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20代にしてウイスキーにハマってしまった筆者によるブログ。
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ウイスキーの製法(スコッチモルトウイスキー編)

2016-01-31 23:23:34 | Whisky certification exam.

ウイスキー検定対策。改めて、ウイスキーの製法を確認します。


ウイスキー検定の中で、製法の問題がある程度の比率を占めて出題されています。
内容は基本的なものが多いものの、専門用語が多いので逐一チェックが必要な箇所です。
3級ではスコッチモルトウイスキー、2級ではスコッチ、バーボンの基本的な製法が、
1級ではモルト、グレーンの製法、各工程のメカニズム等も範囲とされています。

今回は各級で出題されるスコッチの製法を中心に、一部1級クラスの知識を織り交ぜてご紹介。


1. 製麦
スコッチモルトに主に使われるのは春播きの二条大麦。
収穫直後の大麦の含水率は16%程度ですが、自然乾燥によって13%まで落とされます。
保存期間は1~2ヶ月。その間に大麦を粒径によって2~3種類に選粒されます。
選粒された大麦はスティープと呼ばれる浸麦槽で仕込水に浸され、含水率を45%程度まで高められます。

仕込水を十分に吸った大麦(グリーンモルト)は発芽床へ移されます。
大麦に含まれるデンプンはそのまま発酵させることができないため、発酵可能な糖に変えてあげます。
発芽方法には伝統的なフロアモルティングの他、自動式のドラム式、サラディンボックス式等があります。
1週間程が経過したところで発芽を止めるため、モルトを再度乾燥させます。
乾燥させる際に使われるのがピート。かつてスコットランドでは、ピート炊きのみでモルトを乾燥させていました。
現在は一部のウルトラヘビーピーテッドを除いては熱風や無煙炭乾燥とピート乾燥を併用しており、
合計で20~40時間掛けて含水率4%程度にまで乾燥させます。


2. 糖化
乾燥させた麦芽は小石やゴミといった異物を除去した後、モルトミルによって粉砕されます。
粉砕された麦芽は粒の大きさによりハスク、グリスト、フラワーに分けられ、2:7:1程度の比率で挽かれます。
グリストには67~70℃のお湯が加えられ、マッシュタンと呼ばれる糖化槽に移され、糖化が行われます。
マッシュは糖化槽の中で撹拌されるうちにワート、ドラフの上下2層に分かれ、
最初に採取された一番麦汁のワートは糖度20度程度、その後同じ工程を繰り返されて採取される
二番、三番麦汁はそれぞれ糖度5度、5度未満になります。
製法に若干の違いはありますが、一番麦汁と二番麦汁の味の差は
キリンビールの工場で飲んで直に確かめられるはずです。
絞り粕であるドラフは家畜の餌等に再利用されるとか。


3. 発酵
採取直後のワートは60~70℃程あり、そのまま酵母を加えると酵母が死んでしまいます。
そのため、熱交換機を使って酵母が働きやすい20℃程まで冷やされます。
冷却されたワートはウォッシュバックという発酵槽に移され、酵母が投入されます。
ウォッシュバックの材質には米松(ダグラスファーやオレゴンパイン等)、ステンレスが多く、
材質は原酒の性格にも影響するといわれている。
ウォッシュバックにはスイッチャーという泡切り装置がついているが、
それでも発酵によってウォッシュバックの蓋を吹っ飛ばしてしまうとか…。
発酵は2日、長いもので4日かけて行われ、7~9%程度のアルコールが発生します。
この液体はもろみと呼ばれ、英語ではウォッシュと言います。


4. 初留
いよいよ蒸留です。
水(100℃)とアルコール(78.3℃)の沸点の沸点の違いを利用し、
アルコールを含む液体からアルコールを分離、濃縮させるのが蒸留です。

モルトウイスキー造りに使われるのは、ポットスチルと呼ばれる銅製の単式蒸留器。
大きさ、形状は蒸留所によってまちまちですが、必ず銅製です。
入手性が良く熱伝導率も高いことを理由に長らく使われていてきましたが、
近年では銅を触媒にプラスの香味成分が形成されたり、
逆にマイナスの香味成分を除去したりする効果も分かっています。

