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こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

2020-06-10 15:23:52 | 映画

 

映画館で観たのに、このブログで記事にしそびれていた映画。

去年の1月くらいに観た映画、大泉洋主演のノンフィクションドラマ、

“こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話”。

原作はフリーライター、渡辺一史氏のノンフィクション、

“こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち”。

キャッチコピーは、“あなたと過ごした日々は宝物でした―”。

 

映画の予告編を観たときから、ずっと観ようと決めていた作品。

そんな好きではないけれど、なんだかんだで観てしまう大泉洋が主演。

さらに大好きな女優、高畑充希がヒロイン役ときた。

それに主役は明るくわがまま?な障がい者。

障がい者が主役だからといって、悲観的にではなく面白く観られそうに思った。

 

 

病気の筋ジストロフィーに対しては、大まかな知識はあったものの、

この主人公の鹿野靖明氏には、なんの知識もなく鑑賞に臨んだ。

11歳のときに進行性筋ジストロフィーを発症。

全身の筋肉が委縮してゆき、自信で体を動かすことができなくなる難病。

国立の専門医療機関に入所するが、18歳でとうとう車いす生活に。

欧米で広まったノーマライゼーション(障がい者と健常者が区別なく暮らす)の思想に感化され、

23歳のときに障害者施設を飛び出して自立生活を始める。

自ら募集した数多くのボランティア達に支えられながら、2002年に42歳でその生涯をまっとうする。

 

鹿野氏はその強い意志とポジティブな性格で500名にも及ぶボランティアを募り、

まだ在宅福祉制度が充実していなかった時代に自立生活を続けた。

しかしその強い性格が相まって、ときにボランティア達と激しくぶつかり合う。

そんな彼と触れ合い、その生き方に影響を受けたボランティアは多数居るという。

原作はそのボランティア達を取材して執筆されたもので、

渡辺氏が実際にボランティア活動をしていたわけではないようだ。

 

 

 

子どもの頃、全身の筋肉が委縮してゆき自由に体を動かせなくなり、

最終的に呼吸すら自分でできなくなってしまう難病、筋ジストロフィーを発症した鹿野(大泉洋)。

34歳になった鹿野が動かせるのは、首と手・・・そして達者な口だけ。

24時間介護が必要な状態にも関わらず、医者の反対を押し切り、

彼は23歳のとき、ノーマライゼーションの思想にふれて感化され、障がい者施設を飛び出し、

自身で部屋を借り、自身で介護ボランティアを募り、自立した生活を送っていた。

 

ボランティアのひとり、医大生の田中久(三浦春馬)。

鹿野のボランティア当番の日に遅刻。

田中と会うために鹿野宅へ先に訪れていた、田中の恋人、美咲(高畑充希)は、

新人のボランティアだと間違われ、なりゆきで介護現場へと案内される。

そこで美咲が見た光景は、複数の女性ボランティアから、

体を洗ってもらっている入浴中の鹿野の姿だった。

 

美咲にとっては衝撃の光景だったが、当の鹿野はあっけらかんとしていて、

目の前の新人ボランティア(だと勘違いしている)の少女に対し、

馴れ馴れしくずうずうしく接し、あれこれと喋りかけてくる。

美咲があっけに取られていると、遅れて田中がやってくる。

田中はこの日、ドタキャンした他のボランティアの穴埋めのため、

急遽、翌朝までの鹿野の介護担当にされてしまっていた。

なりゆきで美咲もそれに付き合う羽目に・・・。

 

 

しかし鹿野の態度に美咲は驚愕する。

こちらは眠いのに、深夜までオセロに付き合わせ、

ワイン片手に、あれせよこれせよと、口やかましく注文を付ける鹿野。

あげく、「バナナが食べたい。バナナ買ってきて!」

「こんな時間にバナナかよ!」

鹿野に渡された財布を持って、夜の町をバナナを求めて駆け回る美咲。

 

美咲はいつの間にかボランティアの一員に。

鹿野のわがまま横暴さに耐えかねて、ボランティアを辞める者も多い。

中にはドタキャンする者さえいる。

そんななか、文句を言いつつも鹿野の注文をこなす美咲は貴重な存在となっていた。

「俺がやりたいように生きて何が悪い!」「筋ジス、ナメんなよ!」

そんな鹿野のわがままにブチ切れて、

ときに「障害者がそんなに偉いのか!」「サイテー!」と吐き捨てたりした美咲だったが、

逆に鹿野は、素直にぶつかってくる美咲を気に入り、いつしか恋心を抱くように。

もちろん田中との関係は知らない。

 

 

田中はというと、医大で葛藤していた。

代々医者のエリート家系。

父親も札幌市内で大きな個人病院を経営している。

無論、自身が医大を卒業してそこを継ぐことになる。

だが、枠に収まらず形式にとらわれず、医者の言うことも聞かず、

自由奔放に生きる鹿野のボランティアをしていくうち、

医者を目指している自分に自問自動する。

 

さらには美咲との関係もぎくしゃくしてしまう。

お互い将来のことを話した時、美咲がそれまで教育大の学生だと田中に偽っていたことを告白。

本当は喫茶店で働くフリーターだったのだ。

それを聞いて、田中は驚き、美咲を敬遠してしまう。

田中の態度に失望した美咲もまた、田中から距離を置いてしまう。

ついに田中はボランティアを辞めてしまい、医大も辞めようとしていた・・・。

 

 

