訪問日時:2/3(土)15時ごろ
午後に運動がてら自宅から浜田山まで自転車を走らせた。方南通りを進み大宮八幡宮を過ぎて、井ノ頭通りと交わる手前で偶然にも発見してしまった「不二家レストラン」。抑えられない衝動で、指定の場所に駐輪し店内へ入る。ホットケーキが食べたくなったのだ。
なぜ不二家レストランのホットケーキなのか?広いファミリー席に独り。出されたシンプルなホットケーキは今のSNS界隈でいうところの”インスタ映え”とは程遠い地味なビジュアル。しかしこのホットケーキには母との思い出がたくさん詰まっている。子供のころに池袋の某デパートのレストラン街に連れていってもらった記憶がよみがえる。成人になっても仕事帰りに母と待ち合わせた不二家レストラン。必ずホットケーキをお願いしていた。とても懐かしい。いつしか私も所帯を持ち、やがて母と行く機会も少なくなってしまった。月日は流れる。母はすでにこの世にはいない。
めくるめく懐かしい思い出と同時にクエンティン・タランティーノ監督作品の「パルプ・フィクション」の場面も思い浮かんだ。ジョン・トラボルタがレストランで3枚重ねのホットケーキに左手のフォークで一枚一枚めくっておさえながら右手でバターを乗せたナイフを隙間の奥にしのばせて無造作に塗りたくっているのだ。私も真似をしてみる。意外に厚みと重みがある。バターを塗った後に一枚6等分になるようにカットして上からたっぷりとメイプルシロップをかけて頬張るのだ。
こうして不二家レストランのホットケーキには私にとって特別の思いがある。ホットケーキが"私"の一部分を再現してくれる。一人称の私の内面世界でもあるのだ。