『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

禍中日記 その5

2020-11-16 | Life(日常):書いとかないと、忘れちゃう

■某月某日「アイ・アム・レジェンド」

どうしてもリモートでは片付かない仕事があり、東京駅へ。
丸の内の街はほぼ無人。
こんなに人が居ない東京駅も珍しい。
と言うか、ほとんど『アイ・アム・レジェンド』の世界だ。
無人の東京駅を見るのは20年ぶりだ。
今の、平日も週末も人で溢れる丸の内しか知らない人には意外かもしれないが、20年前の丸の内は週末になると閑散としていた。
開いている路面店はブルックス・ブラザーズと高級中華(胡同マンダリン)の2軒しかなかった。
当時、雑居ビルの1階はもっぱらバンコ・ド・ブラジル(ブラジル銀行)とか北海道拓殖銀行で、週末は営業時間外だったので皆シャッターを閉じていたのだ。
コロナによって思いがけず20年前の光景を再び目にする事になり、小生は懐かしいような不気味なような、不思議な気持ちで歩いた。

■某月某日「くず桜」

春先から初夏にかけて売られるくず桜は小生の愉しみの一つである。
おばあちゃんがやってる近所の和菓子屋さんが、コロナの中、健在で嬉しい。
写真を撮ってみてふと思ったが、ドラクエとかに出てくるスライムを実写化したらこんな感じだろうか。

■某月某日「35年目の真実」

え~~!!!
フラウ・ボゥってハヤト・コバヤシと結婚したの~!?
そっかぁ、でも、確かに一番甲斐性ありそうだよなぁ。
なんか同窓会で久しぶりに会ったら、あの子とアイツが結婚していた的な。

■某月某日「喉の奥にナイフ刺さる」

事件はフォンダン・フロマージュを切り分けた後に起こった。
あまりに柔らかいそのケーキを切った後、ナイフに付いた大量のクリームが勿体ない気がして。
多少お行儀が悪いが、小生はナイフに付いたクリームを舐めたのだ。
ペロッと舐めるにはあまりに量が多かったので、一旦ナイフを口に入れてしまう事にした。
その時、目測を誤り、思ったより強く深く口の中にナイフが飛び込んでしまったのである。
サクッ。
喉の奥にナイフが刺さる意外に乾いた音を、貴方は聴いた事があるだろうか?
血の気が引いた。
痛い。
そして、死ぬ・・・。
これは上手く抜かないと出血多量で窒息して死ぬ!
俺は喉の奥にナイフが刺さったまま、奥さんと子供が遊んでいる隣の部屋へ。
【小生】「なあ、このナイフ。真っすぐ引き抜いてくんない?」
【奥さん】「え・・・、もしかしてナイフに付いたケーキ舐めたの?お行儀悪いでしょッ!!」
【小生】「いや、全くその通りなんだけど、今はこのナイフを上手に抜くことに集中してほしい。さもないと俺はもうダメかもしれない」
【奥さん】「子供のお手本にならないとダメでしょ!!」
【小生】「後で反省するから一旦助けて、お願い!」
結局、小生はキッチンに戻って自分でゆっくりとナイフを引き抜いた。
キュッと喉の奥で筋肉が収縮し、傷口を閉じたのを感じた。
とっても危なかった。
しかし、なんとか一命をとりとめこうして禍中日記を書いている。

■某月某日「なあ、冗談だろ?」

The Field Miceというバンドは1987-91年に活躍したロンドンのバンド。
Salah Recordsという、当時のUKネオアコの総本家みたいなレーベルに所属していた。
詳細は今回割愛しますけど、まあ、先日書いたザ・ウェザー・プロフェッツみたいなバンドと思ってもらえれば間違いない。
活動時期もほとんど一緒だしね。
The Field Mice - You're kidding aren't you
"You're Kidding Aren't You?"
この曲は女子に振られそうになった男が
「なあッ、冗談だろ?別れるってウソだよな?おい、なんとか言ってくれ」
って喚くだけの歌(笑)
この刹那感が素敵。
まごう事なきギターポップなんだけど、ピアノで始まるとこもいいね。
イントロのキックする感じが良くて、でも結局はロバートのいつもの優しいボーカルで、そこも良い。

