新狭山駅へと向かうバスがあるようだ。新狭山駅から狭山市駅へもバス路線が繋がっているようなので、これを使うために通り過ぎた川越駅へと戻る。人通りの多いクレアモールを避け、裏通りを行くと丸広百貨店の屋上にある小さな観覧車が見える。幼い頃、母に連れられて川越にやって来たときに屋上で遊んだ記憶はあるのだが、観覧車に乗ったことはあったかな…?開かずの踏切と揶揄される川越駅側の踏切を渡り、少し歩けばデッキが整備されてすっきりとした西口に着く。

(川越駅西口)

川越駅は東口が東武バス、西口が西武バスのターミナルになっている。新狭山駅行きのバス停は西口を出て左手にある。かつて新所沢駅行きが出ていた所だ。誰もいないバス停にある時刻表を見て愕然とする。なんと日曜日は新狭山駅行きの設定が全くないのだ。そういえばテレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z 第2弾」でも日曜日はバスがないような話をしていた記憶がある。さてどうするか。駅前の路線図を見ると川越市のかすみ野へ行けば、新狭山駅行きに乗り継ぐことができるようだ。川越を往復するだけでもバス代は十分元が取れるのだが、時間がまだ早いのでかすみ野へ行ってみることにする。バス停は駅から一番離れた所にあり、新所沢駅行きとの共同使用になっている。結構並んでいる人が多く、一番後ろに並んだボクは座ることができなかった。バスは川越市の中心市街地を抜け、やがて水田地帯に出る。同じ農村地帯でも所沢・狭山と異なり、雑木林のない開けた水田が広がるのが川越市の特徴の一つだ。かつて仕事でよく行った川越の合同庁舎を過ぎると尚美学園大学の前を通りすぎる。ここまでが広い道で、その先は住宅地の細道を延々と北へ進む。新狭山駅は南西方面なので、随分と遠回りすることになりそうだ。入間川を渡る辺りで広い幹線道路となり、東京国際大学を過ぎると川越市の的場地区に入る。JR川越線的場駅が近くにあり、住宅地というよりは工場や倉庫が結構目立つ。山伝(さんでん)バス停を過ぎるとバスは幹線道路を外れてかすみ野の住宅地へと入っていく。道が綺麗に整備された住宅地でかつてニュータウンとして売り出されたものなのだろう。やがて折り返し場のような所が見えてくるとそこが終点のかすみ野バス停であった。予想はしていたが、バスの滞留所すらない終点だとは思わなかった。バス停へ降りるが、看板には新狭山駅行きの設定はない。何処から乗ったらよいのだろう?折り返し場に入るともう一つバス停の看板があり、そこが新狭山駅行きのバス停であった。時刻表を見ると本数もそれなりにあるようだ。これで一安心。

(かすみ野バス停の折り返し場 新狭山駅へは左奥へ、川越駅・笠幡駅へは右へとバスが行く)

バスを待つ間、バス停の看板を眺めていて一つのことに気付く。ボクは新狭山駅へ出た後、ローカル路線バス乗り継ぎの旅で田中要次さんと羽田圭介さんが行ったのとは逆の方法、つまり新狭山駅から狭山台まで歩いて狭山市駅へと行く予定だった。しかし新狭山駅行きのバスは途中柏原ニュータウンへ寄り道するので、そこで狭山市駅行きのバスへ乗り継ぐことができるのだ。バス旅である以上、極力歩きは避けたい。狭山市駅は狭山市の中心街にあるので、本数もそれなりあるだろう。決めた。柏原ニュータウンで降りよう。やって来た新狭山駅行きのバスに乗り込むと一旦いるまがわ大橋の手前まで行く。そこから川沿いに進むと西武文理大学近くの柏原ニュータウンバス停に着く。あとで地図を見てみるとかすみ野からさほど遠くなかったようで、バスはわざわざ遠回りするようにコース設定されていた。住宅街の中にある点ではかすみ野バス停と変わらないが、こちらにはバスの滞留所が設けられ、バス停には雨避けの屋根とベンチが置かれている。時刻表を見るとやはり予想通り本数は多い。近くの公園で時間を潰しているといつの間にか狭山市駅行きのバスがやって来ていた。出発時間は過ぎていたのだが、運転手さんが何やら話し込んでいたので寸でのところで間に合った。

(柏原ニュータウンバス停 トイレはないが自販機はある)

狭山市駅行きのバスは新狭山駅行きと異なり、いるまがわ大橋を渡らずに入間川沿いに進む。新富士見橋を渡ると狭山市の中心市街地に入る。どことなくお隣の入間市と中心市街地の雰囲気が似ている感じがする。七夕まつりが行われる七夕通り商店街を抜け、霞野坂を登ると狭山市駅前のバスターミナルだ。高台に駅があることも入間市と似ているが、大きな違いは綺麗な市民交流センターがすぐそばにあることだろう。10年ほど前はよく仕事で訪れていた駅なのだが、当時はもっと古ぼけた駅だったのでこの変化には驚いた。路線図を見るとこれから向かう予定の入間市駅のほかに飯能駅への直通便もある。但し本数は少ない。最終便は18時台で、飯能駅からの折り返し便は19時台の設定となっているらしい。もっと時間が早ければ、入間市・河辺・東青梅を経て飯能駅から狭山市駅へと戻ってくることも十分に可能だろう。狭山市駅と入間市駅との間を結ぶ便は今日乗った路線の中でも一番本数が多い。市民交流センターでトイレを借りている内にバス停には列が出来ていた。入間市駅周辺に住んでいる人が西武新宿線にアクセスするのに便利なので、その分利用する人も多いのだろう。

