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教育の目的は「人格の完成」

2024年10月09日 11時48分01秒 | 一言
 また一人、名物教師が世を去りました。元東京都立戸山高校教諭の武藤徹さん。数学者として著作は40冊以上に。「共産党員として生きてきたことは誇りです」と、街頭宣伝では誰よりも多くビラをまく情熱の人でした。
 1925年、神戸市の生まれ。7月に亡くなった時は99歳でした。小学6年の時、貧しい家の子が学校で差別されるのを見て、「どんな子にも平等に接する教師になろう」と決意します。
 東京帝国大学理学部数学科在学中、東京大空襲に遭いました。敗戦直前、陸軍参謀本部に徴用され、暗号解読に携わります。沖縄戦や原爆投下の情報に触れ「次はどこがやられるんだ?」と背筋が寒くなったといいます。
 戦後、教育の目的は「人格の完成」とうたった教育基本法に感動。自らの指針とします。教科書は使わず、手書きプリントによる授業。教え子の元会社員の野崎悟一さん(77)は「テストで点数をとるためでなく、数の世界の本質を体系的に教えてくれた。数学にとどまらない、精神的な恩恵を受けました」と。
 元教え子たちとの勉強会を自宅で70代半ばまで続け、数学はもちろん、哲学書や『資本論』も読みました。早稲田九条の会の世話人代表をつとめ、地域で始まったピースデモは、新宿全体に広がり、いつも先頭を歩いていました。
 2年前に体調を崩すまで、真冬でも地元の党支部の朝宣に参加。「憲法を守り、共産党を大きくするため、命ある限り尽力したい」。7年前に本紙で語った通りの、献身的な生涯でした。


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