「嘘をついて悩んでいるなら、嘘をホントにしちゃえばいい。」

田中との関係に悩む美咲に、鹿野は前向きなアドバイスをくれる。

もちろん田中との関係を知ってのことではない。

だが、美咲はそんな鹿野にどんどん心開いていく。

鹿野も美咲にどんどん惹かれていくのだが、

筋ジスはどんどん進行し、ある日、鹿野は倒れて搬送される。

人工呼吸器を付けなければいけない段階まできていた。

 

人工呼吸器を付けるということは、声を失うということ。

だが、喋ることが唯一の武器だった鹿野はそれを激しく拒むのだが、

けっきょく喉を切開し、人工呼吸器を装着する。

一時的に喋れなくなってしまった鹿野だったが、

人工呼吸器を付けても喋れるようになったひとの前例を美咲が調べ、

その特訓をした結果、鹿野は奇跡的に声を取り戻し、めでたく退院することに。

 

その退院祝いのパーティ。

あんなに人工呼吸器を装着するのに否定的だったにも関わらず、

お調子者の鹿野は大勢を前に「人工呼吸器サイコー!」などと叫ぶ。

宴もたけなわ、多くの来場者を前に鹿野は一大決心。

こっそり婚約指輪を用意し、皆の前で美咲にプロポーズする。

驚く美咲だったが、それを丁重に断るのだった。

 

 

ここで初めて、鹿野は美咲と田中がかつて恋人同士であり、

美咲は今もそれを引きずっているということに気付く。

さらには田中は医者への道を諦めようとしている。

田中も美咲も大切なボランティア、鹿野にとってはボランティアは家族。

大切な家族二人を再びくっつけるため、

鹿野はベテランボランティアの高村(萩原聖人)らに協力してもらいながら、

あれこれと奮闘を開始するのだった。

 

 

かなり面白かった。

というか一年半ほど前に観た映画なので、

もう一度見直さないと、色々と細部を忘れてしまっている。

とにかく、大泉洋演じる鹿野と、高畑充希演じる美咲との掛け合いがいちいち面白い。

それとは対照的に、淡々と進みつつも笑える、三浦春馬演じる田中とのやり取りもまた面白い。

横でティッシュ箱を持たされ、エロビデオ鑑賞に付き合わされるボランティアの心情って・・・。

 

 

一応実話が元となっている作品だが、美咲や田中は架空の人物だと思われる。

だが、母親(綾戸智恵)とのエピソードには泣けるものがある。

難病を発した息子の将来を憂い、「一緒に死のう・・・。」と言う母親に、真っ向対立する幼き息子。

過去の負い目を背負いつつ、ボランティアに感謝の差入れを欠かさない母親。

「クソババア!二度と来るんじゃねえ!」

そんな母親に罵声を浴びせて追い返す息子。

終盤に鹿野の母親に対する悪態の真相が開かされる。

それが判った瞬間、もう涙があふれてどうしようもなかった。

 

ボランティアのリーダー各、高村役に萩原聖人。

最初に登場したときに、「え!?これ萩原聖人?」と、目を疑った。

いやあ、あの細見だったトレンディ俳優が、こんな中年肥りっぽく見えて、

しかも役柄だろうか、やけにやつれて老けこんでいた。

さすがベテラン俳優、仕事とボランティアの両立で、

かなり苦労しているであろうことを十二分に匂わせてくれる雰囲気だった。

それを言うと、主演の大泉洋も役柄のために10kg減量したのだとか。

筋ジスの患者が、がっちりしていたらおかしいからね。

 

他にもボランティア仲間として、渡辺真紀子や宇野祥平らも個性ある役で面白かった。

美咲のバイト仲間で、のちに鹿野のボランティアにも加わってくる二人の女の子、

古川琴音ちゃん,中田クルミちゃんも良かった。

人工呼吸器を装着している喉に直接チューブを入れて、

溜まった痰を取る実習のときの悲鳴に近い声の演技なんか印象的。

 

そうそう、劇中ラストにその表記があったが、

時代が’90年代ということもあり、医療環境が当時のそれに合わせてあるため、

医療器具や医療行為の手法が現代とは異なるとのこと。

医療の世界は日進月歩なので、医療や介護の仕事に従事している方は、

現代と比較して観るのも面白いかもしれない。

 

自分はそういう知識はないので、周りの家具とかファッション、

カルチャーなんかに現代との違いを見つけて楽しんでいた。

携帯電話もなくて公衆電話で連絡していたし、

まだまだカセットテープが主役で、ラジカセで音楽やラジオを聴いていた。

若い女の子に当時流行ったダッフルコートやボーダーシャツ。

人気絶頂だった、ザ・ブルーハーツ。

それにエロビデオがVHS!

まだブルーレイはおろか、DVDすらなかったからね。

 

映画観終わった後に買ったバナナ。

すぐに傷む真夏と真冬以外はたいてい部屋に常備しているが。

 

観終わると当然、バナナが食べたくなる。

と、同時にジンギスカンも食べたくなる。

大きめのスーパーへ行きゃ、ラム肉売っているし、

最近じゃ既に味付けされたジンギスカンの真空パックが売っているけれど、

本場北海道だとジンギスカンもまた格別なんだろうなあ。

まず、あのスリットの入った専用の鍋がいい。

あの鍋でジンギスカンを食べてみたい。

だが、あの鍋を購入するほど、ジンギスカンを家ではやらないと思うんだ。

 

こんな夜更けにバナナかよ!

スマブラスペシャルに登場するバナナガン。

こんなフザけた形状の武器だけど侮れない威力だ。

 

 

 

 



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