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20代にしてウイスキーにハマってしまった筆者によるブログ。
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ウイスキーの製法(バーボンウイスキー編)

2016-02-05 19:05:36 | Whisky certification exam.

検定対策。本日はバーボンの製法を復習します。


2級ではスコッチの他、バーボンの基本的な製法が出題されています。
スコッチとバーボンでは材料、製法が大きく異なるため、違いを把握しておかないと
ごっちゃになりかねません。しっかり把握しておきましょう。
個人的にバーボンはあまり飲んでいないこともあって、苦手な部分でもあります。


1. 材料
バーボンの定義の記事でもご紹介しましたが、バーボンの主な原材料はトウモロコシ、ライ麦、大麦麦芽。
トウモロコシは穀物の51%以上を占めている必要があり、銘柄はデントコーンという、牛などの家畜飼料にもなる品種。
意外(?)なことにも人間が食べても食べられないものではないようです。【試食している方の記事】
メーカーズマークのように、ライ麦の代わりに小麦を使用している蒸留所もありますが、モルトは必ず使用します。
使われるのはスコッチと異なり、六条大麦。
二条大麦と比較してでんぷん質は少ないものの、酵素力が強く、他の8割以上の穀物をまとめて糖化するために不可欠です。
スコッチでもグレーンウイスキーの製造には六条大麦が使用されています。


2. 糖化
バーボンの糖化も、まず各材料の粉砕から始まります。
ハンマーミルと呼ばれるミルで別々に挽かれた穀物は、クッカーと呼ばれる鍋でまとめて煮沸・糖化されます。
投入順はトウモロコシ、ライ麦、モルトの順。

この時、仕込水と共に穀物に投入されるのが「バックセット」と呼ばれる蒸留廃液。
バーボンの仕込水はライムストーンウォーターと呼ばれる、(一般的に)高硬度、アルカリ性の水。
モルトの糖化酵素はpH5.4~5.6程度の酸性下でよく働くため、適度に酸性の環境を作ってあげる必要があります。
そこで、pH4前後と酸の強いバックセットを加える事で、クッカーを内部を理想的な酸度に整えます。
この製法が、バーボン独特の「サワー・マッシュ方式」です。


3. 発酵
スコッチの発酵槽はウォッシュバックといいますが、バーボンではそのままファーメンターと呼びます。
主にステンレス製ですが、ウッドフォードリザーブ、フォアローゼス、メーカーズマーク等は木製を使用しています。
工業大国らしく、酵母に対しても非常に研究が進んでいるのがアメリカ(と日本)。
ほとんどの蒸留所がこだわりの独自酵母を培養・使用しています。
発酵は一般に3~6日かけて行われ、発行後のアルコール度数は8~10度。
スコッチよりも発酵は長め、度数は強めですね。
発酵が終わったウォッシュはビアー(Beer)と呼ばれます。工程がビールと似通ってますからね。笑
ちなみに、ウォッシュバックと異なり、ファーメンターにはスイッチャーはついていません。


4. 蒸留
バーボンの蒸留に使われるのは、ビアスチルと呼ばれる連続蒸留器と、ダブラーという精留器。
キリンの出自であるシーグラムによって開発された、日本で唯一のダブラーが御殿場蒸留所にあるとか。
ダブラーは、ビアスチルで取り出されたアルコール分を液体に戻した後に精留されますが、
液体に戻さずに精留を行う「サンパー」という改良型もあります。
バーボンの定義では80度以下での蒸留が義務付けられており、ビアスチルでの粗留後は55~60度、
ダブラーによる精留後には65~70度程度に濃縮されています。


5. 熟成
バーボンの最大の特徴ともいえるのが、熟成樽に内側を焦がした新樽だけを使用すること。
特有のバニラ香や濃い液色は、新樽ならではのものです。
内側を焦がすことをチャーと呼び、グレード1~4まで、0.5刻みで分けられており、
多くの蒸留所はグレード3~4の、強く焦がした樽を使用しています。
サイズもバレルで統一されているため、ホグスヘッドやバットは使用されません。
樽詰めされる度数(バレルエントリー)も決められており、62.5度以下。
スコッチが67度前後で樽詰めされることを考えると、やや低めですね。
熟成棚はオープンリック式という、ラック式の1種ですが、
1段のラックに3~4層保管できる構成になっており、こちらもスコッチとは異なります。

最も異なるのが保管の際良いとされる棚の位置で、
スコッチが最も地面に近い低層をベストと考えるのに対し、バーボンでは
イーグルズネストと呼ばれる、棚の最高階を好む蒸留所が多数派のよう。
ただ、苦味成分であるタンニンが多く溶出する位置でもあるらしく、
棚の位置をローテーションさせる蒸留所がほとんど。専門用語ではサイクリング。
主にバーボンが造られているケンタッキー州の平均気温はスコットランドよりも
はるかに高く、その分エンジェルズシェアも多い。
1年目はなんと10~18%が蒸発し、2年目以降も4~5%が蒸発していく。
アメリカの天使は強欲ですね…。笑


6. 瓶詰め
バーボンの定義でもご紹介しましたが、原酒と水以外の香料や着色用のカラメル等を
一切加えてはいけないのも、一つの特徴(スコッチはカラメルのみOK)。
アルコール度数はスコッチと同じく、40度以上とされています。
スコッチでのヴァッティングに相当する作業は、バーボンではミンクリングと呼ばれるそう。

スコッチとの比較が中心になりましたが、サワーマッシュや蒸留法、
熟成への考え方など、異なる点がいくつもありますね。
同じ工程でも呼び方が異なったりするので、そこも要注意ですね。

2級問題では数問出題されているバーボンの製法。要チェックです。



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