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徒然に静かな生活

温泉と山と、その他もろもろの日々

「鴨川ホルモー」 万城目 学

2011-12-15 | 読書
小説のタイトル「鴨川ホルモー」を見て、何について書かれた小説かがわかる人は恐らくいないでしょう。
もしかしたら京都の一部では密かに語り継がれている物事であったりしそうですが、いや、そんなわけがあるはずがない!断じてない!しかし、でもそうとも言い切れないのでは…と思わされる何かがこの本にはあります。
そういう意味で、これは間違いなく「プリンセス・トヨトミ」を書いた万城目のデビュー作なのです。
明らかに「プリンセス・トヨトミ」よりも意味不明なタイトルです。しかしこの本は、タイトル通り「鴨川ホルモー」について書かれた小説です(笑)。
もう少しわかりやすく言うなら、大学生たちを主人公とした痛快な青春小説であり、古都京都を舞台とした伝奇小説でもあるかもしれません。
「なるほど、これが万城目ワールドか!」と深く納得した次第です。
結構笑えます。はまると、楽しいですよ(笑)。


「プリンセス・トヨトミ」 万城目 学

2011-12-12 | 読書
万城目学という作家は、デビュー作「鴨川ホルモー」を本屋で見かけたときから気になる存在ではありました。ただなんとなく単行本で買うには訳がわからな過ぎるタイトルに尻込みして買うには至らず、ただそのなんと読むのかわからない名字の字面だけが記憶に残っていました。
「プリンセス・トヨトミ」の文庫本を手にしたのも、映画化されて綾瀬はるかが出ているというただそれだけの理由;(^.^);
まず裏表紙のあらすじを読んでみると、わけがわからない(笑)。
「四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?」
この「大阪全停止」と言う言葉に引かれて読み始めると、これが面白くて止められない。まさに奇想天外・驚天動地。めちゃくちゃな話しなんですが、きちんと考えられているので「そんなことあるわけないよ」と否定しきれない。物語は三人の会計検査院調査員と大阪下町育ちの少年少女を主人公に、「大阪全停止」へと動き始める…
思っていた以上に面白かったので、その勢いで「鴨川ホルモー」も文庫で購入しちゃいました;(^.^);


「悪人」 吉田 修一

2011-06-21 | 読書
昨年映画化されて話題になった作品です。
主演の深津絵里さんは、この作品でモントリオール世界映画祭の最優秀女優賞を獲得しました。
話の大筋は映画宣伝などで伝え聞いていたんですが、それでも最後まで飽きずに読むことができました。それぞれの登場人物の人物造詣や心象風景も丁寧に描かれ、ルポルタージュ風の構成も効果的。どこにでもいそうな人々が織りなすとても切ない話しですが救いがないわけでもなく、地味だけど考えさせられる味わい深い作品です。
読み終わってあらためて感じたのは、本のタイトルの「悪人」、これは失敗だった気がします。誰が本当の「悪人」なのか?というような底の浅い問いかけが主題ではないと思うのですが、タイトルが先に頭に入っているので、読んでいてどうしてもそういう視点が入ってしまいます。
もう少し気の利いたタイトルなら、本としてももっと話題になったんじゃないかなぁ。

「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎

2011-02-27 | 読書
伊坂幸太郎という作家は、ここでも何度も取り上げてきましたが、どちらかというと細かい描写や表現、一つ一つの会話などを楽しむ作家で、あまりエンターテイメントなど期待していませんでした。
その伊坂幸太郎が書いた「スリル炸裂超弩級エンタテインメント」(文庫帯より)にして山本周五郎賞、本屋大賞ダブル受賞なわけですから、これは伊坂幸太郎ファンを自認はしていない私でも、「そのうち読まないと」とは思っていました。
もう映画も公開されているし、いまさらストーリーをおさらいする必要もないと思いますが、簡単に説明すると仙台市で日本の首相暗殺事件が起き、その犯人に仕立て上げられた男の逃亡劇です。
こう短くまとめてしまうと、やっぱりリアリティない話だなぁ、と思ってしまうのは私だけではないはず。
でも、そういうリアリティのなさは気にならないほどに、さすがの語り口でぐいぐい読ませます。縦糸である話の流れとしてはご都合主義なところもたくさんありますが、横糸である主人公を巡る過去から現在の人と人の繋がりが複雑に絡み合って単なるエンターテイメントに終わらない深みのある物語になっています。
実をいうと私自身は映画を先に観ていまして、小説が後でした。映画を観て感想としては、いい意味でのリアリティには欠けてるけど、ストーリー展開も日本映画にしてはスピーディだし、回想場面の入れ方も自然で、なかなか面白くできてるなぁ、と思いましたし、その後で本を読んでみて、意外なほど原作に忠実だったのにはちょっと驚きました。
ただ、原作を先に読んでいたうちの連れは、「映画つまんない」とばっさり;(^.^);
まぁ、よくあることです(笑)

