時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

決定! 日本一速い男

2021年06月26日 | スポーツ観戦

多摩爺の「スポーツ観戦(その13)」
決定! 日本一速い男 (第105回 日本陸上競技選手権大会)

東京オリンピック代表選考会となる
「第105回 日本陸上競技選手権大会(ヤンマースタジアム長居)」

国民の目が注がれた注目の勝負は、たった3枠しかない代表のチケットを求めて競った
男子100メートル決勝だろう。
それは現時点で、日本一速い男を決める・・・ たった10秒に凝縮された衝撃のドラマだった。

叩きつけるような、強い雨が降ったかと思えば、あっという間に上がってしまう。
気まぐれな空模様に・・・ ハラハラドキドキしながら、
1時間前から始まった放送を、食い入るように見つめ、
予選を勝ち抜いた8名のスプリンターが、スタートラインに立ち、紹介されるのを待っていた。

昨日行われた準決勝では、リオの4X100メートルリレーで、
アンカーを務めたケンブリッジ飛鳥選手がまさかの敗退
さらには、9秒台のタイムを持つ桐生祥秀選手、
サニブラウン・ハキーム選手のコンディションも芳しくないようだし、
小池祐貴選手も、ここんとこ調子が上がってきていない。

下馬評というか、お昼のワイドショーに呼ばれていた、かつてのリレーメダリストたちは、
こぞって・・・ 日本記録を出したばかりの山縣亮太選手と、
スタートダッシュに定評がある多田修平を推していた。

オリンピック参加標準記録の10秒05を、クリアしている選手は9秒台のタイムを持つ4名と、
多田選手を含めた5名、
この5名が3位以内に入れば、すんなり代表に内定するが、
その他の3名も、この大会で参加標準記録をクリアし、3位以内に入れば、
代表入りすることができるのだが、
それにつけても、気になるのは・・・ 雨上がりのトラックコンディションだろう。

20時35分、号砲がなった。
頭を低くした独特のスタイルで、ロケットスタートを決めた多田修平が、
最後までついづいを許さず1着でゴールすると、極度の緊張感からか、他の有力選手が伸び悩むなか
2着には、なんとデーデー・ブルーノ選手が入った。

3着以下は写真判定で・・・ 山縣、小池、桐生、サニブラウンと続き、
3着に入った山縣亮太選手は代表に内定
テレビ中継の間に、最後の代表1枠のアナウンスはなかったが、
規定どおりならば・・・ おそらく、4位に入った小池祐貴選手が選ばれるだろう。

気温に湿度、さらにはトラックコンディションのせいもあるだろうが、タイム的には不満を残した。
とはいえレース後、ここ最近は勝てなかった多田修平選手が、
ポロリと零した涙は・・・ うるっときてしまった。

まさに強い選手が勝ったのではなく、勝った選手が強かったという、典型的なレースだったと思う。
結果が総てではないというものの、
だから・・・ スポーツは面白いし、感動するのだろう。

見事に1着となり、オリンピック代表のチケットを手に入れた多田修平選手は、
勝利者インタビューを受け、
「ここまで来るのは凄い長かった。
 たくさんの支えや、みなさんの支えがあってここまで来れたと思います。」と
涙を浮かべながら感謝を口にすると、3~4日前から寝られない日々が続いていたと続け、
「自分の武器はスタートから中盤、
 そこで一気に抜け出し、後半もさらに加速できるような走りを見せたい。」と結んだ。

選手が流す汗と涙、それを見て観戦者が送る拍手と喝采(今大会では、残念ながら声は出せない。)
さらには、サポートしてきた多くの人々や、
心の支えとなった家族のひとり一人が噛みしめる・・・ 感動の涙と、悔し涙がある。

先日、宮内庁長官が天皇陛下の胸の内を拝察されて発表された
東京2020に対する懸念に心が痛む。

陛下は政治的な発言ができないお立場とはいえ、東京2020の名誉総裁でもあられ、
開会式への出席も予定されている。
予兆という言葉を使ってるが、リバウンド状態に陥ってしまいそうな現状を踏まえれば、
天皇陛下が心痛されていることに、適切な解でお応えし、行動がともなわなければならないだろう。

商業主義と化してしまった昨今のオリンピックに、
どこかで誰かが、ボロ儲けしているという声がある。
確かにその通りかもしれないが・・・ とはいえ、
スポンサーなしでは開催することすら困難になってしまったのが、
全国規模、世界規模で行われる大きなスポーツ大会である。

批判はあっても良いと思うが、それを否定すれば、
規模の大きなスポーツの大会などは、できなくなってしまうだろう。
世の中って、そんなもんだから、総てをきれい事では片付けることはできず、
いい加減な落としどころを見つけ、妥協を繰り返しながら・・・ 納得せざる得ないのが現実である。

そう捉えれば、スポンサーの色が付かない、綺麗なスポーツ大会なんて無いのかもしれないが、
とはいえ、そうであったとしても
出場するアスリートと、応援するファンに責任があるわけではない。

どこかで誰かが、ボロ儲けしてるかもしれないが、
個人(企業)差があるとは思うが、既に投資をしている人々が、泣いて良いわけでもない。
東京2020に関わる人々のなかにも、そういった立場の人々がたくさんいるのではなかろうか?
そこで経済が回り、生活が回る人々もいることを思えば、闇雲に批判ありきもあるべきではない。


様々な意見や思いが、たくさんあるのは百も承知しているが、個人的にはそのように捉えているので、
この夏、コロナ禍から決別し、元気を出して・・・ 反転攻勢を掛けて行くためにも、
東京2020は必要な引き金だと思っているし、必ず成功させなければならないと思っている。

だからこそ、新型コロナウイルスの新規感染者数がステージ4を超えてきたら、
緊急事態宣言や、無観客試合を・・・ 躊躇無く決断してほしいと願ってやまない。
それをやらないと、批判のボルテージだけが上がってしまい、
それが沸点に達すると、アスリートにも迷いが出てくるし、
大会そのものの価値ですら・・・ 輝きを失ってしまうだろう。

東京2020は必要か否か?
偏った視点で捉えた、主観的な思いを否定するものではないが、
全体を俯瞰しながら、その時々のタイミングで客観的に捉えた視点が、
肝要だと思うがどんなもんだろうか? 


2021年 6月25日(金) 曇り (大阪市:ヤンマースタジアム長居)
第105回 日本陸上競技選手権大会

男子100メートル決勝
着順 名前・所属                  タイム   (自己ベスト)
 1 多田修平        住友電工       10秒15 (10秒01)
 2 デーデー・ブルーノ   東海大        10秒19 (10秒20)
 3 山縣亮太        セイコー       10秒27 ( 9秒95)
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 4 小池祐貴        住友電工       10秒27 ( 9秒98)
 5 桐生祥秀        日本生命       10秒28 ( 9秒98)
 6 サニブラウン・ハキーム タンブルウィードTC 10秒29 ( 9秒97)
 7 柳田大輝        東農大二高      10秒42 (10秒22)
 8 東田旺洋        栃木スポ協      10秒42 (10秒21)


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