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僕が立っているここはきっと誰かの願ってる場所で
誰かが立っている場所がきっと僕の望む場所で
RADWIMPS「夢番地」
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どうもこんにちは、1年間主将を務めました石田です。
引退ブログ大変遅くなりました。ごめんなさい。3週間ぐらい経てば言いたいこともまとまると思ったんですけどね。まとまらないままずるずるときてしまいました。
先に言っとくと、一人一人にメッセージを伝えるパートはないです。ごめんなさい。(ああいうの書くの苦手なんです…)気が向いたら部誌の卒業部員寄稿で書きます。どうしてもメッセージが欲しい人は僕に直接言うか、LINEください。
先日行われた七大戦東京大会を最後に引退します。本当に応援ありがとうございました。
まず、菊地後援会長、大森総監督、高橋元師範、湯田先生、伊藤元監督、及川監督、中川メディカルコーチ、大久先生をはじめ、ご指導・ご支援くださった皆様に多大な御礼を申し上げます。また、働きながらも練習に来てくださったOB・OGの方々、在学OBの方々も本当にありがとうございました。僕たちが1年間様々な経験ができ、それを経て成長できたのは間違いなく皆様のおかげです。
皆様一人一人感謝の言葉を伝えたいところですが、及川さんには特に感謝しています。僕ら幹部を間近で支えてくださいました。コロナ禍で断絶された柔道部の伝統を伝えてくださり、僕たち幹部がどう動くべきかについて考えるきっかけを与えてくださいました。その上で僕たちがやりたいと言った新しい試みを一緒に考え、見守ってくださいました。本当にありがとうございました。
加えて、春休みに柔道部の出稽古を受け入れてくださったカルペディエム仙台の渡辺代表、インストラクターの永尾君もありがとうございました。4年の2月から通い始め、4月以降は個人的に通っており、最後の最後で寝技の技術をかなりステップアップすることができたと思います。柔術に人生を賭けてる人たちと一緒に練習できたことは自分にとってもかなり刺激になりました。
今回七大戦を主催してくださった東京大学の皆様、ありがとうございました。本当に良い大会運営だったと思います。そして、七大戦本戦で戦った九州大学の選手たち・東京大学の選手たち、両大学の監督・コーチ・マネージャーの皆様もありがとうございました。負けたのは悔しいけど、自分の弱いところ、失敗したところについて気づかさせてもらいました。北大の選手の皆さん、おめでとうございます。東大と九大どちらも倒されたら文句ないですね。本当に強かった。
さて、思えば去年度の七大戦で北海道大学に負けたことが僕の出発地点でした。ちゃんと練習してきて、自信を持って臨んだ最初の七大戦(しかも仙台大会)で負けた、これがスタートだったわけです。その時僕が考えたのが、「この戦力で準優勝のチームなのであれば、大きな戦力が抜ける、かつ人数不足の次のチームが今までと同じ練習をしていったら絶対優勝できないだろうな」ということでした。石田の代では今までにない、新しいこと・練習を多く取り入れたのですが、それは一年前に北大に負けた経験が元になってるわけです。
そして七大戦、男女ともに負けましたね。僕たちは、まずはこれを「失敗」だったと認めなければなりません。それは、優勝を目指して練習してきて、初戦で敗退、続く東大線でも敗退したのだから当然です。どんなにチームの雰囲気が良かろうが、どんなに発揮できなかった実力があろうが、勝てなければチームとして(あるいは、それを率いてきた主将として)「失敗」です。
ただ、ネガティブになる必要はないと思います。耳にタコができるほどよく聞く文言ですが「失敗は成長のもと」だからです。より正確には「失敗『を認めること』は成長のもと」だと思います。失敗を「失敗」と認めた瞬間、それは改善されるべきものになります。そして改善を経てその失敗を乗り越えることが「成長」になるわけです。それを繰り返すといずれ成功になります。厳しい話ですが「頑張ったから仕方ない」とか言ってるやつに勝利はないわけです。いくら失敗しても、認めなければそこに改善も成長もないので。今回の七大戦での負けを認めて、改善点を洗い出して、手っ取り早く改善する。それが優勝への一番近い道だろうと思います(それは次の代に任さざるを得ないわけですが。でも、去年やってきたことの反省一覧ぐらいは文書にまとめて提出しようと思ってます、ちょっと待っててね)。
柔道選手としての石田を振り返ってみましょう。石田を一言で表すと、「つえーけどパッとしない」と言った感じじゃないでしょうか。菊地ほど正対に振り切っているわけでもないし、辰之進ほど体格とパワーがあるわけでもない。立ちはできないこともないが、吉本ほどテクニカルではないし、北大の國次や藤井ほどではない、微妙な立ち位置にいたと思います。これ、実は中高からそうなんですよね。割といろんなことできるけど、なんかパッとしない、器用貧乏タイプなのです。正直センスがない。
