風薫る5月25日土曜日。東京都世田谷区の小学校で運動会が行われた。
連勝が続く白組に今年は赤組が勝つことは出来るのかが見所となった。
ある家族は、去年東京に引越しをしてきて始めての運動会。
転居前の兵庫県では秋に運動会が予定されていたが、それに参加する前に家族全員で東京に引越しをしたため、その家族にとっては2年ぶりの運動会となった。
娘二人はともに赤組となり、同じ組として優勝目指して競技に取り組んだ。
運動会は朝8時45分の開会式より始まり、準備体操のあとは応援合戦となった。
赤組の応援はとても勢いがあった。
毎年の雪辱を晴らすべく、勝利への決意を叫んでいるかのように校庭に響いた。
午前の部の競技のひとつめは、2年生の個人50メートル走。
次女の登場だ。
彼女は先週から体調を崩していたが、今日までに体調を整えたため、ピストルの合図とともに好スタートを切った。
スタート直後は隣の男子が早かったが、赤い帽子をかぶった彼女は次第にスピードを上げ先頭でゴールテープを切った。
本人の予想通り1位。足の速さは母親譲りである。笑顔で1番の旗の下に座った。50メートル走は赤組の勝ち。赤組がスタートダッシュを決めた。
続いての競技は、5年生の棒倒し。ある家族の長女が赤組で参加する。
長女からの情報によると、この競技は連日の練習では白組有利。さて本日の結果はいかに。
男女混ざっての棒倒しは迫力があった。
4回戦を戦い結果は引き分け。
白組有利とみられたこの競技は赤組の頑張りにより同点となり赤組の優位は続いた。
喜ぶ長女。クラスの友達にも笑顔が見られた。
その後の低学年の競技も赤組が勝ち進んだ。
いよいよ長女の5年生の競技、100メール走の順番となった。
。これも男女混合。
スタート位置で構える赤い帽子の長女。最近さらに身長が高くなったので一緒に走る同学年が小さく見える。
スタートの合図とともに4人が一斉にダッシュした。
小学校の時代は女子のほうが成長が早く歩幅も大きいため有利とも思えるが、高学年ともなれば男子も負けていない。野球やサッカーで鍛えている男子であれば足も速い。
長女のグループは団子状態になり順位はゴールまでもつれたが、最初にゴールテープを切ったのは長女。
長女は飛び上がって喜んだ。
それを見ていた母親は、「娘二人がともに1位になって良かった。足の速さは私に似たものであり、父親に似なくて本当に良かった」と語った。
長女に後で聞いた話であるが、足の速い長女はクラスの男子から「ボル子」と呼ばれているらしい。
この競技も赤組が得点を重ねる。
その後の競技では、長女は審判の係りとなり、自分が競技に出ない間は、ゴールテープ持ちや順位案内などを行い、裏方として運動会の進行を支えた。
午前の部後半の遊戯には、2年生の次女が登場した。
沖縄の民謡「ちゃーびらさい(ごめんください)」にあわせ4クラス全員で軽やかに踊った。
青の法被を着て、手には竹に黄色いボンボンを付け、曲に合わせて日頃の練習の成果を披露した。
少し間違えた部分もあったが、とても満足した表情だった。
これで午前の競技は終了。赤組優位で後半戦へと続いた。
ある家族は、開放された体育館で昼食をとった。
日陰のない外に比べ、涼しく砂埃がない体育館は快適であった。
娘達も、午前の競技で良い結果を残すことができたため、笑顔であった。
午後の部も精一杯頑張ることを誓い合って再び校庭へ向かった。
午後の部は1時より始まった。
しかし午後の部は午前中と打って変わり、赤組は苦戦した。全員で参加する大玉送りや低学年のリレーは白組が連勝を重ね、午前中の得点差がみるみるうちに無くなっていった。
午後の部の競技が続いたあとは、長女5年生の遊戯である「ソーラン節」だ。
転校が続く長女は、運動会で「ソーラン節」を踊るのは今回で3回目である。
偶然が重なっただけであるが、やや「見飽きた」感は否めない。
だが、長女は文句は言わず、黒い法被を着て練習どおりに踊った。
担任の先生からは「一番上手だ」と褒められたのが嬉しかったらしい。
当然担任はこれが3回目の「ソーラン節」であることを知らない。
続いて、6年生の組体操が始まった。小学校最後の運動会となる6年生は、心を一つにして様々な組体操を披露した。
圧巻は最後のピラミッド。何段なのかは写真を見て判断してほしいが、崩れることなく見事に大きなピラミッドを組み立てた。
この6年生には、CMでお馴染みの「武井咲(たけいえみ)」の妹がいるという情報であったが、その本人を見つけた。
サングラスをして顔を隠し、妹が出ている組体操をみていたが、やはりオーラを隠すことは出来きなかったのか、周りの人に本人だと気づかれると、さっとその場を去っていった。
さて、話は運動会に戻り、最後の競技である紅白対抗リレーを迎えた。
5、6年生の男女別リレーである。
長女はこの競技に選抜されトップバッターとして登場した。
5年生の長女であるが、一緒に走るその他の3人は6年生だった。
4人一斉にスタートした。
オレンジのゼッケン番号1が長女だ。
4人は団子状態でコースを回っていく。
僅差であるが、長女は最後の4番目でバトンをつないだ。
その後、順位は変わらず女子紅白対抗リレーが終わった。
赤組の男子も苦戦し、高学年の紅白対抗リレーは白組が勝った。
長女が応援席に帰ってくると、彼女は悔しくて泣いていた。
両親に泣いた顔を見られるのが恥ずかしくて赤い帽子で顔を隠していた。
午前中の元気はなくなり下を向いていた。
決して悲しむ必要はない。
頑張った結果だから悔しがることも泣くこともない。
筆者などは、選抜リレーに出たこともないのだから。
午後の部は赤白混戦となり競技が終了した。
午後3時、閉会式が始まる。
結果発表だ。
赤組が勝った。
僅差での勝利だ。
喜ぶ赤組。
帽子を空へ投げて喜んだ。
赤組は白組の連勝を4でストップし優勝旗を受け取った。
風薫る5月下旬、世田谷区のとある小学校の運動会はこうして幕を下ろした。