時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

横綱の出処進退

2021年03月18日 | 時のつれづれ・弥生 

多摩爺の「時のつれづれ(弥生の11)」
横綱の出処進退

進退を懸けて出場する予定だった鶴竜は、場所の直前に左太ももを負傷してしまい休場
5場所ぶり出場した白鵬は、2日目の取組みで右膝負傷を再発させてしまい

3日目から途中休場となり、またもや横綱不在の場所となってしまい、
横綱という力士がいるにも拘わらず、かれこれ1年ちかく大相撲で見ていない。

正確に言えば、途中休場もあるので、まったく見てないわけじゃないが、
横綱という特別の地位にあり、期待を背負わざる得ない地位にある力士たるものが、
15日間の土俵を務めあげ、それなりの成績を残していなければ・・・ 土俵の上に居ないに等しい。

白鵬36歳、鶴竜35歳、一般社会でならバリバリの若手で働き盛りだが、
プロレスのような、パフォーマンス力も含まれるショータイムならいざ知らず、
32歳で引退した稀勢の里のことを思えば、
体と体をぶつけあいながら、一瞬のうちに雌雄を決する相撲の世界では、
既にピークを過ぎていると云わざる得ない。

ここ2年間(12場所)の優勝力士を見てみると、
横綱・白鵬が3回、横綱・鶴竜が1回、大関・貴景勝が1回あるものの、
あとは玉鷲、照ノ富士、御嶽海、朝乃山、徳勝龍、正代、大栄翔が1回ずつで、
目まぐるしく優勝力士が変わっている。

それでも玉鷲、御嶽海、正代は、三役の関脇だったが、
照ノ富士、朝乃山、徳勝龍、大栄翔は平幕であり、照ノ富士と徳勝龍にいたっては幕尻である。

こういった乱戦・混戦は、見る側にとっては・・・ 正直言って面白い。
とはいえ、番付によって給金も違うし、待遇も違う、ましてや神事だとも云われるなか、
横綱は体調不良により休場と途中休場を繰り返し、大関は場所毎に誰かがカド番という不甲斐なさ、
いかにコロナ禍で、稽古が不足してるとはいえ、非常に残念でありがっかりであると云わざる得ない。

「勝負事は勝てばいい。」という考え方もあるが、
国技である大相撲で、その最高位に位置する横綱には勝ち方に注文が付くことも忘れてはならない。

体調が万全なら、幕内優勝44回を誇る・・・ 白鵬の強さは、認めざる得ない。
とはいうものの、土俵上の品格といった面で、白鵬を認めるファンは少ない。
張り手(びんた)、勝ちあげ(肘打ち)で気勢を制し、
勝負が付いた後からのダメ押しを、幾度となく見せつけられたら、
多くの相撲ファンはがっかりだろうし、品格に欠けた取り口に納得することができないのだ。

勝負事とはいえ、潔さが求められるのが・・・ 相撲という国技である。
ピークを過ぎた力士が、その地位にしがみつくことを、どうすれば納得できるのだろうか。
申し訳ないが、こういった状況に陥ったいまでは、
納得できるような解を見つけることは困難ではなかろうか。

一方で相撲ファンは、せっかちだから・・・ 1場所や2場所の休場ならいざ知らず、
怪我した体を、完全に復活させるまで1年かかるとの診断書がでたら、
いったいどのような反応をするのだろうか?

アスリートが発熱などで1週間休んだら、
筋力を元に戻すまでに、倍以上の時間や期間が必要と云われている。

相撲は格闘技である、怪我の場所にもよるが、怪我そのものの治癒までに1~2カ月かかるとしたら、
怪我が治ってから、体を鍛え直すまでには、さらに3~4カ月が必要であり、
その後、体をぶつけあう稽古を加えれば、復帰までに半年から1年ぐらいかかるのは必然である。

怪我により、32歳という若さで引退に追い込まれた、
先の横綱・稀勢の里は・・・ それを良しとはしなかった。

もし、稀勢の里が、思い切って治療と体調を整えるために、1年休んでいたらとも思うが、
「土俵人生に一片の悔いもない。」と涙ながらに謝辞を述べたことを踏まえると、
その無念さと潔さに、心の琴線が共鳴しており、引き合いにだすことには躊躇いがでてしまう。

今場所、土俵に上がった横綱は、初日に張り手で気勢を制しており、私は不愉快で堪らなかった。
品格を問われながらも、ただ勝ち続け、優勝を目指すことで、その面目を保っていた横綱だったが、
途中休場したあとは、手術をするので、次に土俵に上がるのは7月場所になるだろうと表明している。
さらに、早々と休場を表明した、もう一人の横綱は5月場所に進退をかけると表明をしている。

選挙によって選ばれた政治家が、
なんらかの理由で出処進退を、自ら決めることには、ある意味分からんでもないが、
横綱審議委員会において、成績と品格をもとに推挙されたのが・・・ 横綱という地位だが、
体力的にも、技術的にも、品格面でも、それが伴わなくなっているにも拘わらず、
自らの進退を、当人が決められると云うのは・・・ やっぱり可笑しい。

けっして、両横綱を早く引退させたいわけではない。
とはいえ・・・ このまま、ずるずると云うのもバカにしている。

横綱の出処進退は、自ら申し出るのが・・・ 筋と云えば筋だが、
年齢や体力など心身の状況を踏まえ、横綱審議委員会が引導を渡すことがあってとしても、
それが・・・ けっして悪いとは思わない。

勿論そこには、横綱審議委員会においての審議された結果として、
半年から1年程度の休養を経て、再起を図ると言う選択肢があるかもしれない、
しかし・・・ 仮にそうなったとしても、
様々な方面から検討し、先々に向けて議論を尽くされたのであれば、
不満を唱えるつもりなどは一切ない。

ハッキリ言って・・・ なん場所も続く横綱不在は、
相撲界の内部事情を知り尽くし、互いを庇い合う協会の理事だけで解決することは無理であり、
部外者によって構成された横綱審議委員会が、
威厳と責任をもって明快に発信すれば良いだけのことだと思う。

その発信が遅くなれば遅くなるほど・・・ 不満が募り、
ファン離れが加速することを忘れないでほしい。

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