まだ、霧が濃い朝8時。
神社から神輿が出る。
子供は鮮やかな青い法被に身をまとい、
大人はしまった黒の法被で身を清め、
村中の幸せを神様に感謝しながら
村をしっかりと1周する。
太鼓の音がゆっくり鳴り響き、
静かな村が活気づく。
“わっしょい。わっしょい。”
かわいい子供の声に呼び出され、
村人は神輿を待ちながら、
井戸端会議を繰り広げる。
笑顔が溢れる時間を、優しい秋日和が包み込む。
少し体の大きくなった姪っ子葵は、
小さくなった去年の法被を着せてもらい、
小学生のお兄さんお姉さんに紛れて、
一緒に神輿を引く。
紅白の紐にぶら下がるようにしがみつき、
一生懸命神輿を引いた。
不安げで心細そうにも見える。
逞しく力強くも見える。
姪っ子の成長に胸が熱くなる。
ドンドンドン
わっしょい。
わっしょい。
ドンドンドン
わっしょい。
わっしょい。
懐かしくされど新しい。
伝統が進化していく感覚。
吸い込まれるような深い自然に、
忘れてはならない大切な“想い”が交差して、
頑張る勇気が湧いてくる。
ありがとう。
かわいい子供神輿が
大人の心を癒してくれた。