高校研究

高校入試に関わってから早20年の月日が過ぎました。ブログ執筆も10年目。様々な角度から、入試の今を見つめていきます。

野球部が盛んな都立高校ランキング―1位は都立城東高校!

2015-08-06 03:28:04 | 日記

ある程度活発な野球部のある都立高校に進学したいなら、以下のリストの中から進学先候補を決めることがおすすめだ。東京都内の私立高校・都立高校の野球部員数を見てみると、野球部自体はほとんどの学校にあるのだが、部員数が不足している学校が多いのも現状だ。

強豪校であれば、設備は充実しているし、他の強豪校との練習試合も多く組まれているので、切磋琢磨できる環境がある。同じ志を目指す仲間が多いのも魅力的だ。

最近は都立高校が甲子園に出場したり、ベスト8以上に入るのも当たり前になってきた。私立高校の野球部推薦を蹴って都立強豪校に進学するクラブチームの生徒が増えている。

私立高校のスポーツ推薦が問題化しているからだ。ケガやイジメが原因で退部を余儀なくされた途端、学校の態度が一変して退学を迫ったり、学校の授業も出られないほど、学校の宣伝のためだけに3年間過度の練習をさせ、高校卒業後は進学先がなかったり、底辺レベルの大学にしか行き場がなかったりする。私立高校の野球部推薦に後悔する人が増えているのだ。最近は中学のクラブチームでも、都立高校の強豪校を将来を考え薦める人が増えているという。今後も、都立強豪校の台頭は続きそうだ。

 

1位:都立城東高校が甲子園に一番近い

都立高校で一番盛んな野球部は都立城東高校だ。この学校は「スポーツの城東」の異名を誇るほど運動部が活発で、体育会系の熱い校風と称される。都立3番手の進学校なので、国公立大やMARCH、早慶大の進学も多いのも魅力。文武両道で頑張るなら。甲子園には二度出場している。

 

2位:日野高校

多摩地区なら日野高校が甲子園に一番近い。西東京なら都立勢で一つ抜けていて敵なしだ。野球部が盛んな都立高校を希望する多摩地区の生徒なら、まず日野高校をおすすめする。

 

3位:雪谷高校・小山台高校

2校とも甲子園出場経験がある。

4位:総合工科高校

野球部専用グラウンドがあって私立強豪校よりも環境は良い。

5位:都立国立高校

言わずとしれた都立トップ校の超難関校。東大野球部にもたくさん部員を送っている超名門。甲子園にも過去出場している。一定以上の成績を残せば、21世紀枠で推薦される可能性大。

 


東京の理系力を育てる高校は私立高校よりも都立高校だ

2015-06-12 02:49:43 | 日記

20~30年前の古い受験事情しか知らない保護者は戸惑うかもしれないが、理数系に力を入れた高校へ進学したいとか、理系の有名大学に進学したいと希望するなら、東京都内に限れば、私立高校よりも都立高校のほうが絶対に良い。

もはや今、高校受験を経由して大学受験で有名大学を目指すなら「都立高校>私立高校」は常識だが、理系は特にそう。なぜかというと、文系以上に3年間の教育の質とカリキュラム構成が問われるから。

理系カリキュラムが全然ちがう

東京都内の私立高校が致命的なのは、大部分の進学校が中高一貫校化してしまって、6年型のカリキュラムに移ってしまったことだ。この種の学校は、高校募集をしているところもあるが、高校で入るべきではない。

入学すると、3年型のカリキュラムで学ぶことができず、中高一貫型の6年型カリキュラムに無理やり合わせるひどい授業カリキュラムになる。私立高校としては、中高一貫生が本流であり大切。高校入学者は、オマケの存在としか考えていない。この歪なカリキュラムでつぶれる私立高校生が多い。かわいそうだ。

私立高校の教育の質が悪いと言っているわけではない。良好な理系カリキュラムを持つオススメな私立もいくつかある。だが、それはことごとく中高一貫が主体の私立高校。中学から入学するなら良いが、高校からはおすすめできない。

対して都立高校は、ここ十数年の猛烈な努力の成果によって、公立中学+高校入試向け塾で学んだ生徒が3年間で有名大学に届くまでのカリキュラムを研究に研究を重ねてつくってきた。ある都立の進学校にお邪魔したが、一人ひとりの卒業生の入学時から卒業までの学力の伸びをデータ化して分析していることに驚いたことがある。こんなの、今の都立高校では当たり前にやっている。

