時のつれづれ(北多摩の爺さん)

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しっかりしろ! 法務大臣

2022年11月13日 | 時のつれづれ・霜月 

多摩爺の「時のつれづれ(霜月の27)」
しっかりしろ! 法務大臣

「朝、死刑のはんこを押す。」
「昼のニュースでトップ(扱い)になるのは、そういう時だけの地味な役職(法務大臣)だ。」

いくら身内議員のパーティーとはいえ、いまどきどんな人々が、そこに居るか分らないのに、
この国の法務大臣を務める人物が・・・ その職務について、
あまりにも、軽率なコメントを口走ってしまったため、
あっという間に、その職を追われてしまった。

形式上は、辞職願を総理が受理したことになっているが、
だれが見ても・・・ 更迭(解職)は明らかだろう。
本当に恥ずかしいことだ。

同大臣が発した言葉と、現実をそのまま切り取れば、その内容はあながち間違いはないが、
世の中には・・・ 言って良いことと、言っては拙いことがある。

例えそれが、そのとおりであったとしても・・・ 職務や立場において、口に出来ないことぐらい、
大臣たる者が知らないでは済まされない。
ハッキリ言えば、それを言っちゃお仕舞いであって、バカ丸出しである。

ただ一つだけ、個人的な思いで恐縮だが、批判する者の声のなかに、
大臣たる人物の資質と、死刑制度のあり方は、本来切り分ける議論であるにも拘わらず、
混同して批判している者が少なからずいて・・・ そこに不安がないでもない。

批判の集中砲火を浴びせた有識者の多くは・・・ 大臣の失言に対し、
「死刑という刑罰は、人命を奪う行為であり、人命には尊厳というものがある。」とし、
「法務大臣であれば、命に対しての尊厳や敬意、さらには配慮があるべきである。」としている。

法務大臣が命の重さと、法の厳正さに、覚悟を持って職務に臨むのは当然であって、
死刑執行に至る(ハンコを押す)にあたっては、熟慮に熟慮を重ねなければならないのも当然だが、
有識者が語っていた、死刑囚の命に対しての尊厳とは、敬意とは、
いったい、なにを意味しているのだろうか?

この国の法律(刑事罰)が、加害者に寄り添い、被害者に寄り添ってないということは、
メディアを通して、事あるごとに・・・ 被害者サイドの声として聞こえてくる。

死刑制度の廃止について、議論すべきとの声が、国の内外からあることは承知しているし、
死刑など、なくて済むのなら、それに越したことはないと・・・ 私も思っている。
とはいえ・・・ 死刑制度が、被害者に寄り添った、
究極の対価であることも現実であり、それを忘れてはならない。

なぜなら・・・ 被害者家族のほとんどは、亡くなった者は戻らないことから、
その対価として、極刑を求めているのが現実であって、
それが良いか、悪いかは別にして、その究極の判断(判決)は死刑そのものであり、
その判決のなかには、加害者への敬意という言葉はみつからないと思うが、如何なものだろうか?

すると有識者は、一般的な命の話しと、死刑囚を混同するなというかも知れないが、
法務大臣の失言を切り口にしてることを踏まえれば、批判のための理屈づけになるだろう。

よって、法務大臣として職務に臨むべき姿勢や資質に、ダメ出しをするのは当然だとしても、
死刑囚に命の尊厳と敬意を持ち出して、法務大臣の言動を批判することは、
犯罪被害者に対して敬意を欠いた・・・ 無用な指摘になるのではなかろうか?

これからは余談になるが・・・ 昨年、地裁で下された死刑判決に、
その場で裁判官を恫喝した、反社会的勢力のトップがいたことは記憶に新しい。
彼らに対する裁判は、数年も経てば・・・ 高裁、最高裁の判断を仰いで結審するだろう。

偶然にもその時、法務大臣の職にあった者は、どのような心構えで反社の恫喝と向き合い、
ハンコを押して・・・ その職務を全うするのだろうか?
また、昼のトップニュースに向けて、どのような会見を開くのだろうか?
野次馬みたいで恥ずかしいが、その会見を聞いてみたいと思う。

そして、その時・・・ この国の国民や、有識者と呼ばれる知識人たちは、
極悪非道な犯罪で、民間人を巻き込み犠牲にした、反社会的勢力への刑の執行に対しても、
命の尊厳に向き合って
敬意を表し、死刑反対の声を発するのだろうか?

当該大臣の発言は・・・ たしかに軽率だし、知性に欠けるし、更迭されて当然である。
ただ、視点を変えて、被害者家族の立場に立って・・・ その心中を察すれば、
死刑囚への尊厳や敬意といった言葉で、大臣を批判すれば、するほど、
それは即、間接的に被害者の心を逆撫ですることに、繋がるのではなかろうか?

こういった事柄は、どうしても観念で捉えがちになり、
動機や背景などに目が向き、加害者を中心にした報道や、見方になりがちだが、
嫌みも愚痴も発することが出来ず、静かに見守る被害者が居ることも忘れてはならないと思う。

死刑囚やその家族に思いを寄せ、命の尊厳について考えることを否定するものではないが、
被害者家族へ寄り添い、労うことは、その二倍も三倍も、大きくなくてはならないと思っているが、
残念ながら・・・ そういった視点で語る有識者は少ない。

軽率な発言をした、おバカな大臣にも、
おバカな大臣を、木っ端微塵に批判する、正義感に溢れる有識者にも、
「口は災いの元」ですよと申し上げたい。

人間の視点というものには・・・ その背景に、
個々人が学び、積みあげた知恵に裏付けされた思考があるとともに、理屈を度外視した感情もある。
よって、人々の視点は、必ずしも一方通行にならない。
そのことを、為政者や有識者は・・・ 肝に銘じておくべきではなかろうか?

最後に付け加えておくが、私は死刑囚の命なら軽んじて良いと言ってるわけではない。
言わなくても良いことは・・・ 口にする必要はないと言ってるだけであって、
「大人なら、それぐらい分るだろ。」と言ってるだけである。

追伸
無責任で申し訳ないが、綴った内容は・・・ あくまでも個人的な思いであって、
本件について、議論するつもりはないので、そこんとこはご理解願いたい。

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2 コメント

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仰る通りです。 (アリス)
2022-11-13 12:19:25
私は死刑制度に賛成の立場です。
よく言われている「犯罪の抑止」ですが、そんなものではないと思います。

要は「被害者への償い」ですから尊厳は不要です。
命の償いに待機期間を伸ばすことではないと思います。

逆に考えると、執行がいつなのか?長ければ長いほど
囚人の精神状態は酷くなる。こんな残酷なことはありません。

やはり、速やかに実行するのが妥当だと思います。それにハンコを押さないのも違和感があります。

今朝の番組でのお話だと思いますが基本的に同意できないと感じました。
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Unknown (多摩爺)
2022-11-13 13:49:16
アリスさん、こんにちは

一つの出来事であっても、前から見るか、後ろから見るか、上から見るか、
はたまた左の右どちらから見るかで、視点や重さが変わってくると思っています。
いまの報道には、なにか一つ抜け落ちてるような気がしてたので、
ちょっと天邪鬼的な視点で捉えてみました。
コメントを頂戴し、ありがとうございました。。
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