時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

勝利の女神はイタズラ好き?

2022年02月20日 | スポーツ観戦

多摩爺の「スポーツ観戦(その30)」
勝利の女神はイタズラ好き?(北京2022)

カーリングって面白いな! 楽しそうだな!
前回大会で、そのような印象をもたらしてくれた日本代表(ロコ・ソラーレ)の娘さんたちが、
今回も大活躍を見せてくれ、九分九厘追い詰められていた土俵際から、なんと決勝まで勝ち上がり、
いつもより、ゆっくりと目覚めた休日の朝の、もぐもぐタイム(ブランチ)を、
ハラハラドキドキから、ワクワクドキドキの・・・ お楽しみタイムに変えてくれた。

なんだかんだ、いろいろあった北京オリンピックが・・・ 最終日を迎えた。
最後の最後までゼロコロナ政策が貫かれ、厳戒状態の下で行われた大会だったが、
おそらく、閉幕とともに開催国のトップと、開催国のプロパガンダに協力したIOCの会長は、
大成功だったと・・・ 世界に向けて発信するのであろう。

不可解な審議や判定に加え、いつもとは違った規定違反に、想定外の低評価があったりして、
首をかしげるような場面があまりに多く、大会が進むにつれて興醒めするなか、
15歳ながら、圧倒的な強さを誇るフィギュアスケート選手にドーピング騒動が発覚してしまい、
スポーツの光と影はさることながら・・・ 見たくもない闇まで見せつけるのだから、
勝利の女神は、いったいなにがしたかったのだろうか・・・ イタズラをするにも程がある。

我が国の代表選手に目を向ければ、勝者が流す歓喜の涙、感謝のコメントがある一方、
気まぐれな勝利の女神が、仕掛けた悪ふざけに、悔し涙を流したアスリートもけっこういた。
スポーツは爽やかで清々しいものだが・・・ 順位を決めることもあって、
ときには複雑な思いとともに、胸が締め付けられるような場面に遭遇することがある。

2020年2月、北京の夜空から降臨した、気まぐれな勝利の女神が仕掛けたイタズラに、
この国を代表するエースアスリートたちが・・・ 不運にも足下をすくわれている。

スキージャンプの団体混合で、日本女子の絶対的なエースが、
着用スーツに違反があったとの判定を受けてしまい、失格になってしまった。

フィギュアスケート男子では、オリンピック三連覇に挑んだ大エースが、
リンクにできていた小さな穴に足を取られてしまい、勝負所の演技が飛んでしまった。

スピードスケートの女子パシュートでは、九分九厘の勝利を確信した最終コーナーで
勝利の女神が・・・ 突然、魔物と化して仕掛けたイタズラは、まさかまさかの転倒だった。

期待していたアスリートたちが見舞われた、アクシデントとアンラッキーに、
心が痛くなってしまったのは・・・ 私だけではあるまい。

北京2022の結果だけを捉えて、もの申すのはいささか乱暴かもしれないが、
この国のウインタースポーツを、先頭に立って牽引してきた二人のトップアスリートが、
第一線から退く、ターニングポイントになったのかもしれない。

一方では個人で14、団体で4のメダリストたちが誕生した。
絶対的なエースが勝ち取った、お家芸ともいえるスキージャンプに加え、
かつては服装や発言で、アウトロー的なイメージがあって、色眼鏡で見られていたスノーボードを、
一気にメジャー競技に持ち上げ、青空を背にして、雪上を高く舞った若者たちに、
テレビの前で拳を握りしめ・・・ 割れんばかりの拍手と喝采を送っていた。

さらには前回大会での無念を、見事に晴らしメダルを獲得したモーグル、
抜群の安定度で、確実にメダルを加えていった・・・ スケートリンクの強者(つわもの)たち、
他力本願だったとはいえ、崖っぷちからメダルを手にした、とっても明るい女性たちには、
ハラハラドキドキしながら、応援をさせてもらっていた。

この舞台に立つまでに汗を掻き、涙を流して培った・・・ スキルの凄さは、もちろんのことだが、
改めて思うに、人並み外れたメンタルの強さに、アッパレを贈りたい。

運否天賦(うんぷてんぷ)という言葉がある。
運否(幸運と不運)は、天賦(天から授けられるもの)だという意味があって、
平たく言えば・・・ 結果は天の意志に任せるしかなく、
どんなに頑張っても、どんなに頑張っても・・・ 
結果は別ものということである。

テレビを見ながら、応援することしかできない我々は・・・ 結果だけに一喜一憂し、
SNSを使って思いつくままに「あぁだ。こぉだ。」と、好き勝手なコメントを発して満足する。

しかし・・・ 競技に挑んだアスリートたちの、目元に光り、頬を伝う涙は、
この日、この時がくるまで、長い時間をかけて積み重ねてきたプロセスを振り返って、
けっして表に出ることはない、限られた者しか知らない秘話に思いを馳せたからではなかろうか?

