（広島代理戦争）
広島で
水商売のバイトをした時の
話である。
私の面接をしてくれたのは
人の良さそうなオーナーさん
だったのだが…
配属された先の店長の
癖が酷かった。
クセが酷いんじゃあ…
あーヒドい！大クセじゃ！
初対面の時である。
「今日から配属になります。
たまです。よろしくお願い致します」
『おりょっす』
「…な…何っすか？」
『おりょりょっす！』
「いや…りょ…料理っすか？
まぁ出来るっちゃあ…」
『おりょりょりょー！』
「な…な…何でしょうか？」
『おーはーりょーうー！』
「あ…おはようございます…」
『おめーよ！こにょ世界はよ
夜でみょ昼でみょよ…
全部おりょりょー！
にゃんだりょーーー！』
いや…クセよｗｗｗ
ここ名古屋じゃないよね？
あの片岡鶴太郎がやる
小林旭みたいな高い声と
しゃべり方ねｗｗｗ
滑舌の悪さねｗｗｗ
いや…夜でも昼でも
【おはよう】ってのは
知ってるんだよ！
その【おはよう】を
理解するまでの
こっちの苦労を考えてくれ！
おそらく…この挨拶事件で
店長は気を悪くしたらしく
その後
私を邪険に扱うようになる。
ってか…そんな事あるっ？
私に与えられた仕事は
店の前に立っての
呼び込みである。
『ひーきゃ
よみこみーってにょはよー
はーきゃーいとりゃくたー』
（いいか
呼び込みってのはよ
赤ーいトラクター）
え〜！読んでる方には
翻訳した文章を紹介するが
本当に↑のような感じで
しかも早口で喋るので
んもぅ地獄なのである。
『ほれがほめーみひょん…
（俺がオメー見本を
見せるから真似して
やってみろってんだ）』
「は…はい…」
『ひらっひゃひまひぇ〜！
ひゃひんじゃけりぇみょ
みひょっひゃっひぇ〜！』
「…嘘でしょ…」
マジである！
一言一句間違いなく
そう言い放ったのである！
ゆっくり解読してみよう♪
『ひらっひゃひまひぇ〜！』
これはさすがに
「いらっしゃいませ〜！」
であることは
容易に理解できるであろう。
えっ？
わからなかった？
じゃあ…もう無理である。
そんな人はすぐにその場から
逃げ出すことをお勧めする。
問題は…
『ひゃひんじゃけりぇみょ
みひょっひゃっひぇ〜！』
である。
なるほどこれは…
与えられた情報の中から
推測していく他ないのだ。
まず注目すべきは
一見「ひゃ〜」だの
「みょ〜」だの
入れ歯はずれたんかじいさん？的な
言葉の中に
「じゃけ」という
じゃらついた一言が
目に付く…いや…
鼻につく事である。
しかもここは広島県…
という事は…
さすがの邪険店長も
【方言】だけは
ディスれないのではないか！
したがって…
【じゃけ】は【じゃけん】
であると確信する！
要するに…
「ひゃひん
じゃけん
りぇみょ
みひょっ
ひゃっ
ひぇ〜！」
わかるかぁ〜〜〜〜〜！
わしゃ
シャーロックホームズ
ちゃうねんっ！
いや…落ち着こう…
人間とは言葉が通じなくても
ボディーランゲージで
８０％は意味が伝わるのだ。
店長の仕草を観察してみる。
『ひらっひゃひまひぇ〜！』
笑ったよ…おい…
『ひゃひんじゃけりぇみょ』
ちらっと看板みた！
『みひょっひゃっひぇ〜！』
また笑った…
謎はすべて解けた…
じっちゃんの入れ歯に賭けて！
【いらっしゃいませ〜！
写真だけでも
見ちゃっひゃって〜！】
一部解読出来てないような
そんな気もするがｗｗｗ
写真だけでも
見ていってくれ的な
そういうことなのだろう。
…という
金田一少年的推理を私は
一瞬で推測したのである。
『ひゃ〜ひゃってみりょい！
（じゃ〜やってみろい！）』
「ひゃい…じゃなかった…はい！
いらっしゃいませ〜！
写真だけでも
見てってください〜！」
どうだ！
この私の推理力！
さすがの邪険店長も…
『じぇんれん駄目ら〜！』
なぬ？
『これら〜！
ひらっひゃひまひぇ〜！
ひゃひんじゃけりぇみょ
みひょっひゃっひぇ〜！
…ひゃってみりょい！』
う…そ…だ…ろ？
完璧に翻訳しただろっ！
何がいけなかっ………はっ！
ま…まさか…
いや…そんなはずは…ない。
ゴクリ…
イチかバチかやってみるか…
速攻クビになるかも知れん…
いや…もうヤケだ！
やるなら今しかねぇ！
「これですかね…？
ひらっひゃひまひぇ〜！
ひゃひんじゃけりぇみょ
みひょっひゃっひぇ〜！」
やっちまった！
どうする？
このまま店長
ぶん殴って逃げるかっ！
（いや…何でだよ！）
『ひゃれば
できんりゃにぇ〜きゃ♪
（やれば
できるじゃね〜か♪）』
…笑った…
おいおい…
う…そ…だ…ろ…
笑って店内に戻っていったぞ。
オレ…褒メラレタ…ノカ…？
ヤッタ…ゾ…オラ…ヤタゾ！
邪険店長ノ…心…開イタゾ！
次の日…
速攻で仕事辞めた！www
疲労〓たまこ〓困憊
