昨日ご紹介した、現在国内で最も売れているハイブリッド車に採用されたウォーターポンプ設計事例は、ポンプインペラの量産性を考慮して2次元羽根となっています。
2次元羽根とは、羽根を樹脂などで型成型で作る場合に、軸方向に型が抜けるような形状を持ったインペラをそう呼んでいます。
そのような量産優先の羽根に対して、とにかく性能を徹底的に追求したインペラとして、滑らかな曲面を持つ3次元羽根形状設計を行ってみたものが下図のウォーターポンプです。
この最高効率を目指したインペラ設計の要点としては色々とありますが、いくつか挙げてみましょう。
まず羽根入口部分においては、軸方向水流を滑らかに半径方向流に転向する為のインデューサー的な3次元羽根部分を、入口相対流れ3次元空間上角度に対して正確にボスからシュラウド部まで作り込んでいます。
その入口の3次元ねじれ翼部を出た流れは、まるで回転するディフューザーのような拡大流路に入りますので、この翼間部分の拡大率とそれを構成する翼面のメリディアン方向に対する翼角度の変化率をも充分に滑らかな特性を持たせるように設計します。
そして最後は、翼出口部の出口角度と翼出口部の翼傾きの設定となります。
出口角度は必要な揚程を満たす為に決められなければなりませんが、翼出口部では翼圧力面と負圧面の圧力差から翼から出た流れは羽根出口角度より小さい角度で流出してしまいます。
幾何形状から決まる出口速度三角形に対して、ずれる実際の速度三角形を決める作業は、羽根枚数にも依存するものであるため、充分な検討が必要となります。
以上のような少々細かい設計計算を経た後に、高効率3次元羽根インペラが生成されますが、ひとつ言えると思っていることは、性能の良い羽根は見た目も良いということです。
これは、形状のバランスともいえるものが関係しているのではないかと思っています。