時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

謝る日本人、謝らない外国人

2022年02月10日 | スポーツ観戦

多摩爺の「スポーツ観戦(その28)」
謝る日本人、謝らない外国人(北京2022)

トラブルが発生すると・・・ 取りあえず謝るのが日本人だが、
訴訟が当たり前の社会で育った外国人が、取りあえず謝るなんてことはまず持ってあり得ない。


2月7日の夜、世界が注目する冬季オリンピック「スキージャンプ混合団体」で惨事が起こった。
日本代表女子のエースを含む5名の女子選手が、抜き打ちの検査により、
着用していたスーツに違反があったと判定され、記録が取り消されてしまったのである。

この判定の影響は大きく、日本代表チームは1回目を終わって8位に沈み、
メダル圏外どころか、辛うじて予選を通過したに過ぎず・・・ 興味は半減してしまったが、
2回目で脅威の追い上げを見せ、最終的には3位に肉薄する4位だから、
大アッパレであり・・・ メンタルを含めて、本当に凄い選手たちだったと感心する。

惜しくもメダルに届くことはなかったが・・・ それはそれであって、
個人的には、納得の4位だったと思っている。

失格の判定を下した検査員は、いつもどおりに検査したと言ってるが、注目しなきゃならないのは、
「すべての選手がチェックされるわけではなく、逃げ切った選手もいる。」とのコメントだろう。
早い話が・・・ 一部の国の選手だけを対象にした、狙い撃ち検査であり、
全員を検査する、公平な検査ではなかったと・・・ 検査員が自ら述べているのだ。

失格判定を受けた日本女子のエースは、自身のSNSを更新し、応援してくれた方々に向けて、
自らの失格でメダルのチャンスがなくなり、失望させたことを反省すると謝罪の弁を述べ、
今後の競技人生についても考えねばならないとした文面を綴ると、
メディアを始め、SNSに慰めと励ましの言葉とコメントが、あっという間に溢れている


一方で日本の女子エースと同様に、失格判定を受けたドイツ、ノルウェー、オーストリアの代表は、
「いつもと違う方法でスーツを測定し、新しい手順で検査を行った。」
「これまで経験したことないほどの長い時間、上から下までくまなくチェックされ、
 何か見つかるまで検査が続くような感じだった。」と、
いつも行われていた検査とは違っていたことを指摘し・・・ 検査内容の不備を訴えている。

また、我が国代表チームのスタッフ陣は、自分たちのミスだとして選手を庇ったが、
失格の影響で2回目に進めなかったドイツの監督は全く逆で、
「パペットシアター(操られた舞台)のようだ。」と激怒している。

真っ先に謝罪した日本女子のエースに対し、
謝ることなく、真っ向から疑問を呈した欧州諸国の代表選手たち、
国民性の違いがあるといえば・・・ それだけのことかもしれないが、
もし、日本女子のエースが開き直って「私の責任じゃない。」と発言していたらどうだっただろうか?

彼女に限って・・・ そんなことを言わないのは百も承知だが、
もしそうだったら、SNSに投稿されるコメントは、また別のものとなっていただろうし、
場合によっては、大炎上していたかもしれない。

多くの欧米人は、真っ先に原因や状況について説明したいとの思いがあって、
納得しないと・・・ ミスを認めることはなく、謝罪することはない。

これは国民性だから・・・ どちらが正しいかといった問題ではなく、
あなたならどうしていたか、私ならどうしていたか・・・ ということで自問すれば、
幼いときから、恥の文化のなかで躾と教育を受け、生活してきた日本人なら、
九分九厘・・・ 謝ることから始めるだろう。

SNSを読んだ人々の大半は「あなたのせいじゃない。」とのコメントを残すが、
一方でSNSの内容について「潔い。」との思いを抱く人も多い。

とはいえ「あなたのせいじゃない。(否定)」と「潔い。(肯定)」は相反した思いであり、
五分五分なら分るが、どちらも大半を占めることは・・・ 本来はあり得なく、
これが成立するのが、この国なんだと思えば・・・ 屁理屈を言うつもりはないが、
本人がこれでケジメをつけたのなら、それを尊重して、そっとしておいてあげるのが一番なのだろう。

気をつけなきゃならないのは、彼女が帰国した後の、メディアや週刊誌の対応で、
なにかしらのコメントを取ろうと、彼女を追っ掛け回して、
傷口に塩をすり込むような、行動を取ることだけは勘弁してほしいと願いたい。

もちろん、今回起こった惨事を究明し、改善をしていかなきゃならないが、
それは関係国の連盟に任せれば良いことであって、
しばらくは、静かに過ごせる時間を作ってあげることが・・・ 肝要なのではなかろうか?

追伸
4位となった結果について、メディアやSNSでは、
残念だと思う人々のコメントが数多くあるが、これはこれで良かったと、私は思っている。

なぜなら・・・ ジャンプ8本の合計点を、ジャンプ7本の合計点が上回ってしまったら、
銅メダルを獲得した国のプライドもさることながら、
ジャンプ混合団体という、新種目そのものの価値が下がってしまうことから、
結果は残念だが・・・ 順位についての異論は持っていない。

また、翌日のフィギュアスケート男子で、ミスをしてしまったこの国の大エースは
リンクの氷に原因があったと・・・ 滑った後から説明した。

いつもなら、氷に問題があったことは、さらりと流して、
自らのミス(力不足)を認めて、まずは謝罪していた大エースだったが、
今回はいつもの彼と違っていたので、いったいどういった心境だったのだろうかと心配になった。

彼にどういった変化があったのか、とっても気になるところだが、
彼もまた感情をもった一人の人間であり、
ケースバイケースだと思えば・・・ そこんとこを興味本位で、詮索する必要はないのだろう。

しがない爺さんがどう思おうと、なに一つ影響があるわけではないが、
まずは、この国の男女のエースに「お疲れさま。」のひと言をかけてあげたい。
もちろん、結果も大事なことだと思うが、
この日、この時までの、彼や彼女の見えないところでの努力に・・・ アッパレを送りたい。


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4 コメント

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Unknown (びこ)
2022-02-10 05:45:47
私は、こんなにすぐに謝る国民性が外国に舐められる原因のように思えますが、たぶん私の考えが間違っているのでしょうね。
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Unknown (多摩爺)
2022-02-10 06:07:48
びこさん、おはようございます。

どうすれば良かったのでしようか?
欧米では一択かもしれませんが、この国では意見が分かれる難しい問題だと思います。
私はこういった国民性は嫌じゃないし、どう思うかは人それぞれなんで、
さまざまな考え方があっても良いと思っています。
返信する
いつもありがとうございます。 (mrfanhm2930)
2022-02-10 09:31:11
北多摩の爺さん様
この投稿に〝アッパレ〟を送ります👏👏

追伸)いつも興味深く拝見させていただいています。
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Unknown (多摩爺)
2022-02-10 10:02:58
mrfanhm2930さん、こんにちは

拙い文章に、アッパレをいただき恐縮しています。
これからも、一方からの視点だけでなく、さまざまな角度から思いを巡らせてみようと思っています。
ありがとうございました。
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