三月十日

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三月十日

皆さん今晩は、少しご無沙汰しましたが如何お過ごしですか

この前ある女性の営業の方が見えまして色々話している中で出てきた話が、

保育園の参観日に行ったら丁度お昼ご飯の時で、


先生と子供達が皆で、いただきますと言って食べ始めたら、

その子供達の中の或るお母さんが、

子供に『いただきますなんて言はなくてもいいよ』と言ったそうです。

其処でその女性が

『なんで、いただきます、と言はなくてもいいんですか』と尋ねたら


『毎月月謝、お金を払っているから言いはなくてもいいんだ）


と言う答えが返ってきたそうです。

その話しを聞いて私は

「えー、なんちゅう母親や、ほんまかいねその話」

と思わず其の女性に聞き返しました。

たった此れだけの短い話なんだけどこの様なお母さんに育てられ、

教育されて大きくなった其の子供さんは一体どういう人格が育まれ、

どういう生きざまに成るのか気に成りますなあ、

スープの料理家で有名な、辰巳芳子さんの言葉を借りますと、

天からの贈り物の、食材の持ち味を引き出すのに

自分の、我を、押し付けて向かって行った時には、良い味が出てこない、

材料に寄り添って、随う気持ちで、あらがう自我を、折りて優しい気持ちで、

たなごころを懸けたときに其の、食材の美味しさが出てくる、

本当に美味しい物を拵えられる、

調理人は、だんだん自我が折れて優しい人に成ります。と仰云って居ます。

そして『さ、めしあがれ』と、笑顔で『いただきます』

と手を合わせて箸をとる感謝と、畏敬の念、

此れが天からの贈り物をいただく、深意のやり取りだと思います。

お金を払っているから、いただきます、ありがとうを、

云はなくても良いんだというお母さん、どんな料理、

どんな心を子供に与えておられるのか心配です、怖いですね。

宝　岳　龍　聲　　　　合掌

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