増税圧縮、民主再び迷走…株売却はハードルも

　政府・民主党は２７日、東日本大震災の復興策の財源に充てる臨時増税案を決定した。しかし、民主党税制調査会（藤井裕久会長）が一度まとめた案が、政府・民主三役会議で大幅な修正を迫られ、重要な政策決定が再び迷走した。一方、増税幅の圧縮は国民への影響を軽くするよう配慮したものだが、税外収入の上積みのための政府保有株の売却にはハードルも残っている。

　「この案に賛成を求める」

　２７日午後５時、国会内で始まった民主党税制調査会の総会。約１時間の議論の後、１０分間ほどの休憩をはさみ、藤井税調会長は、住民税の増税開始時期を１年先送りする「修正案」を提示した。藤井氏が約１００人の出席者に同意を求めると、会場から「了承」の掛け声とともに拍手がわき起こった。藤井氏はそのまま、反対する一部の議員を無視するかのように足早に席を立った。

　続いて行われた同党政策調査会の会合でも、臨時増税と併せて復興財源となる税外収入などについて、前原政調会長が示した修正案が了承され、２０１１年度第３次補正予算案の骨格が固まった。

　ここに至るまで、民主党内の議論は迷走した。

　前原氏や藤井氏らは当初、３次補正について月内に与野党の合意を得ることを目指し、政府・民主党案の決定を急いだ。遅れれば、３次補正の早期成立を求める被災自治体の期待を裏切り、復興に影響が出る恐れもあったためだ。

　しかし、党内では「震災、長期デフレ、円高、世界経済危機など、マイナス要素山積の中での増税は、かえって税収減をもたらしかねない」「経済がさらに大きなダメージを受ける」などと、増税反対論が噴出した。また、政府保有株の売却など税外収入の上積みを求める党側に対し、安住財務相が難色を示すなど、意見集約は難航。前原氏らは何度も決定を遅らせたが、なかなか理解は得られず、「月内」の期限が目前に迫った。

　このため、２７日の党税調では、国会議員の定数削減や公務員人件費の削減など「身を切る姿勢」（党幹部）を強調する文案に直し、増税反対派にも配慮した。安住氏も最終的に「国民に増税をお願いするためには（政府の）今一段の努力も必要だ、という野田首相の判断だ」として、税外収入を約２兆円積み増す妥協案を示した。


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