亡き母の言葉を胸に、天からの後押しを受けて、
スピードスケートでメダルを獲得した、8人兄弟の末っ子の秘話は、
メダルを取ってなきゃ、埋もれていたエピソードだったと思うと、
こういった人間ドラマを知ることができたことも・・・ オリンピックならではのことだろう。

メダルが期待される選手たちに、注目が集まることは、
メディアがストーリーを組み立て、映像を提供していく上では、仕方のないことだと思うが、
大会に出場する選手たちのほとんどは・・・ 結果的にメダルとは無縁の選手たちであり、
彼ら、彼女らにも、けっして表にはでてこない秘話があったはずだろう。

閑話休題、選手村と会場だけの往復を強いられ・・・ ストレスが堪るなか、
「東京2020」のときもそうだったから、特に驚くほどのことではないと思うものの、
声出し応援は、マナー違反だったはずなのに、
中国選手が登場したときにだけ「加油!加油!」の絶叫だから、これには閉口するしかないだろう。

この国がマナーを守るなんてことは、ハナから信じてなかったが、
どこから、これだけの・・・ ガソリンスタンド関係者(油屋さん)を動員したんだと驚く。

さらにそれをカメラで追い、国威発揚の化身として、世界に向けて発信する報道姿勢は、
まさに、プロパガンダそのものであって、
こういった国が、世界の主導権を握ろうとしてることに・・・ 恐怖すら覚えてしまった。

「勝てば官軍」という言葉があるが、
スポーツの世界では、勝利しメダルを獲得することは栄誉のあることだが、
勝利が総てではないと・・・ 私は思いたい。

ひたすら、自己の限界に挑み続け、堂々と胸を張ってゴールした勇姿を、
次代を担う子供たちの心に、強く強く印象づけてくれたことは、
途轍もなく大きな財産になるだろう。

なにはともあれ、たくさんの感動をありがとう。
お疲れさまでした。

追伸
日本代表チーム(ロコ・ソラーレ)は、残念だった。
とはいえ・・・ 堂々の銀メダルは、本当にアッパレだと思う。

両チームの消費時間差3分弱が物語るように、
相手は次の一投の選択に悩むことなく、思い切った作戦が取れたのに対し、
日本代表は、投げる事にさまざまな選択肢が生じており、作戦を複雑化させてしまった。

素人が批評することは控えねばならないが、
あえて言うなら・・・ 勝利の女神のイタズラというか、
運否天賦(うんぷてんぷ)だったと、捉えるしかなかったのかもしれない。


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2022年 2月 4日(金)~20日(日)
冬季オリンピック 北京大会

[金メダル] 3個
 1. 6日(日) スキージャンプ    男子ノーマルヒル  小林陵侑
 2.11日(金) スノーボード     男子ハーフパイプ  平野歩夢
 3.17日(木) スピードスケート   女子1000M   高木美帆

[銀メダル] 6個
 1. 7日(月) スピードスケート   女子1500M   高木美帆
 2.10日(木) フィギュアスケート  男子シングル    鍵山優真
 3.12日(土) スキージャンプ    男子ラージヒル   小林陵侑
 4.13日(日) スピードスケート   女子500M    高木美帆
 5.15日(火) スピードスケート   女子団体パシュート 日本代表チーム
 6.20日(日) カーリング      女子        日本代表チーム

[銅メダル] 9個
 1. 5日(土) フリースタイルスキー 男子モーグル    堀島行真
 2. 7日(月) フィギュアスケート  団体        日本代表チーム(暫定順位)
 3.10日(木) スノーボード     女子ハーフパイプ  冨田せな
 4. 〃 (〃) フィギュアスケート  男子シングル    宇野昌磨
 5.12日(土) スピードスケート   男子500M    森重航
 6.15日(火) スノーボード     女子ビッグエア   村瀬心椛
 7. 〃 (〃) ノルディク複合    個人ラージヒル   渡部暁斗
 8.17日(木) ノルディク複合    団体        日本代表チーム
 9. 〃 (〃) フィギュアスケート  女子シングル    坂本花織


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