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屍人荘の殺人

2021-05-27 02:32:18 | 映画

※本記事、“屍人荘の殺人”は、映画の内容ついてのネタバレを含みます。

 

昨年2月頃に観た映画。

一昨年の秋くらいには予告編でチェックしていて、

ふだんミステリーモノというか、推理モノの作品は観ないのだけど、

主演の神木隆之介と浜辺美波のコメディタッチのワンシーンを観て、

これは面白そうだと思い、楽しみにしていた映画。

 

 

神木隆之介 主演のミステリー。

原作は今村昌弘氏の同タイトルの小説。

キャッチコピーは、“浮かび上がる15人の容疑者(クセもの)たち。犯人は何者?”。

もう公開から1年半くらい経つし、

DVDの販売やレンタル開始されて久しいし、

作品のネタバレを含んで記事にする。

 

 

関西の有名な私大、神紅(しんこう)大学。

そのミステリー研究会に所属する、一期生の葉村(神木隆之介)。

ミステリー研究会の会長であり、“神紅のホームズ”の異名を持つ、

明智恭介(中村倫也)の助手、つまり“神紅のワトソン”として、

明智が半ば強引に首を突っ込む、学内で起きるさまざまな事件を解決するため推理を働かせる。

しかし葉村はミステリー小説おたくなだけで、これまでに推理が当たったことは一度もない。

 

 

ある日、学内のある学部の教授の部屋で、テスト問題の盗難事件が起きる。

その事件に出くわし、首を突っ込んでいた ふたりの前に、

謎の美女、剣崎比留子(浜辺美波)が現れる。

比留子の 鋭い推理で、瞬く間に犯人を突き止めた。

この件以来、明智の元へすっかり依頼が来なくなった。

 

 

二人が 行きつけの喫茶店でくすぶっていると、

「取引がしたい!」と、突然 比留子が現れる。

明智と葉村が、“神紅のホームズ&ワトソン”と呼ばれていると知った比留子は、

二人をロックフェス研究会(通称:フェス研)の夏合宿への参加を持ちかける。

彼女曰く、フェス研の部室へ、今年の合宿参加者へ向けた脅迫文が届いたのだという。

また、昨年開催された合宿の参加者のなかに、

行方不明になっている女子部員が居るのだという。

 

 

明智の大好きな事件の臭いがプンプン漂う案件。

案の定、食いついて合宿へ参加することに。

実は比留子はその界隈では有名な探偵少女。

比留子の推理が実際に犯人逮捕・事件解決に繋がった事件も多々あり、

実際に警察から いくつもの感謝状を授与されている本物だった。

明智はそれがおもしろくなく、彼女をライバル視して警戒する。

だが、葉村は比留子を初めて見たときから ひと目惚れしており、

比留子の一挙手一投足に、ただただうっとりするだけだった。

 

フェス研の合宿の舞台は長野県の湖畔で開催されるサベア・ロックフェスティバル。

宿泊先は、ほど近くにある森の中の洋館のようなペンション、紫湛荘(しじんそう)。

大企業の御曹司である、フェス研OBが、後輩の合宿のために無償提供してくれる場所。

そのOB、七宮兼光(柄本時生)と立浪波流也(古川雄輝)。

合宿とは表向き、実は二人が女子を物色するというのがフェス研の夏合宿の真相だった。

 

昨年参加して行方不明となった女子部員は、二人に弄ばれたあげく捨てられたのか?

そんなことは気にも留めず、今年もまた新しい女子を物色しようと企む二人。

その事実を知っておきながらも、今年も合宿を企画し むりやり開催にこぎつけた、

部長の進藤歩(葉山奨之)は、女子の頭数を合わせるために自身の恋人もむりやり参加させた。

御曹司である七宮に気に入ってもらえれば、就職活動が有利になるからと、

脅迫状が届いたにも関わらず合宿をむりやり開催したのだった。

 

 

フェス研の夏合宿初日。

自己紹介を兼ねてのバーベキュー。

・・・とは表向きで、やはり女子を物色する兼光と波流也のOBふたり。

進藤とおなじく、就職を有利にしようと兼光に積極的に詰め寄る、下松孝子(大関れいか)。

フェス研でもないのに、むりやり参加させられた進藤の恋人、星川麗花(福本莉子)。

気乗りしないが仕方なく参加した、神経質でおとなしいメガネ女子、名張静江(佐久間由衣)。

名張のことが心配で、やはり仕方なく参加した、ホラー映画マニアの重本充(矢本悠馬)。

そこへ部外者として、明智と葉村、そして比留子が参加した。

 

