それにしても、小さくつつき千切られた種の欠片が、ど(のよ)う(に)口に入っているのか分からず、途中から目一杯、目を凝らし見ていたが、やはり分からない(かった)。
というのもAからB、Cまで二(、三)メートルないくらいかもだがDまではさらに一、二メートル離れている感じ。実は、どう口に入っているのかだけでなく一連の動作もDの位置から、なんとなくそう見えたに過ぎず、実際のところは微妙に違った動作・行動をしているかも、である。
この器用な食事ぶりを何度も見ているだろうBとCが声を揃えて
「「おかわりか!?」」
と。果たして雀より一回り小さな野鳥Aはさっきと同じように土の上から一粒選んで鉢の縁の上に殻付き種をしっかりホールドしている。
「(おかわりと)みせかけてプレ・・・」
「だから、ふざけないで。」
はしゃぐBとやや困惑のCをよそに先ほどと同じように殻を割ってると思っていたら今度はいきなり中身の種を取り出すA。殻の上部分が大きくひび割れたからかもしれない。
そして、取り出した(白っぽい)種(の本体)を縁に置いて、土の上へ。
遠目のDにも白い種(の本体)がそのまま置いてあることが分かる。
鉢の中から縁に戻ったAの嘴に新たな(殻付き)ヒマワリの種がくわえられている。今度は両脚でホールドすることなく、そのままわずかに開いた窓の向こう、手すりにある止まり木に飛び移って、ひと呼吸置く間もなく飛び去って行った。この三粒目の行動がテイクアウトだろうと推察を加えるD。
Aが去ったことにより息を潜め気味な時間よ止まれ状態が終わって、BとCの二人とアイコンタクトした瞬間まで時計の針が戻った感覚になるD。
BとCの真意はわからないが考えておいた言い訳を破棄して、昼休みに二人の会話を聞いてしまったことから正直に話そうと決意する一瞬の間が生じる。そのためBのDへの唐突な問いを許してしまう。
「あの二粒目、どうして、あのままなのかな。」
植木鉢の縁に取り出されたまま残された手付かずの(白い)種(の本体)のことを指しているのだろうが(どうしてなんて)分かるわけがないと思うD。
その前に何故、Dがここにいるか気にならないのかとか、その質問の前にあの鳥についてある程度の情報を提供してから二粒目について問おうと思わないのかなどとBについて思わないでもないD。
しかし、指摘通り二粒目の種について不思議と思うD。
そうか、あの二粒目がBの言うとことのプレゼントかと推し測りつつプレゼントというキーワードはDがCの部屋に来た経緯を正直に話した後に口にしたいところだと時系列も気にするD。
初見でまともな意見、考えを導けるとは思えなかったが先ずはプレゼント説を検討するため、Aの行動について頭の中で整理を試みる。
つづく
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