流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

ハイブリッド車エンジン用 組み込み方式電動ウォーターポンプの設計例

2009年09月29日 | 省エネ エネルギー回収

ハイブリッド車のエンジン燃費を改善する為に、エンジンに組み付ける方式の電動ウォーターポンプの高効率設計を行った事例をご紹介します。

この事例は、現在国内に於いて最も売れているハイブリッド車のエンジンに採用され、その燃費を以前のものより2%改善することに貢献したものです。

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上図がその設計した電動ウォーターポンプのポンプ本体部となります。

ポンプ羽根は量産時に型にて抜けるように2次元羽根となっていますが、少しでも効率をアップさせる為に、羽根入口縁部には半径に応じて微妙に入口角を異なるように付けています。

この工夫により、ボス部でのブレード長が長くなり、流路拡大率を滑らかに出来たことも性能改善に効いています。

また羽根出口角度の設定に於いては特に気を使い、小型化する為に羽根出口直径を小さくしてしまうと羽根出口角度は大きくせざるを得ず、それにより急拡大の翼間流路となるため効率が下がります。

よってこの設計では、羽根出口直径は大きめに取り、最適な羽根出口角度を選定出来るようにしています。

さらに、羽根出口の高さ、つまり出口幅も重要な要素であり、これが高すぎると翼間流路での急減速が生じることで、翼間に流れないよどみが出来、効率を低下させますので、今回の設計では無理な翼出口高さの設計は排除しています。

そして流れが最終的に羽根出口速度を圧力に変換する重要なケーシングの渦巻き拡大形状については、何回も計算をし直してあまり速すぎない流速を採用しています。

ただこのケーシング内流速については、もう少し速くても良かったのではないかとも現在では思っています。

明日は、エンジン組み込み型電動ウォーターポンプの羽根が更に高効率な3次元羽根となった設計を御紹介しましょう。

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