 

「今年の生贄は誰だ?」

そう書かれたフェス研の部室に届いた脅迫状。

そして昨年の合宿後の女子部員行方不明事件。

気が気でない参加者たちをよそに、盛大に開催されているサベア・ロックフェス。

紫湛荘に飾られた西洋の武器のレプリカや鐘など、調度品に心踊らす比留子。

そんな比留子に見とれる葉村。

比留子を警戒しつつ、これから起こるであろう事件にいてもたっても居られない明智。

 

大勢の人々が野外のロックフェスに酔いしれるなか、一台の車が紛れ込む。

車から降り立つ複数の男たち。

荷台に積んであったジュラルミンのケースから取り出した注射器。

謎の液体を装填し注射針をセットして、人でごった返すなかに消えていく男たち。

そして、人々を恐怖に陥れる、とんでもない事件が起きる。

 

 

明智と葉村、そして比留子。

フェス研の部員たちも含め、その事件に巻き込まれてしまう。

紫湛荘に立て篭もることになった一行。

だが、そのなかで脅迫状の差出人が起こしたと思われる第一の殺人事件が起こる。

そして二人目、三人目・・・。

完全な密室、“クローズドサークル”で起こる連続殺人。

葉村たちは、見事、犯人を突き止めることができるのか?

いや、それ以前に、この異常事態のなか、生き残ることができるのか?

 

 

 

※ここからネタバレを含みます。

 

面白いっちゃ面白かった。

一言で感想を言うと、ただただ浜辺美波がかわいかっただけの映画。

 

 

ミステリーだと思って観ていると、途中で・・・しかも序盤で肩透かしに遭う。

まさかのホラー(ゾンビ)映画。

しかもコメディタッチあり。

ホラー+ミステリーで、ある種あたらしいジャンルを確立しているかもしれない。

とはいえ、ふだんミステリーモノを読んだり観たりしないので、

自分には単に新鮮に映っただけかもしれない。

 

 

主人公の一角であろう、中村倫也扮する明智が早々に退場する。

え!?中村倫也、もう出番なし??

ここでまず、番狂わせに戸惑ってしまう。

再登場するものと思っていたが、けっきょくそれっきり。

ラストに再登場するが、それは既に変わり果てた姿となって。

 

 

「犯人が判った!」

まだ事件も起きていなかった、彼の退場直前。

助手の葉村に得意気に放ったひと言は、真実だったのか?

だとしたら、彼がこれから起こるであろう殺人事件の犯人を、

真っ先に突き止めていたことになる。 

明智恭介は中村倫也の妙演も相まって、

非常にいいキャラだったのに、早々の退場は惜しい。

 

 

葉村役の神木隆之介。

イケメン俳優とはちょっと異なる、どこか三枚目の様相もある彼が、

少しドジで情けない、こういった役を演じると本当にハマる。

同じく子役上がりのベテラン俳優、吉岡秀隆も同じような役柄が多いかもしれない。

神木隆之介と異なり、あちらはシリアスな役ばかりだが・・・。

 

 

終始、比留子に見惚れるばかり。

だが、明智に対しての情はそれ以上で、彼を失った時の悲痛な叫び、

ラストの悲しい再会は、非想観が漂う。

明智から比留子にパートナーが完全に変わったことを意味し、

それは比留子のこの劇中の決め台詞によって決定づけられている。

原作小説では続編があるらしく、それを示唆しているのだろう。

 

 

比留子役の浜辺美波。

先にも書いたが、ただただ美しくてかわいかった。

謎の美人探偵という役柄だが、その清楚で場違いな格好と、

実は大金持ちの令嬢という設定からくる、どこか気品のあるたたずまいと所作。

それに反して語尾がちょっと古風でヘンだったりする、よく解らない言葉使い。

 

 

