
遅々として進まぬ禍中日記を少しお休みして・・・
あれ、まだ書いてる内容が3月頃のことだったりして(笑)
最近は心穏やかに、The Weather Prophets など聴いている。
The Weather Prophetsは英国のインディー・ギター・バンド。
前身バンド The Loft(1980-84)の解散を受け、ピーター・アスター(Vo, Guitar)とデイブ・モーガン(Drum)によって、1986年にロンドンで結成された。
ちなみに、The Loft は5年間の活動を通してアルバムは1枚も残していない。
当時はそういう事はよくあった。
個人的な話だが、1986年は自分的にも前年の冬に海外暮らしを始めた事もあり、洋楽をよく聴くようになった年だった。
当時、ビルボードでトップを獲るようなアーティストは本当にビッグで、めちゃくちゃ影響力を持っていた。
週替わりでマドンナやシンディ・ローパーやペットショップ・ボーイズが首位を争ってるようなイメージ。
そんな中、英国に目を向けると、狭いライブハウスを回りながら、地味~なギターポップを奏でるバンドたちも居た。
(オーストラリアの一部にも居ました)
まだブリット・ポップ・ムーブメントは遠く(ブラーのデビューが1990年、ブレイクが94年)、ザ・ストーン・ローゼスやハッピー・マンデーズによるマンチェスター・サウンドの前夜といった時期。
英国のチャートはシンセサイザー・サウンド全盛だったので、それがイヤになった人たちはシーンの裏側でギターを掻き鳴らしていた。
首領格をザ・スミス(1982-87年)とする一派の亜流、と思ってもらうと分かりやすいかも。
(実際はスミスとウェザー・プロフェッツは全然趣きが違うのだが、最近、歳のせいかそういうディテールはどうでも良くなってきた。流れを掴むことの方が大事だよね)
同時期の雰囲気の似てるバンドとしては、Lloyd Cole and the Commotions(1984-89年)かな。
でも、曲は The Weather Prophets の方がだいぶ良い。
どの曲を聴いても、コレというフックはないんだけどね(笑)
このバンドの伝説的なところは、後のクリエーション・レコード創設者アラン・マッギーがマネージャーを務め、バンドの胎動期にはベースさえ弾いていたという事でしょう。
マッギーの演奏については、本メンバー2名の採用を経て、マネージメント業務に戻った模様。
The Weather Prophets - Like Frankie Lymon
この静かで美しい曲、 Like Frankie Lymon を聴いてほしい。
うん、でも誰も聴かなくてもいいの。
俺が聴き続けるから(笑)
<香の物(おまけ)>
The Weather Prophets は解散から16年を経た2004年に、インディペンデント・レーベルのチェリー・レッドからベスト盤がリリースされ、聴きやすくなった。
こういう取り組みは高く評価したい。
そして、ネットとeコマースとオークションサイト全盛の世の中・・・。
なんと、往時のバンドの販促ブロマイドが今でも5ユーロで手に入ります。
かわいいですね。
比較的近年のアスター。(渋い)
ピーター・アスターはその後もクリエーションから2枚のソロ・アルバムを出して活躍。
クリエーションと契約が切れた後は、フランスのインディーレーベルからもアルバムをリリースしました。
<水菓子(おまけのおまけ)>
なお、バンド名の The Weather Prophets は米作家ヘンリー・ミラーの処女作『北回帰線』(1934年)の、最初の段落の一節から取られたとされる。
Weather Forcast だと天気予報だけど、これは Prophets だから気象予言士とでも言ったとこかな?
ちょっと勘頼みな感じね。
北回帰線はミラーの自伝的小説で、1930年代のパリの日常が描かれている。(本国アメリカでは発禁)
それは、こんな風に始まる。
'I am living at the Villa Gorghese.
There is not a crumb of dirt anywhere, nor a chair misplaced.
We are all alone here and we are dead.
Last night Boris discovered that he was lousy.
I had to shave his armpits and even then the itching did not stop.
How can one get lousy in a beautiful place like this?
But no matter.
We might never have known each other so intimately, Boris and I, had it not been for the lice.
Boris has just given me a summary of his views.
He is a weather prophet.
The weather will continue bad, he says.
There will be more calamities, more death, more despair.
Not the slightest indication of a change anywhere.
The cancer of time is eating us away.
Our heroes have killed themselves, or are killing themselves.
The hero, then, is not Time, but Timelessness.
We must get in step, a lock step, towards the prison of death.
There is no escape.
The weather will not change.
<アマゾネス>