JINX 猫強

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2009-05-29 04:57:00 | 一輝・氷河ss
 ここ数ヶ月、一輝は悩んでいた。
 地上を護るために冥界まで赴き、居並ぶ冥闘士たちを倒し、冥王ハーデスの野望を打ち砕いた不死鳥星座の聖闘士の一輝を悩ましているのは、同じく白鳥星座の氷河であった。
 一時は憎み合い、私闘を繰り広げたこともあったが、いまや1つの部屋に住まう同居人であった。
 同じ聖闘士であり、異母兄弟である星矢や紫龍、そしてあの小さかった弟の瞬までもが彼女を作り、生活の基盤を固めつつあるのにも拘らず、居も定めずにいた一輝と氷河は沙織に命じられ、都内のいわくつきのマンションで同居をするように命じられた。
 その時点で、氷河には職も住居もあったが、女神(アテナ)の命で仕方なく氷河も一輝と同居せざるを得なくなった。
 当然、家事は氷河の役割となった。
 料理などする気のない一輝は空腹になると氷河が眠っていようが、仕事の途中だろうが、食事を要求する。
 却下すれば食欲以外の「欲」を要求されることになるから、氷河は黙って食事の用意をする。
 以前は「欲」を満たそうとする一輝に死に物狂いで抵抗していた氷河だが、今は賃貸住まい。聖闘士同士が例え、聖衣なしででも拳を交えることがあれば、物件は崩壊、近隣住民に被害を及ぼしかねない。
「地上の愛と平和を護る」という伝説の聖闘士が、現在では人間に被害を及ぼしたのでは洒落にならないから、氷河は大人しい。
 その氷河がインスタント食品に開眼してしまった…。
 聖戦を終え、グラード財団を故・城戸光政翁の血縁である誰かに引き継がせ、自身はギリシャに還ろうとしていた女神の思惑は、外れた。
 東洋随一のコングロマリット・グラード財団を継ごうという者が誰もいない。
 肚を立てた沙織は、一輝たちに財団の仕事を割り振る。
 ロシア語に堪能な氷河は書類の翻訳や、文章の作成に寝る暇もないほど扱き使われている。
 当然、食事を作る時間などない期間があった。
 自分だけならジャムと紅茶だけで飢えをしのぐ、世事に疎い氷河に、インスタント食品の存在を教えたのは瞬だった。
 余計なことをと思ったが、可愛い瞬の行いなので、一輝は大目に見ることにした。
 だが、それからがいただけない。
 種類は変えるが、以来インスタント食品生活が続いていた。

「続く」
 

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