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朝日新聞コラム「折々のうた」で親しまれた詩人、大岡信回顧展

2025年04月24日 10時13分52秒 | 一言

 新緑の輝く小高い丘を登り、眼前に藍色の横浜港が開けると県立神奈川近代文学館はすぐそこです。開催中の詩人・大岡信(まこと、1931~2017)の回顧展へ。

 自筆の書「ひとはみずから遙(はる)かなものを載せて動く波である」に迎えられ、この身もまた美しいあこがれを抱きながら大海をゆく無数の波のひとひらだと思え、不思議な安心感に包まれました。

 朝日新聞コラム「折々のうた」で親しまれた詩人。1979年から2007年にわたり、古今の詩歌を紹介する連載を続けました。毎朝、季節の恵みのような一編を味わい、一日を生きる力を得た読者も多かったことでしょう。

 全6762回から自選した『折々のうた 三六五日』(岩波書店)の4月24日付は〈あやめかる安積(あさか)の沼に風ふけばをちの旅人袖薫るなり 源俊頼(としより)〉。菖蒲(しょうぶ)の名所・安積山の麓の沼(現在の福島県郡山市)から芳しく爽やかな風が吹き渡り、遠くの旅人の袖まで薫るという一首で、千年の昔へいざなわれるよう。

 いにしえの言葉を現代の私たちにつないだ詩人は、複数の詩人が一堂に集い数行の詩を交互に書いていく「連詩」を生み出し、創作活動を通して人と人をつなぎました。いわく「言語というものは単独にあるのではなく、社会的な存在としてつながっている」。「架橋する詩人」と称されるゆえんです。

 分断をあおる言葉が声高にまかり通る昨今。一人ひとりの発する言葉が文化や社会をつくっていくとすれば、今こそ差異を尊重し真理を追究する言葉を語りたい。


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