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部活動中に突然倒れた中学教諭 救ったのはバスケ部員たち

2023-10-06 14:02:58 | メディア
部活動中に突然倒れた中学教諭 救ったのはバスケ部員たち…危険な不整脈 いざという時の対応は
10/6(金) 10:00配信
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 2022年の救急車の出動件数は722万9838件(速報値)で、統計を取り始めた1963年以降で最多となりました。119番通報をしてから救急車が現場に到着するまでの時間は約9.4分(21年の全国平均)で、所要時間は延びる傾向にあります。心臓が止まった人に気づいて、救急隊の到着前に応急手当てを実施した場合、1か月後の生存者数の割合は、しなかった場合と比較すると約2倍になるとされ、データからも初期対応の重要性が裏づけられています。 【図解】女性が倒れた! AED使用、ためらうかも…服を脱がせない方法も

学校にいた唯一の大人が…

「このAEDを使い、生徒たちが命を救ってくれました」と話す越川さん
 21年5月3日、神奈川県の鎌倉市立第一中学校では、男子バスケット部の部員約20人が体育館で汗を流していた。  練習は午前9時にスタート。ウォーミングアップをしてから、ダッシュを繰り返し行った。その後は、ドリブルの練習。顧問で同中教諭の越川崇憲さん(33)の笛を合図に、部員たちは、メニューをこなしていた。  「先生の笛の音が聞こえない」  午前10時30分ごろ、部員たちが、異変に気づいた。越川さんが立っていた体育館の入り口の方に目をやると、倒れていく姿が目に入った。  急いで駆け寄り、声をかけたが、反応はない。すぐに1人の部員が、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を始めた。  この日は、大型連休のまっただ中。学校には、倒れた越川さん以外に大人はおらず、職員室は鍵がかけられていた。生徒たちは学校に携帯電話を持ち込むことが禁止されており、その場で119番通報をすることはできなかった。誰かに助けを求めようと、別の部員が体育館を飛び出した。すると、たまたま校門付近に通行人がいた。事情を話して携帯電話を借り、救急車を呼んだ。体育館の入り口にあるAED(自動体外式除細動器)を取りに走った部員もいた。  救急隊が到着するまでの約10分間、部員たちは交代で胸骨圧迫を続け、AEDで電気ショックを流した。隊員が到着すると、脈と呼吸が確認できた。

最も危険な不整脈

読売新聞社
 越川さんは理科の教諭。以前は陸上競技などをしていたという。  この日、越川さんは部員たちと一緒に、ダッシュをしていた。「走ったあと、心臓がバクバクしていたんです。でも、『ダッシュをしたのだから当然かな』『マスクをしていたから息をしづらいのかな』とか、その程度にしか考えていませんでした」  心臓などに持病はなかったが、倒れたときは「心室細動」を起こしていた。命にかかわる最も危険な不整脈だ。「実際の原因は分かりませんが、残業続きで睡眠不足になっていたことが影響しているかもしれません」と越川さんは話す。  心臓は、上部の「心房」にある「洞結節」と呼ばれる部分が電気信号を生み出し、「心房」→「房室結節」→「心室」と伝わることで、規則正しく動いている。心室細動は、何らかの理由で心室内における電気信号の流れに乱れが生じ、非常に速い脈となって心臓が収縮せずに震えただけのような状態になる病気だ。その結果、心室(左心室)から全身に血液を送り出せなくなり、命にかかわる。  薬は効きにくく、1回でも心室細動を発症した場合は「植え込み型除細動器」を胸に植え込む手術が、日本のガイドラインで強く勧められている。「小型のAEDのようなもの」で、再び発作が起きた場合、不整脈を検知して電気ショックを行い、不整脈を止めることができる。  越川さんもこの装置を植え込み、今は半年に1回通院している。主治医で湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)循環器科部長の飛田一樹さんは、「心室細動は頻度としては少ないですが、性別や年齢、持病の有無にかかわらず、いつ、だれが起こしてもおかしくない心臓病です。今回、命を救えたのは、心停止を起こした直後から、生徒たちが素早く胸骨圧迫を実施し、AEDを使用したからと考えられます」と強調する。
保健体育の授業で
 越川さんの救助に当たったのは2、3年生の部員が中心だった。3年生は、その2か月ほど前、保健体育の授業で心肺蘇生の方法を学んだばかりだった。授業では、「道端で人が倒れていたらどう助けるか」という想定でドラマ仕立ての学習もしていた。2年生は、心肺蘇生についてまだ習っていなかったが、教科書に載っていた記憶を頼りに胸骨圧迫をしたという。  越川さんは「今、生きているのは、バスケ部の部員たちのおかげ。まさに命の恩人です」と感謝する。
AEDの使用は4%
飛田一樹さん

 総務省消防庁によると、21年に、心臓が止まった人に気づいて、救急隊が到着するまでの間に、市民によって応急手当てが施された場合、1か月後の生存者数の割合は14.1%だったが、手当てをされなかった場合は7.0%にとどまった。飛田さんは「いざというときに備えて、AEDの使い方を学んだり、心肺蘇生の仕方を練習したりする講習会に参加しておくことが大切です」と強調する。だが、同年に、一般市民が見ているところで心停止になった2万6500人のうち、AEDが使われたのは1096人(4.13%)しかいなかった。  路上などで倒れている人を発見した場合、AEDがどこに設置されているか分からないということも少なくない。そうした場合、AEDがどこにあるかを示してくれるスマートフォン向けのアプリをダウンロードしておくと、役に立つ。
予防は難しいが…
 心臓が原因で、突然心停止になる人は年間約8万2000人。その原因の多くが、心室細動と考えられている。この病気は予防するのが難しいが、心臓の血管が狭くなる狭心症があって未治療である、急に血管が詰まって心筋が壊死(えし)する心筋梗塞(こうそく)を発症した、心臓の筋肉に異常をきたす心筋症がある――と、起こしやすくなる。  飛田さんは「心臓に持病があることを分かっていたり、息切れなどの症状があったりする方、血縁者で突然死をした方がいる方は、定期的に検査を受けるなどして健康状態をチェックしてほしい」と呼びかける。  その上で、適度に体を動かすことも心がけてほしいという。心臓病などの生活習慣病の発症予防につながるからだ。飛田さんは「心臓に持病がある方は、運動の強度などについて主治医と相談しておくと安全です。今まで心臓の病気を指摘されたことや自覚症状がなく、家族にもそうした方がいない場合は、運動制限を行う必要はありません」と話している。(読売新聞メディア局 利根川昌紀)
 

 

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