午後に蔵前で打ち合わせの後、そのまま歩いて両国まで向かう。友人が出演する公演を観に行くためだ。
途中、神田川と隅田川の合流地点にある「柳橋」と「両国橋」を何の気なしに渡っていたが、いざ幕が開いてから「なんだ、そういやさっき歩いてきたところが舞台なんじゃないかと遅ればせながら気がついた。

座☆吉祥天女の第六回公演『柳橋物語』。原作は山本周五郎
【あらすじ】
江戸時代の中頃、江戸下町。
研屋の孫娘おせんと、大工の幸太、庄吉は幼い頃から馴染みだった。
おせんはふたりから思われていた。
大工の修業の為大坂へ行く庄吉から、帰ってくる迄待っていて欲しい
と言われ、おせんは思わず「待っているわ」と答える。
地震、大火に見舞われ、祖父の源六、幸太を失う。大火の中、拾った
赤子を抱えたおせんを世話してくれたのは、勘十夫妻であったが、
今度は洪水で夫婦を失う。
そんな折に庄吉が江戸に戻ってきた。
という何しろ山本周五郎的な江戸時代の市井における人間劇場なのであった。個人的には日頃、マイノリティだのメディアアクセスだのに関わり、たまに観に行くお芝居も「月蝕歌劇団」とかの世界だったりするわけだが、それでもやっぱり「日本人」だからというのか、一方ではこうした世界に「おしんこを食べたい」とばかりに走っていくのである。
というか、まあ今回は、まみさん(ここ参照)の節目の舞台だとも聞いたから……。
同世代の「姉御」として、ここ10年ほどをお互いに全く異質な分野で走り抜けてきた人だったので、敬意を表しながら、ほぼ最前列で公演を見届けた次第。
もどかしく、どこまでも擦れ違い続ける男女の思い……なんていうテーマで話し出したら、また酒を挟んで大説教をくらいそうだけど、近々また飲めたらいいな。ではでは。
途中、神田川と隅田川の合流地点にある「柳橋」と「両国橋」を何の気なしに渡っていたが、いざ幕が開いてから「なんだ、そういやさっき歩いてきたところが舞台なんじゃないかと遅ればせながら気がついた。

座☆吉祥天女の第六回公演『柳橋物語』。原作は山本周五郎
【あらすじ】
江戸時代の中頃、江戸下町。
研屋の孫娘おせんと、大工の幸太、庄吉は幼い頃から馴染みだった。
おせんはふたりから思われていた。
大工の修業の為大坂へ行く庄吉から、帰ってくる迄待っていて欲しい
と言われ、おせんは思わず「待っているわ」と答える。
地震、大火に見舞われ、祖父の源六、幸太を失う。大火の中、拾った
赤子を抱えたおせんを世話してくれたのは、勘十夫妻であったが、
今度は洪水で夫婦を失う。
そんな折に庄吉が江戸に戻ってきた。
という何しろ山本周五郎的な江戸時代の市井における人間劇場なのであった。個人的には日頃、マイノリティだのメディアアクセスだのに関わり、たまに観に行くお芝居も「月蝕歌劇団」とかの世界だったりするわけだが、それでもやっぱり「日本人」だからというのか、一方ではこうした世界に「おしんこを食べたい」とばかりに走っていくのである。
というか、まあ今回は、まみさん(ここ参照)の節目の舞台だとも聞いたから……。
同世代の「姉御」として、ここ10年ほどをお互いに全く異質な分野で走り抜けてきた人だったので、敬意を表しながら、ほぼ最前列で公演を見届けた次第。
もどかしく、どこまでも擦れ違い続ける男女の思い……なんていうテーマで話し出したら、また酒を挟んで大説教をくらいそうだけど、近々また飲めたらいいな。ではでは。
拙宅から徒歩6~7分の中野「劇場MOMO」での公演で、なおかつ主要キャストである三坂知絵子からご案内もいただいたということで、予約もなしに速攻で観劇(しかしこんな近所に、こうした小奇麗な劇場があるなんて初めて知った)。

題名通り、虚構が幾重にもスパイラル状に織り交ざりながら展開していくという、いわば「メタフィクション」。学生時代、筒井康隆とか(『脱走と追跡のサンバ』とか『虚人たち』とか)にハマッていた私としては、こういうストーリーは大得意だ。
