たろおの小屋

昼間は「聖職者」を演じる永遠の若造「たろお」のつぶやき。
仕事のこと,家族のこと,そして脳出血や失語症のこと・・・。

黎明編【「二周目」の始まり】

2024-03-05 20:09:39 | 脳出血・失語症
「1週間ぐらいの療養休暇になるかな?
 仕事が溜まるなぁ…」
最初はその程度だと思っていた。
それから6か月の療養休暇と、10年ものリハビリ生活が待っているとは…

 8月のお盆休み明け、教職員研修の受付を終えた後、二日酔いの重い頭を引きずりならがコーヒーを一口…
当時は印西市教育センターの指導主事。夏の研修は繁忙期。
「めまいがする。二日酔い? 視野がおかし? 明らかにおかしい…」

 年次休暇を頂き、帰宅しようと思ったが、
「明らかにおかしい!」
と思い立ち、仕事で医師の送迎をしたことがある日本医科大学へ向かった。
結果、これが文字通りの「運命の分かれ道」であった。家まで45分がかかる。
ここで家へ向かったら、途中で事故にあったか、力尽きていたか…。

 病院までは国道を使って15分。その間にも視野が狭くなり続ける。
 事故には要注意で制限速度の半分でゆっくりと進み、病院の駐車場に入れ、病院の玄関に着いた時には、視野はほとんどなかった。実際、病院の広い玄関を見落として通り過ぎてしまうほどだった。

 玄関に案内の方が居てくれて本当に助かった。用意し頂いた車いすに座り込み、症状を聞かれると
「とにかく視野が狭くなっていて、ほとんど見えません。」
と、処置室に運ばれた。氏名を聞かれて答えると、安堵して、そのまま意識を打ちなった。

 次に起こされたのも同じ処置室。
「服を脱がしますね。ご家族の連絡先とかわかりますか? 携帯電話を調べさせてもらいますね…」
既に意識が朦朧としていて、「ますがまま」だった。
 後から知ったのだが、私と同姓の名簿から電話して、最初に連絡が付いたのは娘だったらしい。

 私自身が次に目が覚めた時には、家内が椅子に座っていて、他の家族がそろっていたように見えた。朦朧としていたし、眼鏡を外しているし、既に夕方だったらしく、薄暗くて、よく見えなかったのだが…

 その後、暫くは意識が朦朧としている状態が続いた。
「薬が効かない。血圧が下がらない。熱も下がらない。」
という医師の声が聞こえたことに、少し恐怖していたことを覚えている。
 そして、
「この組み合わせだと効いた!」
という医師の歓喜のような声も鮮明に覚えている。
 後に聞いた話によると、
「血圧286という状態は、私が受け持った患者のなかでも、ワースト3に入る。」
だったらしい。

 こうして、私が予想した1週間を大幅に上回る7か月の療養生活が始まったわけである。


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