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PIZZICATO FIVE / Tokyo, mon amour

2020-09-27 01:55:15 | 音楽・CD

Tokyo, mon amour - Pizzicato five

 『Tokyo,mon amour』はPizzicato fiveのアルバム「ROMANTIQUE 96」(1995年)の中の一曲。これまでのPizzicato fiveのアルバムの時系列のことは語る余裕は今はないけれど、少なくとも小西康陽の屈指のレコードコレクタぶりをいかんなく発揮してきた音楽性の驚異的な広がりはとどまるところを知らないわけで、それはなにはともあれ野宮真貴という世界に二つとない高音域でのあの艶の増幅ぶりの声とタレント性を持ち合わせたヴィジュアルは小西康陽が身上としてきた悲しみの情念をあっけらかんとした表情で歌いきってしまう、まさに野宮ワールドとして包み込んだ表現にしてしまう才能とも合わさった小宇宙を二人で奏でてきた。この『Tokyo,mon amour』の中の「この街は…」は一体東京なのかそれとも、パリなのか?ピアノと跳ねたベースラインでシンプルに進んでいく曲調に、間奏でフランス語のナレーションを挿入する効果は今までもあったが、続く次の間奏では静かなピアノの弱音から一気に分厚く壮大なストリングスを鳴り響かせるあたりのドラマティックさは憎いほどの感性を見せつけられて、誰もが迂闊にも胸にグッときてしまい、もう東京だろうがパリだろうがどちらでもいい、今この悲しみの高揚感に誘われるだけで幸せなのだ。フィナーレでもサクスフォンでのフェードアウトで締めくくる、無常観にも似た言い知れない前触れ感は、実はアルバムでは次の最後の曲が「悲しい歌」への鮮やかな仕掛けを思わせる。下手をしたら「ROMANTIQUE 96」はこの歌の為にあるのではないかというくらいのポップでメロディアスな名曲が控えていること伝えておこう。それでも私はこの「Tokyo,mon amour」が気に入っている。小西康陽の執拗な悲哀の情熱にたっぷりと浸かることができるのである。



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