「1Q84 BOOK1~3」 村上春樹

2011-01-26 | 読書
実は昨年の夏くらいにはBOOK3まですでに読み終えていたんですが、コメントが難しくそのままに・・・
村上春樹は、好きな作家の一人です。作品も多く読んでいます。
中でも好きな作品は、「羊をめぐる冒険」と「ノルウェイの森」です。
特に「羊をめぐる冒険」は、彼の最高傑作だと思います。あの作品は、どの1ページ、どの1行を取り出しても、村上春樹だとすぐにわかる、それほど彼のエッセンスが凝縮された作品だと思います。
「ノルウェイの森」も、もう読んだのは20年近くも前ですが(たぶん私が20代だったような・・・)、深く感動したのを憶えています。
ただ、どちらの作品も強く印象に残っているのですが、内容は?と聞かれると、実はよく憶えていません(^.^);
「1Q84」は、この2作に比べると、彼らしくない印象を受けました。文体や描写、物語、どれもずいぶんわかりやすくなってるなぁ、という感じ。
表現するのは難しいんですが、それは霧よりは少し重苦しく暗い、少し湿ったもやもやしたものが漂っているような雰囲気、とでもいうか、彼の作品には独特な雰囲気があったと思うんですが、「1Q84」にはあまりそれを感じませんでした。
ある意味読み易く、わかり易い。でも、その分、なんかもの足りない感じです。
内容的には、「羊・・・」と「ノルウェイ」のそれぞれの要素を合わせ持っているとよう作品なんだろうと思います。
この作品を読んで、改めて村上春樹を読んでみたくなったのは確かです。
「羊をめぐる冒険」と「ノルウェイの森」は、そのうち読み返してみたいと思います。

ちなみに、話は全然変わりますが、村上春樹のイスラエルにおける発言を支持します。興味のある方は一読を。
Always on the side of the egg

「魔王」 伊坂幸太郎

2011-01-23 | 読書
相変わらず、久々のブログです(^.^);
本はちょこちょこ読んではいるんですが、なかなかここに書くまでには至らず・・・

この作品は二つの中篇からなっていて、二つの物語は兄と弟がそれぞれ主人公になっており、物語自身も連続したものです。
この作家にしては珍しく政治的なものを物語の重要な要素に据えています。そのことについては作者自身が文庫のあとがきで、それらは「テーマ」ではなく、そうした政治的なものを登場させることでかもし出される雰囲気のようなものを小説に入れたかった、というようなことを述べています。
まぁ、なんとなくわかる気がしますし、その意図はある程度成功しているように思います。
ただ、「魔王」に関しては、ちょっと政治的なものが前面に出すぎていて、何が本当に書きたかったのか、よくわからない作品になっているような気がします。
私としては、女性の一人称にすることで政治的なものから少し距離を置けている、その続編的な「呼吸」が好きです。
特に、ムッソリーニとその愛人の話が印象的で、私も「スカートを直してあげたい、と思うことくらいはできる人間ではいたい」ですし、できれば「スカートがめくれてるのくらいは直してあげられるような」人間でありたいと思います。意味不明だと思いますが、気になる方は作品を読んでみてください(笑)。
いままで読んだ伊坂作品とは、ちょっと大分雰囲気が異なる作品で、これはこれで面白く読みました。
続編的な作品として「モダンタイムス」があるらしく、そちらも読んでみたいと思います。

「センセイの鞄」 川上 弘美

2010-08-02 | 読書
純文学です。そして恋愛小説です。どちらも久しぶりです(^^ゞ
芥川賞作家の作品を読むのは町田康以来でしょうか。
普段は敷居が高くてなかなか入っていけないんですが、この作品はすんなり入れました。