■某月某日「パパチャーハン」

小生の得意な料理はチャーハンである。
中華屋さんのあのパラッとしたチャーハンでなく、米のしっとり感がちょっとだけ残るやつだ。
パラパラでないのは我がテクニック不足にも起因するが、子どもたちに聞くと「これはこれで良い」のだそうだ。
土曜の昼下がりに麦酒をプシュっと開けてチャーハンをかき込むのは、まさに村上春樹が言うところの小確幸(しょうかくこう:小さいが確かな幸せ)というヤツであろう。

■某月某日「欧州各国リーグ再開」

ラ・リーガ(西)、プレミアリーグ(イングランド)、セリエA(伊)の欧州三大リーグが再開。
これに先駆けてブンデスリーガ(独)が再開した。
ブンデスリーガのTV中継でウェルダー・ブレーメンの大迫選手がプレイしているのを見て
「ああ、サッカーを普通に観れるのってこんなに嬉しい事なんだな・・・」
と、2カ月ぶりの喜びを噛みしめた。
ブレーメンはヴェザー・シュタディオンにレバークーゼンを迎えてのホームゲーム。
まだ無観客なので、欧州リーグ特有のあのサポーターの熱気が試合のテンションを形作っていく様子は見られない。
でも、贅沢は言えない。
しばらく、この嬉しさを噛みしめたい。
結局、ブレーメンは本拠地で1-4でボコられたのだが、まあ、無観客でホームゲームってもなんかアレですね。

■某月某日「一応聞いてはいます」

気持ちの入らない電話(teamsやSkypeでかかってくる)。
自分がメインスピーカーではない会議(同じくオンライン)。
そんな時、いつの間にか手元のメモ帖や紙切れに落書きしている事がある。
一応、耳は集中していて会議の内容はフォローしているのだが、手だけ無心に動いている。
出来上がった絵はえてして、高校生の頃に夢中で聴いていた英米ギターポップのアルバム・カヴァーだったりする。
自分でも忘れてたアルバムだったりして、あれ、これ懐かしい!ってなる事がある。(イタコ状態?)

■某月某日「鎌田の懐」

フランクフルトの鎌田も徐々にフィットしてきた、と言うより、純粋に才能を開花させつつあるのかもしれない。
フライブルク戦でブンデス初得点を記録すると、翌節のヴォルフスブルク戦でもゴール。
コロナによるリーグ中断前からその兆候はあり、2017-18シーズンには僅か3試合の出場にとどまった選手が、ヨーロッパリーグ(EL)の決勝トーナメント(2月20日のザルツブルク戦)でハットトリックを決めるのだから痛快と言うほかない。
ELでのハットトリックはフランクフルトのクラブ史上初の快挙との事。
ゴール前に走り込みながらスルスルとファーへ抜けていく動きを見ていると、久保君のような一目見て分かるテクニシャンというより、プレーに懐を感じる。
前線で起こってる事は全部見えてますよ、と言うような。
まだ好不調の波がありそうだが、いずれものスゴい選手になるかもしれない。

■某月某日「クレープな気持ち」

リモートワークになって、朝ごはんを味わって食べる余裕が出来た。
仕事に余裕がある訳ではなく、いざ始業すると、ひっきりなしに会議があって息つく暇もないが、少なくともあのラッシュアワーとは無縁になり。
奥さんが焼いてくれたクレープに好きな具材を挟んで食べてる時、平日の朝ごはんを味わって食べてる自分に気づいてちょっと驚いた。
よっぽど余裕のない日々を生きてきたんだなぁ。

<禍中日記 その6 につづく>

・禍中日記 その1
・禍中日記 その2
・禍中日記 その3
・禍中日記 その4
・禍中日記 その5
・禍中日記 その6

<熱帯雨林>




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