1月20日(水)定期勉強会
★耳鼻科→吉海・石元 『甲状腺』について
甲状腺の働き
甲状腺は、食べ物に含まれるヨードを材料にして甲状腺ホルモンを作り、血液中に分泌するところです。甲状腺ホルモンには、体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。つまり、活動する為に必要なエネルギーを作り、快適な生活を送るためになくてはならないホルモンです。甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても体調が悪くなってしまいます。多くなったり少なくなったりすると、全身に様々な辛い症状が現れ、原因がわからない体調不良や疲れがたまった状態などが続きます。
甲状腺の主な異常
○甲状腺ホルモンが多い状態(病名:甲状腺機能亢進症、バセドウ病など)
●甲状腺ホルモンが少ない状態(病名:甲状腺機能低下症、橋本病など)
●甲状腺が炎症を起こしホルモンが不安定になる(亜急性甲状腺炎)
○甲状腺におできができた状態(良性、悪性)
バセドウ病について
甲状腺機能亢進症の代表的な病気がバセドウ病です。特徴として女性患者が男性患者よりも5倍多いといわれています。
症状
甲状腺ホルモンが必要量より大量に産出され、血液中に多く流れ全身の新陳代謝を活発させる為に、常にジョギングをしているような状態で脈拍が速い・汗が多い・暑がりで疲れやすくなる・37.5℃前後の微熱といった症状や、精神面では落ち着きがない・イライラ感や不眠感・食欲が増えても体重が減ってしまう人や、むしろ食べ過ぎて体重が増えてしまう人もいます。顔つきや目つきがきつくなったり、眼が出てくる眼球突出はバセドウ病の代表的な症状ですが、眼球突出をきたす割合は3割程度です。
治療方法
甲状腺ホルモンが過剰につくられないようにするものです。抗甲状腺剤の内服、手術、アイソトープ治療の3つの治療法がありますが、病気の程度やライフスタイルによって選択は異なります。
抗甲状腺剤の内服:病気の軽い人、甲状腺腫が小さい人などです。長期にわたる服用が必要です。(薬名:メルカゾールなど)
手術療法:甲状腺腫が大きく早く確実に治したい人ですが、入院が必要で傷跡が残ります。術後も薬物治療が必要な場合もあります
アイソトープの放射線療法:中年以上で甲状腺腫が小さい人ですが、効果がすぐには出な、将来薬物治療が必要となる場合もあります。
橋本病について
甲状腺機能低下症の代表が橋本病です。
症状
バセドウ病とは正反対で、甲状腺ホルモンの量が不足して新陳代謝が低下し、すべてが老けていくような症状がみられます。無気力で頭の動きが鈍くなり、忘れっぽく、ひどくなると痴呆の原因の1つにもなります。寒がりで皮膚も乾燥してカサカサになったり体全体がむくむ、髪の毛が抜ける、眠気などがありボーっとして活動的でなくなります。
治療方法
橋本病で治療が必要なのは、甲状腺が腫れて大きくなり、喉に違和感がある人、甲状腺機能が低下している人です。
甲状腺ホルモン剤を服用:甲状腺が腫大し、喉に違和感がある人や甲状腺機能が低下の人です。甲状腺が非常に大きくなり気管を圧迫している時は手術も必要な場合があります。不足している量の甲状腺ホルモンを、薬として内服(補充)します。補充療法ですから根本的に治癒しないため一生毎日薬を飲み続けて頂く事となります。(薬名:チラーヂンなど)
※甲状腺機能が正常な人は薬の必要はありません。しかし病気が進行し甲状腺の働きが低下して甲状腺ホルモンが不足する可能性があります。3~6ヶ月に1度ずつ必ず診察を受けてください。
検査
甲状腺機能検査
甲状腺機能に異常があるかどうかは、甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの血中濃度を測定すればわかります。甲状腺ホルモンにはトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)と2種類があります。血液中に遊離したこの2つのフリーT3とフリーT4を測定すれば甲状腺機能が正常か、亢進しているか、低下しているかがわかり使用している薬の効果も調べる調べることが出来ます。また、脳下垂体から分泌されるTSHという甲状腺刺激ホルモンはT3とT4の量をコントロールするのでTSHもあわせて測定する事により、甲状腺機能に異常があるかどうかがわかります。
甲状腺機能に異常が起こると調節がきかなくなり甲状腺ホルモンの量が過剰になったり少なくなったりするのです。フリーT3フリーT4が高くTSHが低くなれば甲状腺機能亢進症で、フリーT3フリーT4が低くTSHが高くなれば甲状腺機能低下症となります。
甲状腺画像検査
甲状腺の大きさ、炎症や血流の程度や腫瘤があるのか腫瘤の性質やリンパ節への転移などがわかります。甲状腺の病気をしている人に最低限必要な検査です。
喉の腫れや喉の違和感がある方は甲状腺の病気の可能性もありますので早めの受診をお薦めします
その後に電子カルテの入力研修がありました
説明後に各科わかれてpcでの作業を行いました
PSCの皆さんありがとうございました