40前にして独身、行きつけの居酒屋があり、アンチ巨人でかなりの酒豪、主人公のツキコさんと、ツキコさんの高校のときの国語教師、すでに定年退職したセンセイ、居酒屋で始まった二人の恋の話です。
こういう本の書評は書きなれてないのでうまい言葉が出てきませんが、ある意味、真っ向勝負の恋愛小説です。
胸にじんわり広がるあたたかさ、やさしさ、おかしさと切なさと・・・
二人の関係は世間的にはちょっと変わって見えるけれど、とても微妙で繊細で複雑で、そのあたりがとてもやさしく丁寧に書き込まれています。
それにしてもツキコさんはよく飲みます(笑)
あまりお酒が強いほうではない私は、到底ツキコさんとはお付き合いできそうにありません(^^ゞ

「ユダヤ警官同盟」マイケル・シェイボン

2010-07-21 | 読書
久しぶりに読んだSFです。
と言っても訳者あとがきによれば、「改変歴史SF+ハードボイルド・ミステリー+純文学という、境界を侵犯しジャンルを横断する文学-いわゆるスリップ・ストリーム文学」なんだそうです。
「なんだそりゃ?」ですが、中身もかなりとっつきにくい代物(^^ゞ
第二次大戦後に聖地での建国に失敗したユダヤ人の居住地として設置されたアラスカ・シトカ特別区。2ヵ月後に米国への返還を控えたこの特別区の閉塞的なユダヤ人社会で起きた殺人事件とそれを追う警官。
あまり親切な説明がないので読み進んでもなかなか舞台設定がよく理解できない、ユダヤ人社会の特殊性についてよく知らない、やたらと長い発音できないようなカタカナの名前の登場人物が多い、などなど、いくつもの障壁を乗り越えて読了しました(笑)。
私の理解力が足りないのかなんなのか・・・海外文学がだんだん苦手になりそうです(^^ゞ



「容疑者Xの献身」東野圭吾

2009-06-08 | 読書
いまさら説明の必要もない売れっ子作家です。
今までに「秘密」や「白夜行」を読んだ程度ですが、それなりによくできた話で読み応えもあり、そこそこおもしろかった印象はあります。ただ大好きな作家と言うわけでもありませんでした。
この作品はドラマにもなった、たぶん「人気シリーズ」なんでしょう。直木賞もとってるし、ちょっと時間を潰さないといけない仕事が入ってしまって、文庫で買ってきました。
期待通り話しはおもしろいし、引き込まれました。トリックも「そうだったのか!?」って感じでした。最後まで全然わかりませんでした(^_^;)
でもちょっとなんかすっきりしない読後感なんですよ。
このシリーズは、「ガリレオ」と渾名されるかなり「変人」の物理学の湯川准教授が、探偵役となってその鋭い観察力と洞察力、論理的思考で事件を解決していくというものです(こう書くとかなりチープなプロットのようですが、実際はそうでもないです)。
すっきりしなかった原因は、物理学者が探偵役になって事件の謎を解き明かしていくのはいいんですが、あえて言えばそんな事件当事者からみて傍観者であり客観的立場にある学者が、正義の味方のように倫理観を振りかざしているように感じたからですかね。
でもよくよく考えると、今回の事件では湯川准教授の立場は「傍観者」ではないので、そういう意味ではちょっと私の感じたことも当たっていないかと、後から思い直した次第です。
でもこんな感じで、私にとっての東野圭吾は、微妙に感覚がすれ違う作家なんですよねぇ(^_^;)



「笑う警官」佐々木譲

2009-06-04 | 読書
映画化が決まって今ではすっかり有名になった、佐々木譲の道警シリーズ第1弾ですね。
佐々木譲を読むのは、いわゆる第2次大戦三部作の「「ベルリン飛行指令」「エトロフ発緊急電」「ストックホルムの密使」以来です。この3作は、それぞれにボリュームもあり、歴史小説としても冒険小説としてもかなり読み応えのある秀作で、中でも「エトロフ発緊急電」は私の大好きな作品の一つです。
警察小説も嫌いではないので、いつかは読みたいと思っていた佐々木譲の道警シリーズでしたが、読み終わって、満足度はまずまずですか。
さすがにうまいし読ませるんですが、長編好きの私としては、久しぶりの佐々木譲、ちょっとボリューム的に物足りなかったです(笑)。
実際の道警の裏金問題などが話題となった旬な時期に読んでいたら、もっとドキドキしたかもしれませんが・・・
本当は重く暗いテーマを扱っている割には、ちょっと軽い印象も受けました。
まぁ、読み応えは「警官の血」に期待ですかね(笑)