オーヘントッシャンのような一部の蒸留所を除いて、スコッチは基本的に2回蒸留。
初留釜はウォッシュスチル、再留釜はスピリッツスチル、ローワインスチルと区別されます。
スチルの加熱方法には直火炊きと間接加熱があり、
直火炊きは主にガス炊きが行われます。
(世界で唯一、余市では石炭直火蒸留が行われている)
初留ではもろみの中のアルコールを全て取り出すため、全留方式が取られ、
初留が終わると22~25度の初留液(ローワイン)が出来上がります。
ローワインはスチルの首からラインアームを通ってコンデンサ(冷却装置)へ
運ばれ、再び液化した後、再留釜へと移されます。
コンデンサは伝統的なワームタブ方式が長らく主流でしたが、
近年はシェル&チューブ方式が主流となっています。


5. 再留
再留ではアルコールの濃縮以外にも香味成分の選別等も重要な目的になるため、
スピリッツセイフと呼ばれるガラス製の箱の中でミドルカットが行われます。
ミドルカットとは文字通り、蒸留の中で中間期に採れるミドル(ハーツ)のみを採取し、
序盤のフォアショッツ(ヘッズ)や終盤のフェインツ(テール)はカットする手法をいいます。
フォアショッツやフェインツにはメタノールや不快成分が含まれており、
最も好ましい部分を熟成に回すため、ミドルカットは重要な工程です。
こうして出来上がるハーツのアルコール度数は63~73度ほど。
ハーツは再びコンデンサを通り、ニューポットとなり熟成を待ちます。
カットされたフォアショッツ、フェインツは次のローワインに加えられ、
再度再留に回されることになります。


6. 熟成
スコッチと呼ばれるには最低3年の熟成が義務付けられているだけでなく、
樽材や外気との接触により様々な香味成分を獲得する効果もあり、
名実共にウイスキーの醍醐味の1つと言われています。
原酒は蒸留直後は70度前後のアルコールを含んでいますが、
これを熟成に適した63度程度になるまで加水します。
樽は主にアメリカンホワイトオークやスパニッシュオークが使われ、
前者はバーボンやワイン、後者はシェリーやコニャック等の熟成樽を
再利用することが多く、まさにモルトの「エッセンス」となります。
樽はサイズによって名前が変わり、小さい方から順に
バレル(180~200L)、ホグスヘッド(250L)、パンチョン(480L)、バット(500L)と呼ばれます。
法律上のスコッチに求められる熟成用樽のサイズは700L以下なので、
これらのどれを使っても、3年以上の熟成でスコッチとして認められます。
小さい樽ほど原酒との接触面積が増えるため、熟成速度、樽の影響度が大きくなるので、
付加したい香味や熟成のタイミングに応じて樽の移し替えが行われます。

こうして原酒は熟成庫(ウェアハウス)で数年から数十年の眠りにつきます。
ウェアハウスは保税倉庫の通称でもあり、熟成庫が免税扱いされていることに由来します。
熟成で切っても切り離せないのが天使の分け前(エンゼルズシェア)ですね。
熟成期間中に原酒は水分、アルコール分ともに少しずつ蒸発し、
知らず知らずのうちに樽の中身が減っていくことを呼んでいます。


7. 瓶詰め
熟成を終えた原酒は瓶詰めされる単位毎にタンクに集められ、ヴァッティングされます。
続いてフィルタリングが行われます。
ウイスキーには低音下で白濁する成分が含まれており、
消費者の要らぬ誤解を産む要因となるため、事前に冷却し、濾過してしまうのです。
銘柄や商品によっては冷却濾過を行わない(ノンチルフィルタード)や、
そもそもフィルタリングを行わないものもあったりします。
さらに加水され、最終製品のアルコール度数にまで落とされ、瓶詰めされます。


毎度ながら、検定対策をブログにまとめるのは骨が折れますね…その分復習にもなりますが!
1級相当の内容も結構織り交ぜてるので、準1級レベルでしょうか。笑

バーボンとスコッチでは原料から製法まで異なる部分が多いので、
本番前にバーボン編も更新したいところです。お楽しみに。


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