時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
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核のゴミをどう処理する?

2023年09月13日 | 時のつれづれ・長月 

多摩爺の「時のつれづれ(長月の38)」
核のゴミをどう処理する?

記憶が確かなら、先月のことだったと思うが・・・ 山口県の上関町が、
使用済み核燃料を一時保管する「中間貯蔵施設」の建設をめぐって、臨時の町議会を開き、
賛成7人、反対3人の賛成多数で、建設に向けた地質などの調査を受け入れることを採決すると、
同町の町長は、議会の決議を尊重して、受け入れることを表明している。

あれから1ヶ月も経ってないと思うが・・・ 昨日、長崎県の対馬市が、
原子力発電所から出る、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設をめぐって、定例の本会議を開き、
賛成10人、反対8人の賛成多数で、建設に向けた地質などの調査を受け入れることを採決した。
同市の市長は、若干躊躇いつつも、今月中に会見を開き、考え方を表明するとしている。

中間貯蔵施設とは、原⼦⼒発電所で使⽤した燃料(使用済燃料)を、
最終処分場や、再処理⼯場へ搬出するまでの間、⾦属キャスクと呼ばれる頑丈な専⽤容器に⼊れて、
遮水シートで包んで保管する、覆土された土壌の貯蔵施設だが、
一方で最終処分場は、原発の使用済み燃料を、リサイクルした後に残る廃液をガラスと混ぜて固め、
金属製の容器に入れて、地下300メートル以上の岩盤に密閉する地中の貯蔵施設である。

どうしても気になってしまうのは、なにはさておいても土壌や地下水への漏洩であって、
地震大国のこの国に、果たして条件に合う地盤があるか否かであり、
あったとして・・・ 住民の理解が得られるか否かが、最重要の課題となってくる。

因みに最終処分場の建設予定地を選定し、建設に至るまでの流れは・・・ 次の通りであり、
その行程は、最短でも20年かけて行われる予定となっているから、まだまだ先は長い。
 1.文献調査 約 2年 交付金20億円 過去の記録に基づいた地質など700点の資料を調査
 2.概要調査 約 4年 交付金70億円 堀削による地質の調査
 3.精密調査 約14年 交付金(未定) 地質や岩盤の直接調査

今回、長崎県の離島にある対馬市議会が、第一段階の文献調査について受け入れを決議したが、
北海道の日本海側に位置する、寿都(すっつ)町と、神恵内(かもえない)村では、
2020年から文献が調査始まり、すでに2年が経っており・・・ いまのところは静かだが、
そろそろ、次の調査に進むか否かで、住民の思いが二分されることもあり、
その動向には、否が応でも注目が集まるのは避けられないが・・・ さて、どうなるのだろうか?

ただ思うに・・・ 町民や村民が熟慮した結果、次の調査に進まない結論を出したとしても、
それはそれで、その判断を尊重すべきだと思っている。

交付金の20億は、結果的に無駄金になるが、これはこれで納得せざる得ないのだろうが、
だからといって、原発を作らなければ良かったなんて、
本題から背を向けるような結論に至ることだけは、なんとしてでも避けていただきたいと思う。

個人的には、交付金をぶら下げて、住民を釣ろうとするのは如何なものかと思うものの、
過疎地や離島という捉え方は、上から目線のようで大変失礼ではあると思うものの、
どこかで受け入れてもらわなきゃ、この問題が解決しないことを踏まえれば、
受け入れていただき、次の調査に進んでいただけるなら・・・ ありがたいとも思っている。

そしてもう一つ、忘れちゃならないのは・・・ 核のゴミの安全な運搬を考慮すれば、
施設の近辺で渋滞が発生しにくいところであり、船での運搬が思い浮かぶことから、
海岸に近い過疎地だったり、離島が候補に挙がることは、
押しつけるようで申し訳ないが、ある意味で致し方ないことなのかもとも思っている。

たしか、神恵内村の村長だったと思うが、文献調査を受け入れるに当たって、
こんなことを云われていたと記憶している。

「核燃料サイクルを、完結させる必要があるという思いです。
 トイレのないマンションを作って、どうするんだという意見があったが、
 いまトイレを作ろうということです。」とコメントされたことが、なぜか耳に残っている。

対馬には、これから大挙して乗り込んで来るであろう、活動家というか、プロ市民たちが、
今月中に受け入れ可否について表明するとした、市長の会見に向けて、
きっとネガティブなキャンペーンを展開すると思うが、

是非とも冷静に、見守ることが出来ればと願ってやまない。

閑話休題、資源エネルギー庁(経済産業省)のホームページに、
「科学的特性マップ」という、見たこともないような地図がアップされている。

そこには火山活動や、断層活動といった自然現象の影響や、地下深部の地盤の強度や地温の状況など、
地層処分に関する地域の科学的特性などが、一定の要件や基準に従って客観的に整理され、
日本地図の上に、高レベル廃棄物処分場の立地が可能な場所が示されている。

あくまでも一定の要件や基準に則り、お上が作成したものであって、
だからどうってことじゃないが、火山帯が多くあるこの国の地下の評価について、
大まかに現状を俯瞰することができるので、参考にすると現実が見えてくるかもしれない。

候補地や、隣接する地域に住む住民の方々を思えば、
確たる案がないのに、個人的な思いを述べて、申し訳ないと思うものの、
避けて通れないことだけに、他人事として捉えることなく、注目せねばならないと思うし、
議論と調査を前に進めることに、躊躇してはならないと思っている。

そんななかでも、苦悩のなか手を挙げてくださる候補地が出てきて、
少しずつ、ホントに少しずつ、前に進んではいるが・・・ まだまだ先は長い。

これから、いったいどうなって行くのだろうか?
最終処分場が出来上がるころに、おそらく私はこの世に居ないと思う。
現実を捉えれば、気を揉むだけの爺さんだが・・・ 心配が尽きることがないだろう。

なお、ここに記したことは、あくまでも個人的な思いであって、
本件についてコメントを頂戴しても、
議論するつもりはないので、了知していただければありがたい。


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