役者さん6人の全員の「演じる身体」の存在感も濃厚。三坂知絵子も、彼女ならではの騒がしさマックスな暴走キャラが上手く嵌り、時に観客をいじるような目線(私も何度か目が合った)が印象的だった。そんなこともあってか、メタフィクションのややこしいストーリーだった割には、すごく歯切れよくテンポよく、1時間40分がアッという間だった感じ(ただ、そのうえで少し気になった点を言うなら「ちょっと盛り込みすぎ?」というところも。例えば「ニュース報道の虚構性」までにも引っ張ったのはそれはそれで興味深かったが、この尺の中でそこまでやるのは、多少窮屈だったかも)。
「人は数字に絡めとられている」とか、あるいはスクリーンに映し出されるタイムコードに伴いながらの展開などには「なるほどね」と思わされた。あと、エンディングはどこか『1Q84』ぽかったけど、これも作・演出の山本清史の言う「死に損なっている」2009年末の世界ならでは終わり方なのかもしれない。

題名通り、虚構が幾重にもスパイラル状に織り交ざりながら展開していくという、いわば「メタフィクション」。学生時代、筒井康隆とか(『脱走と追跡のサンバ』とか『虚人たち』とか)にハマッていた私としては、こういうストーリーは大得意だ。
役者さん6人の全員の「演じる身体」の存在感も濃厚。三坂知絵子も、彼女ならではの騒がしさマックスな暴走キャラが上手く嵌り、時に観客をいじるような目線(私も何度か目が合った)が印象的だった。そんなこともあってか、メタフィクションのややこしいストーリーだった割には、すごく歯切れよくテンポよく、1時間40分がアッという間だった感じ(ただ、そのうえで少し気になった点を言うなら「ちょっと盛り込みすぎ?」というところも。例えば「ニュース報道の虚構性」までにも引っ張ったのはそれはそれで興味深かったが、この尺の中でそこまでやるのは、多少窮屈だったかも)。
「人は数字に絡めとられている」とか、あるいはスクリーンに映し出されるタイムコードに伴いながらの展開などには「なるほどね」と思わされた。あと、エンディングはどこか『1Q84』ぽかったけど、これも作・演出の山本清史の言う「死に損なっている」2009年末の世界ならでは終わり方なのかもしれない。
月蝕歌劇団のスロベニア公演、無事終了したようです(↓)。
「スロベニア公演、無事終了!!」(三坂知絵子PG日記2009年3月29日)
しかしまあスロベニアまで行って、阿佐ヶ谷で普段やってる(ここ参照)のと同じことをやっとったわけね(笑)。
はたして「幻夢ドグラ・マグラ」 なんていうのがスロベニアの観客にどんなふうに受け入れられたのかってのは今一イメージしづらいものがあるけど、「熱烈な拍手をいただきました」というなら何より。
ちなみに上の日記の主は、現在帰路に立ち寄ったギリシャをほっつき歩いているようです。
「スロベニア公演、無事終了!!」(三坂知絵子PG日記2009年3月29日)
しかしまあスロベニアまで行って、阿佐ヶ谷で普段やってる(ここ参照)のと同じことをやっとったわけね(笑)。
はたして「幻夢ドグラ・マグラ」 なんていうのがスロベニアの観客にどんなふうに受け入れられたのかってのは今一イメージしづらいものがあるけど、「熱烈な拍手をいただきました」というなら何より。
ちなみに上の日記の主は、現在帰路に立ち寄ったギリシャをほっつき歩いているようです。
と言いながらもう1本、先日「ザムザ阿佐ヶ谷」で観てきた月蝕歌劇団3月公演『怪盗ルパン・満洲奇岩城篇』について。

例によって三坂知絵子からのお誘いを受けてのことだが、実は月蝕のこの『怪盗ルパン――』の公演を観に行くのは個人的には今回が2度目。というか、今から7~8年前に三坂に誘われて初めて月蝕の公演を大塚の劇場まで観に行ったのが、宝塚が凶暴化したようなこの劇団との、確か最初の出会いだった。
