
『日本サッカー スカウティング127選手 -世界基準で見る本当の実力-』
ミケル・エチャリ 小宮良之
2013年・東邦出版
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「エチャリのような人物がいてくれたおかげで、プロの道が拓けた」―――シャビ・アロンソ
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また、この科白を言ってるのが、シャビ・アロンソってとこがいいよね。
シャビ・エルナンデス(バルセロナ)も勿論、素晴らしいけどさ。
間違いなくスペシャルなんだけど、素人が一見しただけじゃそのスペシャルさが伝わらないほうの”シャビ”であるシャビ・アロンソが
「俺を見出してくれてありがとう」
と。
そこがイイ。
エチャリさんの慧眼を表す、見事な紹介文です。
この本は去年の7月に出版されたんだけど、面白くて面白くて、7月いっぱい俺の鞄に毎日入ってました。
この本が出たとき、俺はまだコンフェデレーションズ・カップの3連敗から立ち直ってなかったので・・・、
これを読んで、
あ!
エチャリさん、ついこないだ終わったばっかのコンフェデまでフォローしてる!と。
(さすがに、コンフェデは短評だけどね)
えーっと、いつも余計なことばっかり喋ってる間に長く長くなってしまうので、
すごく端的にこの本の魅力を述べます。
例えば、ここに森本貴幸という選手がいる。
日本では珍しい本格派のストライカーで、俺なんかはずっと
「日本代表を背負って立つ」
と思っていた。
いや、当時は皆思ってたはずだ。
サッカーファンには説明不要だけど、一応、簡単に書いておくと。
現在、25歳。
エチャリさんがこの本を出した時点ではUAEのアル・ナスルに所属していた。
東京ヴェルディに所属していた2004年には中学生(!!!)ながら、アウェイの磐田戦で公式戦デビュー。
その2ヶ月後には15歳11ヶ月のJ最年少ゴールをマーク。
16歳、史上最年少でJ最優秀新人賞を受賞。
数々の歴史を打ちたて、セリエAカターニャへ移籍。
2008-09シーズンにはセリエAで7ゴール!
確かこの頃だったと思うけど、あのアズーリの伊達男、フィリポ・インザーギが
「モリモトはすぐに、セリエAで年間10ゴールあげるプレイヤーになるだろう」
言うてはりました。
何?このサングラス・・・。
当時ミランにいたアレシャンドレ・パト(ブラジル)も、印象的な同世代の選手に「森本」の名を挙げていた。
けっして自国贔屓ではなく、森本はそんな存在だったのだ。
で。
今、森本がどこで何をしてるかご存知ですか。
去年の夏、J2のジェフ千葉に加入。
現在まで、通算2ゴール。
5年前、誰がこの将来を予測できただろう。
あのね。
誤解のないように言っておくと。
俺は今でも森本のことが好きだし、いつか再び代表のワントップの座を争う日がくると信じている。
でも、どうしてこうなったのか、腑に落ちなくて、ずっとモヤモヤしてたわけ。
そこに、エチャリさんの寸評(選手評)がストンと腑に落ちた。
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森本貴幸
センターフォワード。
体格は非常に良い。
右利き。
ポストワークが巧みで、動き出しも質が高く、空中戦も誰とでも互角に争い、1つ1つのアクションに逞しさも感じさせる。
生粋の点取り屋で、常にGKの位置を確認し、ゴールを計算している。
ストライカーとしての技術、戦術、体力、どれも抜きん出ている。
ザッケローニは当初、軸にすることも考えたはずだ。
唯一の欠点はスピードだろう。
1歩目が遅く、特に反転は問題外と言ってもいいほど、能力の高いディフェンダーには”引っかかって”しまう。
それが有り余る才能を持ちながら、ゴール数が増えない要因。
反転の鋭さを身につけることができれば、自ずとゴールは増えるだろう。
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ああ・・・。
誰かいましたか?
日本人の解説者で、森本が大成しないのは
「ターンが遅いからだ」
って教えてくれた人。
そんな人いません!!!
頑張れ、森本くん。
鋭いターンでポジション奪取だ。
言っておくが、君の
特に白系のユニフォームを着たときの日本人離れした格好よさは、完全に異常!!
応戦してるぜッ!
そして、代表の試合を観る時は一家に一人、エチャリさんが欲しい。
ビールくらいは奢りまっす。
(ずっとウチに住まれたら困るけど・・・)
おちまい!
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日本サッカースカウティング127選手 |
ミケル・エチャリ,小宮 良之 | |
東邦出版 |