ケチャップを豪快に頬にひっつけながらナポリタンを頬張り、

バスのなかでは大口を開け白目を向いて居眠りし、

眠気を必死にこらえるために、こめかみをぐりぐりしたり、

合宿のしおりに描かれたイラストに、「かわいい!」と、子供のようにはしゃぎ、

紫湛荘屋上の鐘を意気揚々と鳴らす。

清楚な格好のまま槍を構える姿はすごく美しいし、

推理を披露する際は、なぜか相撲の雲竜型のポーズで決める。

滑稽だけど、それがかわいくて美しい。

不思議なキャラクターだった。

 

 

序盤で退場してしまうキャラは置いといて、

他のキャストも個性的で面白かった。

OB役の、柄本時生と古川雄輝、部員役の矢本悠馬や佐久間由衣、

皆、若手実力俳優で、観ていて安心感がある。

紫湛荘の管理人役の、池田鉄洋もいいキャラクターだった。

途中から加わる、ドランクドラゴンの塚地とふせえりも面白いキャラクターだったし、

同じく途中から加わった山田杏奈ちゃん。

初めて知った女優さんだけど、初々しくてよかった。

 

 

誰が最後まで生き残れるのか?

そして誰が犯人なのか?

スーパーファミコンの名作サウンドノベル、かまいたちの夜なみに、

ハラハラして観ていたが、ミステリー初心者にとっちゃ、

サスペンスとホラー、どっちかひとつにしてもらわないと整理がつかない。

というかゾンビ事件に関しては、最後まで真犯人とその動機が語られることもなく、

消化不良もいいところだ。

 

 

映画化されたときに発売された特別表紙のもの。

中村倫也の明智,神木隆之介の葉村,そして浜辺美波の比留子さんの三種類あった。

映画公開時は三種とも大量に並んでいたが、

自分が購入するときは既に浜辺美波の比留子さんVer.しか残っていなかった。

原作(もしくは映画)ファンは女子が多いのか?

まあ、もとから比留子さんを選んだろうが。

  

消化不良に陥ったので、原作小説を買って読んでみた。

登場人物や合宿する部の設定に違いがあるが、

原作でも明智は早々に退場してしまうのね・・・。

比留子さんの格好もだいぶ違う。

原作だとノースリーブのワンピースにカンカン帽だと・・・?

そんないでたちの浜辺美波も観たかった!

あと原作だとグラマラスで巨乳・・・これは浜辺美波だと再現できない・・・な。

 

これが通常の表紙。

描かれている黒髪の美少女は続編の表紙にも描かれているので、

たぶん比留子さんなんだろう。

 

そして消化不良なのは原作も同じ。

ゾンビ事件を引き起こした一行の真相は続編にあたる小説で描かれるようだ。

これも買って読まなきゃいけない・・・。

原作者の術中にハマったか?

 

一年以上も前に観た映画。

記憶が曖昧なところがあり、さらに原作との設定の違いもあり、

映画と原作とごっちゃになってしまっているところもあり、

うまく記事にできなかったけれど、興味のあるひとは観るべし。

とくに浜辺美波と神木隆之介のファンは絶対に観るべし。

逆に中村倫也のファンは微妙かもしれない。

だが、出番は少なかれ、彼の妙演は一見の価値あり。

 

 

それからミステリー好きにはお勧めできない。

ふだんから推理小説を読んだり、ミステリー映画を観まくっている人たちには、

この映画の劇中のトリックが幼稚で、犯人もすぐに判ってしまうらしい。

彼らが好まないホラー要素も絡まってくるため、軒並み評価が低い。

江戸川乱歩も赤川次郎も松本清張も東野圭吾も読まないし、

金田一もコナンも観ないし、既存のミステリーモノにまったく興味のない自分は純粋に楽しめたけどね。

あとどういうわけだか、プロレスラーの永田裕志もゲスト出演。

プロレスを観なくなって久しいので、彼の姿は20年ぶりくらいに観たんじゃなかろうか。

 

  

観た後にかかりつけの総合病院の食堂へ、大盛りのナポリタンを食べに行った。

診察があったとか見舞いがてらとかでなく、本当にナポリタンを食べるだけのために。

中村倫也と浜辺美波が食べていた、あの鉄板に盛られたナポリタンのシズル感には負けた。

思い出せば、この映画を観た頃は まだコロナが始まる前で、

映画も気兼ねなく観れたし、病院へも自由に出入りできたんだったなあ。

 

映画帰りに総合病院の食堂で食べたナポリタン。

 

 



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