真珠湾攻撃前夜の上海を舞台に、川島芳子と甘粕正彦と李香蘭とアルセーヌ・ルパンと明智小五郎と少年探偵団が、チンギス・ハンに縁のある秘宝の在り処をめぐって入り乱れるというストーリーで、最初に観た際には川島芳子を演じた野口員代という女優の存在感がとても印象に残っていた。
観終わって外に出ようとしたら、どういうわけか木下ちかや氏に声をかけられてビックリ。
というのも、この人とは昨年来、「G8メディアネットワーク(G8MN)」のミーティングでは事前段階から何度となく顔を合わせていた人なのである。さらに、G8期間中に札幌で行われた大規模デモ「ピースウォーク」の際には、逮捕者が出た混乱状況の最中で終始お互い近くにいたほか、その後も札幌中央署の前まで一緒に抗議に行ったり、後の大通公園横における右翼(愛国党)街宣車vs欧米からの反グローバリズム活動家たちとの一触即発的な攻防にも居合わせたという、ある意味で同じ時間を共有してきた人なのであった。
で、なんでそういう人と阿佐ヶ谷での月蝕歌劇団公演で会うのかと思いながら聞くと「新宿ゴールデン街で高取英さんに『観に来い!』と誘われた」とのことだった。そういえばG8後も木下さんとは新宿でよくばったり顔を合わせたな。
そうこうするうちに、舞台を終えた三坂知絵子もやってきた。
「二度目で懐かしかったよ」と言うと、実は7~8年前の前回公演のキャストの中で今回も舞台に上がったのは三坂1人だけなのだという。
思い起こせば、前回の頃にははまだまだ若手の印象もあった彼女も、今や古株の域である。演じる役柄も前回は上海マフィアの一人、今回はルパンの片腕だったということで、「三回目は甘粕正彦か?」と冷やかす。
ちなみに月蝕歌劇団は今月末に久々の海外公演として「スロベニア演劇祭」に出向くとのこと。三坂もスロベニアまで同道するらしい。
スロベニアは1991年に旧ユーゴスラビアから独立した国で、もちろん私は訪ねたことがない。
ただ、1993年に私が半年間バックパッカーをやっていた際に、パキスタン東部の大都市クエッタのサルベーション・アーミーで、スロベニア出身の当時23歳だった青年「ダルコ」と知り合い、イランのイスファハンまで10日間ほど一緒に旅をしたことがある。だから何だか思い出深い。
旧ユーゴ時代にサラエボで兵役経験があり「美しかった街があんなことになっちゃって……」と嘆いていたダルコに「なんでボスニアはああいうことになった?」と旅の最中に聞いた覚えがある。
「僕もセルビアやモスレムに友達がいたし、彼らと連絡がつかないんでわからないけど……ひとついえるのはセルビアの連中が無学で『大セルビア主義』みたいなのを吹き込まれると『おおお!』ってなっちゃうんだよ」と言っていたのが印象的だった(ちなみに、当時まだ20代だった私には辛うじてその程度の英会話力はあった ^_^;)。
ちなみに彼とは、イスファハンの高速バスターミナルで握手して分かれた後、帰国後に英語で手紙をもらったが、返事を出さないままに終わってしまっている。
ダルコはスロベニアの中でも大きな都市であるリュブリアナの出身だった。三坂にそれを伝えたら「リュブリアナにも行きますよ!」ということだったので「よく見て来て。報告を楽しみにしてるから」と伝えた。
当時29歳だった私よりもさらに6歳下の”相棒”も、無事に生きていれば今や不惑の域に達しつつあるはずだ。もとより、もう会えないとわかっているけど、やっぱり気になるのだ。「袖触れ合う他生の縁」かどうかは知らないけど。
ちなみに月蝕歌劇団のスロベニア公演については財政的にもいろいろシビアな問題を抱えているようで、今回の公演でもカーテンコールなどで「ぜひともサポート(カンパ)をお願いします!」と熱心に呼びかけていた。一口2000円から受け付けているそうなので、関心のある方々にはぜひ上記の公式サイトなどを通じて御支援をばと私からもお願いする次第。ではでは!