(狭山市駅 この駅ビルの向かいに市民交流センターがある)

狭山市駅からは国道16号を使って入間市駅へと向かう。入間市駅に近づくと見覚えのある景色が現れる。以前「入間川を歩く」という企画をやったときに見かけたハケの下を通っていたのだ。バスは国道463号に入り、丸広百貨店の入間店脇の坂道を登りきると見慣れた入間市駅に着く。狭山市駅に比べるとやや古びた感はあるが、三井アウトレットパーク入間ができたことで土日の駅利用者はかなり多い。駅前のバスターミナルからは大きく分けて狭山市駅行き・アウトレット行き・河辺駅行きのバスが出ている。念のため河辺駅行きの時刻表を見てみるとほぼ一時間に一本が確保されていた。霞川沿いに道路が整備されているとはいえ、JR八高線・青梅線にアクセスできるというのはなかなか凄いことではないかと思う。もう16時を回っていたので河辺駅へは向かわずに所沢方面へ戻ることにした。問題はどうやって戻るかだ。入間市駅からはアウトレットを経由して箱根ヶ崎駅へ向かう便があり、更に箱根ヶ崎駅から小手指駅へのバスもある。しかし小手指へのバスは朝の一便しかないからこれは使い物にならない。一番現実的なのはアウトレット経由の入間市博物館行きあるいは二本木地蔵行きに乗り、北中野バス停で降りて、そこから小手指駅行きのバスが出ている宮寺西バス停まで歩くことだ。幸い「不老川 狭山池から権現橋」という企画でこの付近は歩いたことがある。20分もあれば北中野バス停から宮寺西バス停へ着くはずだ。

(入間市駅 写っているバスは河辺駅行きで利用者は多い)

バス停はアウトレット行きのものと同じ所にあり、入間市博物館行きが来るまでの間にアウトレット行きのバスを2本見送った。16時を回っているにもかかわらず大勢の若い人たちが乗り込んでいくのにはちょっと驚いた。ボクもアウトレットにあるモンベルショップはよく利用しているのだが、こんなにも集客力のある施設だとは思わなかった。どうも感性がずれているのだろう。博物館行きのバスはアウトレット以外の乗客も多く、学生さんやお年寄りの姿が目立つ。映画館などがある中心市街地を抜けると扇町屋と呼ばれる細い商店街を抜けていく。かつては栄えていたのであろうと思わせる古い商店が多い。扇町屋地区を抜けると国道16号に入る。扇町屋と比べると国道沿いは大型店舗が立ち並び面白味がないのだが、住んでいる人達にとってはむしろ利用しやすいのだろう。アウトレットで降りたのは一組のカップルだけで、それ以外は皆地元の人だったようだ。北中野バス停に着くと降りたのはボク一人。住宅地ではあるが、南のほうに目をやると狭山丘陵の雑木林も見える。宮寺西バス停への道は全くわからないので、スマホの地図アプリを使ってナビどおりに進んでみることにした。ナビはバス停手前のマクドナルド脇から入り、細道をくねくねと進む。狭山丘陵に近づいていることはわかるのだが、どの辺りを歩いているのはよくわからない。犬の訓練所が見えてきた所でここが以前不老川を歩いたときの未成線の辺りであることがわかった。宮寺西まではあと少しのはずなのだが、ナビどおりに進むと道が無い。夕方私道らしき所に入るのは躊躇われたので、ぐるっと畑を迂回し、道が二手に分岐する地点に出る。南にある道がバス通りで、宮寺西バス停は瑞穂町方面へ少し進んだ所にある。バス停の周りは民家と畑だけだが、ちょっと奥にはバスの車庫がある。一応終点のような扱いとなっているのだが、瑞穂町方面へ向かって箱根ヶ崎駅行きと金子駅行きが延びているため、かすみ野バス停と比べても中途半端な感じを受ける。

(宮寺西バス停 狭山丘陵がよく見える)

車庫から出てきた始発に乗り込み小手指駅へ向かう。途中早稲田大学と芸術高校付近を通るせいか、若い子たちが大勢乗り込んでくる。三ケ島地区を過ぎるとバスは細道に入る。北野の運動場前を通るなど見覚えのある道を通っていく。やはり以前歩いた誓詞橋付近を通ると見慣れた小手指の街だ。駅に着いたのは17時半を回った頃。4時間半をかけて川越・狭山・入間と回ったことになる。そのうち待ち時間が一時間半くらいあったから本数が少ないとどうしても余分に時間がかかってしまう。逆に本数が多い東京方面であれば途中下車するなどの乗り放題乗車券を活かした旅ができそうだ。山に行けないときは1Day Passを使った東京方面へのバス旅を楽しめそうだなと改めて思った。


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