時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

明けの明星とウルトラセブン

2020年08月02日 | 時のつれづれ・葉月 

多摩爺の「時のつれづれ(葉月の3)」
明けの明星とウルトラセブン

年寄りの朝は早い。
その分だけ、床に就くのも早いので、トータルでの睡眠時間は大差はないんだろうが、
先人は、早起きは三文の徳って云ったぐらいだから、
早寝早起きは、健康的で良いことなんだと思う。

いつものように、早朝からカーテンを開けて、テラスに出て大きく深呼吸すると、
昨日、長かった梅雨が明けたことが何となく分かるから面白い。
若干、むしむししてるものの、東の空の雲間から・・・ 明けの明星が見える。
雲ひとつない
快晴ではないものの、こんな朝は、ホントにホントに何日ぶりなんだろう。

閑話休題
明けの明星というと・・・ 私は、いつも半世紀も前の、あるテレビ番組のことを思いだすので、
時代を一気に遡って、そのころの思い出を少し語ってみたい。

1964年(昭和39年)東京オリンピックを成功させた我が国は、
1970年(昭和45年)大阪万国博覧会を次なる目標に、高度経済成長に猛進していた。

それは、コロナ禍に苦戦しながらも、
2021年の東京オリンピック、2025年の大阪万博を目指すいま、

なにがあっても、けっして挫けることなく、
前を向く日本人の姿に・・・ なにか通じるものがあったのかもしれない。


昭和40年代・・・ 後にそれは、高度経済成長とよばれた時代だった。
丁度その頃を境に、子供たちの憧れだった二丁拳銃の正義の味方がテレビ画面から姿を消し、
怪獣や地球征服を企む宇宙人と戦う新たなヒーローが登場する。

昭和41年から始まったウルトラマンやマグマ大使が、その先駆けになるのだが・・・
昭和42年の秋になると、永遠のヒーロー「ウルトラセブン」がテレビ画面に登場する。

思い起こせば・・・ ウルトラマンが、後にウルトラ兄弟としてシリーズ化され、
今日に至ってもなお、圧倒的な人気を保っているのも、
ウルトラセブンという伝説的なヒーローの存在無くしては語れない。


特に最終回でみせてくれた、愛と絆の感動のシーンは、

当時の少年の心に強く共鳴し、半世紀の時を経て、
年金暮らしを始めた爺さんの心を・・・ 今なお強く掴んで離さない。


よって・・・ そのシーンを振り返ってみたい。
半世紀も前の記憶なんで、多少の思い違いがあるかもしれないが、
全く違ってるとは思ってないので・・・ 多少の思い違いは、ご容赦願いたい。

平和な地球は、ゴース星人の侵略されようとしていた。
世界の主要都市を破壊するミサイル攻撃、ニューヨークが、パリが、ロンドンが炎に包まれる。
次は・・・ 東京か?

ウルトラセブンは・・・ これまでの長い戦いで体力を使い果たし、消耗しきっていた。
モロボシダン(ウルトラセブン)は、ウルトラアイを静かに見つめながら、
最後の戦いに挑むため、ウルトラセブンに変身しようとしていた。
そこにアンヌ隊員が現れる。
モロボシダンは、慌ててウルトラアイを隠すが・・・ 意を決して語り始める。

 「アンヌ、僕は・・・ 僕は人間じゃないんだ。」
 「M78星雲から来た、ウルトラセブンなんだ。」
 「僕は・・・ M78星雲に帰らねばならないんだ。」
 「西の空に明けの明星が輝くころ、一つの光が宇宙へ飛んでいく。」
 「それが・・・ 僕なんだよ。」
 「さよなら、アンヌ」

そう言い残して、ウルトラアイを装着したモロボシダンは、
ウルトラセブンに変身すると、ゴース星人との最後の戦いに向い、苦戦しながらも勝利すると、
ウルトラセブンは、西の空に輝く明けの明星を目指して、一つの光となって飛んで行く。

このシーンは、ウルトラシリーズ史上で最高といえるラストシーンだった。
このラストシーンがあってこそ、ウルトラセブンは半世紀の年を経ても、
不動の人気を保っているといって・・・ 過言ではないだろう。

しかし・・・ この最後のシーンには、一つの大きな誤りがあった。
それは、モロボシダンがアンヌ隊員に向かって言った、
「西の空に明けの明星が輝くころ」に・・・ 隠されている。


毎朝、東西の空を見ていれば分かるが、明けの明星(金星)は、東の空にあって西の空にはない。
西の空で輝く明星(金星)は、宵の明星と呼ばれ・・・ 夕方の空にある。

普通に考えれば、単純な誤りなんだが・・・ 私はそうは思いたくない。
あの時、西の空に輝いていたのは、M78青雲にある「ウルトラの星」なんだと思う。

いやいや、そうではなくて、あの時は地球というか太陽系の一大事だっただけに、
金星も東から西に移って、セブンを応援していたのかもしれない。
赤塚不二夫漫画の傑作・天才バカボンでは「西から上ったお日様が東へ沈む。」とあるぐらいだから、
宇宙には・・・ そんなロマンや神秘があっても良いんじゃなかろうか。

ウルトラマンには、そんなに間を置かず、続編の「帰って来たウルトラマン」があったが、
ウルトラセブンは、未だに続編「帰って来たウルトラセブン」がないまま半世紀を経てしまった。

今になって思えば・・・ 直ぐに続編があれば、その疑問は解決していたのだろうが、
制作するサイドとしては、宇宙のロマンや神秘として置いておきたかったのかもしれない。
私は続編の「帰って来たウルトラセブン」を見たかったが、
そんな、こんながあって・・・ 半世紀を過ぎても、語り継がれるウルトラセブンなのかもしれない。

半世紀の時を経て、未だに明確な回答が出ていない、ウルトラセブンからの宿題
その答えは、最終回を見た人の心の中にあり、一人ひとり違う答えがあるのかもしれない。
それもまた・・・ 一つのロマンではなかろうか。


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