だからこそ(?)、練習時間と練習の質だけは誰にも負けないことは意識していました。できるだけ早く道場に来て、怪我防止とパフォーマンスアップのための自主アップをして、考えながら練習して、怪我して練習が止まらないようにストレッチもちゃんとやって、主将になる前は毎日研究で質問して、マネージャーが撮ってくれた動画見て、柔道ノート作ってダメだったところと改善点書き出して、自分で柔術の本や動画買って勉強して、睡眠と食事にも気を使って…。センスがないならその分強くなってやろうって考えですね。
ただ、それも妥協が多かった。ゼミの発表があるからと言ってはカルぺをサボり、就活があるからといって柔道に向き合うことをサボった。あるいはゴロゴロしてスマホに入り浸っていることも多かった。簡単に言えば「自分に負けた」んですね。これは自分の人生としての学びでもあります。向き合うべき目標があるにも関わらず、目を背け続け(あるいは目線が散らばり続け)、そして失敗した。当たり前のことですが、その動画を見たりゲームをしている時間で練習して、学んでいる奴がいる。改めて気づくことができました。
代表戦で岡本に負けた理由もここにあると思います。彼は自分の時間のほとんどをかけて柔術と柔道に向き合った。そこから逃げなかった(あんまりこういう言葉を使うのは好きじゃないけど)「本気度」とそれに伴う「自信」の差がでた試合だったと思います。
(夏頃にカルぺに行ったすがゆーが2月にはすでに追いつけない存在になっていたのも然り。)
主将としての石田も振り返ってみましょう。
単刀直入に言えば、勉強不足でした。というのもそもそも、「主将とは何か」というものが曖昧だったんですね。貴重な1年間のうち、多くの時間を「なんとなく」で主将をしていました。自分の背中を見せてチームを率いているつもりになっていたけど、実際は部員個人の目標もかなり曖昧で任せっきりでした。新しいこともいっぱいやってみたけど、なんとなく場当たり的で、改善も少なかったように思います。優勝するチームを作るとか言っといて、学ぶべきことを学んでなかったわけです。
最近になってやっと、主将がやることは「目標を決めて、戦略をたてて、マネジメントすることだ」という解答に行き着きました。簡単に言えば、「到着地点を決めて、到着地点までの歩く道のりを考えて、その道を効果的にチームに歩ませる」になると思います。具体的に、柔道部のチーム運営に落とし込んでみましょう。
「目標を決める」はもちろん七大戦優勝になるわけですが、それだけだったら主将は要りません。具体的にチームがどんな状態になったらいいのか、そのためには各部員がどんな状態になったらいいのか、それはより具体的に何を練習の中で達成したらいいのか、そのためにはどんな練習をどのくらいやればいいのか、このくらい具体的に定義できて「目標設定」です。
「戦略を立てる」はつまり、取捨選択です。現実的に考えて、僕たちには無限に時間があるわけでもないし、金があるわけでもない。その状況で、まずどんな選択肢があるのか、そしてその中から何を重点的にすれば勝ちに近づくのか、逆に何を捨てていいのか。この決断をチームの状況を見ながらするのが主将というポジションだと思います。
「マネジメントをする」は、二つのパートがあると思っています。一つは部員が集中できる環境を作ること。もう一つは結果を見ながら改善することです。集中できる環境を作るには、各部員の目標を明確にすることと、雰囲気を作るための仕組みを作ることが大事だと思います。結果を見ながら改善することはいわゆるPDCAってやつです。決めた目標と現状がどれくらいずれていて、それを埋めるためには何をすればいいか考えて、実行する。また評価する…ってサイクルです。(ちなみに、石田主将はこの「改善する」が一番できてなかったと思う)
まあ、これ全部僕ができなかったことなんですけどね。偉そうなこと言うなって話です。ただ、これらは全部僕の人生の学びでもありますし、おそらく今後の主将に少しぐらいは役に立ってくれると思います。(本当はもっと伝えたいことがあるけど、他大学も見てそうなのでこれ以上は企業秘密にします。残念だったな)
七大戦直後の慰労会では、「勉強してください」と言う話をしました。これについてちょっと補足させてください。
僕は強くなるために必要なことは何か、と問われれば「学こと」だと考えています。「強くなりたくば喰らえ」ならぬ、「強くなりたくば学べ」と言うわけですね。
例え話をしましょう。おそらくみなさんは熾烈な受験戦争を生き抜いてきたと思うので、受験で例えます。2人の受験生A君、B君をイメージしてください。2人は半年後に東北大の数学を受験しなければなりません(東北大に数学単品受験はありませんが、まあ例えなので許して)。2人のレベルは教科書を終えた程度。現時点では能力に差がないとします。2人は以下の戦略で半年間を過ごし試験に臨みました。