例によって三坂知絵子からのお誘いを受けてのことだが、実は月蝕のこの『怪盗ルパン――』の公演を観に行くのは個人的には今回が2度目。というか、今から7~8年前に三坂に誘われて初めて月蝕の公演を大塚の劇場まで観に行ったのが、宝塚が凶暴化したようなこの劇団との、確か最初の出会いだった。
真珠湾攻撃前夜の上海を舞台に、川島芳子と甘粕正彦と李香蘭とアルセーヌ・ルパンと明智小五郎と少年探偵団が、チンギス・ハンに縁のある秘宝の在り処をめぐって入り乱れるというストーリーで、最初に観た際には川島芳子を演じた野口員代という女優の存在感がとても印象に残っていた。
観終わって外に出ようとしたら、どういうわけか木下ちかや氏に声をかけられてビックリ。
というのも、この人とは昨年来、「G8メディアネットワーク(G8MN)」のミーティングでは事前段階から何度となく顔を合わせていた人なのである。さらに、G8期間中に札幌で行われた大規模デモ「ピースウォーク」の際には、逮捕者が出た混乱状況の最中で終始お互い近くにいたほか、その後も札幌中央署の前まで一緒に抗議に行ったり、後の大通公園横における右翼(愛国党)街宣車vs欧米からの反グローバリズム活動家たちとの一触即発的な攻防にも居合わせたという、ある意味で同じ時間を共有してきた人なのであった。
で、なんでそういう人と阿佐ヶ谷での月蝕歌劇団公演で会うのかと思いながら聞くと「新宿ゴールデン街で高取英さんに『観に来い!』と誘われた」とのことだった。そういえばG8後も木下さんとは新宿でよくばったり顔を合わせたな。
そうこうするうちに、舞台を終えた三坂知絵子もやってきた。
「二度目で懐かしかったよ」と言うと、実は7~8年前の前回公演のキャストの中で今回も舞台に上がったのは三坂1人だけなのだという。
思い起こせば、前回の頃にははまだまだ若手の印象もあった彼女も、今や古株の域である。演じる役柄も前回は上海マフィアの一人、今回はルパンの片腕だったということで、「三回目は甘粕正彦か?」と冷やかす。
ちなみに月蝕歌劇団は今月末に久々の海外公演として「スロベニア演劇祭」に出向くとのこと。三坂もスロベニアまで同道するらしい。
スロベニアは1991年に旧ユーゴスラビアから独立した国で、もちろん私は訪ねたことがない。
ただ、1993年に私が半年間バックパッカーをやっていた際に、パキスタン東部の大都市クエッタのサルベーション・アーミーで、スロベニア出身の当時23歳だった青年「ダルコ」と知り合い、イランのイスファハンまで10日間ほど一緒に旅をしたことがある。だから何だか思い出深い。
旧ユーゴ時代にサラエボで兵役経験があり「美しかった街があんなことになっちゃって……」と嘆いていたダルコに「なんでボスニアはああいうことになった?」と旅の最中に聞いた覚えがある。
「僕もセルビアやモスレムに友達がいたし、彼らと連絡がつかないんでわからないけど……ひとついえるのはセルビアの連中が無学で『大セルビア主義』みたいなのを吹き込まれると『おおお!』ってなっちゃうんだよ」と言っていたのが印象的だった(ちなみに、当時まだ20代だった私には辛うじてその程度の英会話力はあった ^_^;)。
ちなみに彼とは、イスファハンの高速バスターミナルで握手して分かれた後、帰国後に英語で手紙をもらったが、返事を出さないままに終わってしまっている。
ダルコはスロベニアの中でも大きな都市であるリュブリアナの出身だった。三坂にそれを伝えたら「リュブリアナにも行きますよ!」ということだったので「よく見て来て。報告を楽しみにしてるから」と伝えた。
当時29歳だった私よりもさらに6歳下の”相棒”も、無事に生きていれば今や不惑の域に達しつつあるはずだ。もとより、もう会えないとわかっているけど、やっぱり気になるのだ。「袖触れ合う他生の縁」かどうかは知らないけど。
ちなみに月蝕歌劇団のスロベニア公演については財政的にもいろいろシビアな問題を抱えているようで、今回の公演でもカーテンコールなどで「ぜひともサポート(カンパ)をお願いします!」と熱心に呼びかけていた。一口2000円から受け付けているそうなので、関心のある方々にはぜひ上記の公式サイトなどを通じて御支援をばと私からもお願いする次第。ではでは!