A:東北大の数学は難しくてよくわからないけど、とりあえず過去問を毎日いっぱい解く。○×はつけるけど、解答解説を見るのは週に一回。解き直し、自分の解答の見直しはしない。
B:東北大の数学は難しくてよくわからないけど、青チャートっていう受験用の解説書があるらしい。過去問に触れつつ、まずは青チャートを一周終わらす。過去問でxになったところは必ず解説を見るようにする。随時青チャートと過去問を照らし合わせながら、学習漏れを把握。それを元に解答の見直し・解き直しをする。
まあ半分誘導尋問ですけど、多分B君のほうがいい点取りそうですよね。
これが柔道になるとみんな急にできなくなる。練習してるのに成果が出ないって言ってる奴が、柔術の教則を一個も見てない。食べてるのに体重が増えないって言ってる奴が栄養学や、睡眠の時間や質に対して無関心。と言うことがままあるわけです。これは本当に勿体無い。やってるのに成果が出ないので、「じゃあ練習って意味ないんだ」と言う思考になりかねません。
あえて言おう、そんなわけないだろお前の勉強不足だ。わからないことがあったら本屋に行きましょう。駅前の丸善に行けば君がウジウジ悩んでることを何冊もの本が解決しています。柔術の本も多くなってきてるし、ネットを見れば有料の質のいい講習ビデオや、YouTubeのテクニック動画が無限にあります。勉強しましょう。
ただし、量をやらなくて良いと言う話ではありません。量をやるなんて言うのは強くなりたかったら前提条件です。その上で最高の結果を出したかったら勉強したほうがいいよって言う話なので。厳しい話ですが、「勝つ」っていうのはそういうことです。
全体的にちょっとジメジメした話になってしまいました。前にえりが「ずっと練習に行ってないと病む」的なことを言ってましたが、あながち笑えないかもしれません。明日の土曜日練習行こっと。
最後に七帝柔道と東北大の今後について、個人的に思っていることを語らせてください。めちゃくちゃ偏見で、めちゃくちゃ生意気なこと言います。あくまで石田としての個人の感想なので、ご承知ください。
七帝柔道は現状、「強い奴がいっぱいいるチームが勝つ」状態だと思っています。より具体的には体重が重いやつが多かったり、小中高と立ちの柔道をやってきた部員が多いチームが勝つ状態です。ここで大事なことは「強くなったやつがいっぱいいるチーム」が少ないことです。もちろん、各大学あるいは諸先輩方の努力を否定するつもりは毛頭ありません。ただ、現状七帝柔道の強いやつを見渡すと、明らかに柔道経験者が多い現状があると思います。
しかし、これも維持が難しくなってきました。主な原因としては柔道人口の大幅な減少があるでしょう。特に旧帝大に入るようなレベルの高校では、10〜20年前には部員が10名20名いたけど、今は廃部になっているなんて言うところも少なくないはずです。今までは新歓してれば柔道経験者がいっぱい入ってきて、きつい練習すればかなりいいチームが作れていました。柔道の衰退が著しいこれからは柔道経験者がどんどん少なくなり、初心者をどう育てるかの方が必要性が高まってくと考えています。
するとどうなるか。これからの七帝柔道は「強くないやつを強くする仕組み」、すなわち「『強くなったやつがいっぱいいるチーム』を作る仕組み」を作ったとこから優勝していくはずです。なぜなら、先ほど説明した通り、今まで強い奴と言われていた人が減って、そこに初心者や柔道復帰者が入ってくるからです。そして、その仕組みがあるとすればそれは今までの練習形態とかなり違うものになるはずです。
長い話でごめんなさい。つまり何が言いたいか。東北大柔道部は今後の七帝柔道の中でかなり有利な素質があると思います。もともと初心者も始めやすい寝技を大切にしてきた組織ですし、その技術継承も(コロナで途絶えたとはいえ)かなり綿密に行われてきました。そして、今の一年生は初心者が主体のチームです。初心者をどう育てるかを真剣に考えることができます。今後の七帝で勝てる土壌は十分に揃っています。あとは今後勝つための知識を積み上げ、新しい仕組みを作り、勝つだけです。(まあ、それが一番難しいし、きついのかもしれないけど。でも、練習を変えてくという土壌は作ったつもりです)
これができるのは、初日敗退を経験して失うものがない今だけだと思います。しかも女子柔道部に至っては、ここから全く新しいチームを作ることができます。男女とも、やり方によっては、1981年〜1990年の京都大学の10連覇や、それ以上のようなことができると思うのです。
だからあえて言おう東北大柔道部の黄金期はここからだ
僕は本気で信じています。
僕はこれからビジネスの世界に行って、七帝で負けた悔しさを胸に、九大や東大や、優勝した北大の奴らに一泡吹かせてやるために這い上がってやろうと思います。一緒に頑張りましょう。
七帝柔道と出会えて、同期と出会えて、先輩方と出会えて、後輩たちと出会えて、他大の選手に出会えて、柔道部を応援してくれる人に出会えて本当に幸せでした。ありがとうございました。
部ログ書くのも最後ですね。
ではでは
(元)主将 石田善史
主将、本当に格好良かった