カリキュラム構成も上手だ。都立西高校のカリキュラムを詳細に見ると、高校入試向けの勉強をしてきたことを前提とした数学の進度がとられ、最初はムリなく、徐々にスピードを上げていく。とにかく緻密。3年間のカリキュラムでいったら、都立高校が圧倒的に優れていると言わざるを得ない。

 

高校受験を経ての理系の国立大進学者はほとんど都立出身

誇張だと言われるかもしれないが、都立高校と私立高校では理系の進学実績にとんでもない差がある。言わずもがな、都立高校の圧勝だ。

なぜだ、私立高校にも優れた進学実績をあげている学校はたくさんあると思うだろう。ところが、そこには大きなからくりがある。さっきの話にも似るが、私立高校の有名大学の進学実績は、ほとんど中高一貫の生徒。高校受験の生徒は受からない。

これは受験通には有名な話だが、「中学入試に受かる」という毎年出版の本がある。中学受験生向けの本で、まあ正直それほど中身のある本ではないのだが、一つだけお宝データがある。それは、主要私立高校の、中高一貫生だけを抽出した進学実績を載せているのだ。

こういう数字は、ホームページにもまず載っていないし、高校説明会でも教えてくれない。説明会で質問したところで、「大丈夫ですよ。高校受からの生徒も、中高一貫生と同じぐらい頑張ってます」などと濁らせられるだけだ。

ところが、この本を見ると、あまりにもひどい高校受験生の実績が見えてくる。東大、京大、東工大、早慶大など、ことごとく有名大は合格者の大部分が中高一貫生。高校受験の生徒を計算してみると、もはや詐欺だというくらい実績が低い。カリキュラムの話で言ったように、高校受験からの生徒が入学後に潰れてしまっていることも大きい。

都立高校は、中高一貫生の実績を含まないので、すべてが高校受験からの実績で安心できる。日比谷高校の東大合格者数なんかは、開成高校の高校受験からの入学者よりも多い。だから、高校受験では「高校受験から東大を目指すなら日比谷がナンバー1」と言われるのも、この話を聞いてからだと納得できると思う。

 

理系に力を入れる都立高校が増えている

最近は、理数系の教育の質の向上を重視する都立高校が増えた。東大理系、京大、東工大とかの難関国立理系の合格者数は、都立全体でもどんどん増えている。

日比谷高校、戸山高校、八王子東高校、新宿高校、多摩科学技術高校、小山台高校、都立科学技術高校など、結構いっぱいある。

中でも一番の注目校は、国公立大の合格者数を伸ばして偏差値も急上昇中という多摩科学技術高校だ。ここは、21世紀型教育の先進校として、全国から視察がくるそうだ。この学校は確実に化ける。日比谷や西レベルの生徒にもおすすめしたい。

最近は、従来から英語教育に強かった三田高校も理系教育に力を入れ始めたり、八王子東高校が理数イノベーション校に指定されたり、新たな動きも出ている。八王子東高校が指定された理数イノベーション校とは、

大学や研究機関と連携して最先端の実験・講義を通して、理数に秀でた生徒の能力を一層伸長するとともに、科学技術系人材育成の拠点として東京都の理数教育をけん引する学校である

というものだそうだ。八王子東高校は、今後は理系の有名大学の進学実績が大きく伸びそうだ。日比谷高校や戸山高校のように、普通科でSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、独自の理系教育をしている学校もある。普通科高校でも、小山台高校のように昔からの理系進学の名門校もある。

私立高校が、高校受験から入学する価値が低下している今、頑張っている都立高校には期待したい。


桐朋中学校 2月2日入試の予想偏差値は…

2015-06-11 03:12:26 | 日記

多摩地区で都立中高一貫校志望者で、私立中併願を考えているご家庭には気になるニュースです。

かつての進学校、桐朋中学校が、2月2日にも入試をおこなって、1日と合わせて2度の複数回入試をおこなうということです。

「かつての進学校」と言う枕詞をつけたのは、2015年の中学受験で入学した新1年生は、偏差値40台が約半数を占めるので、もはや進学校とは言えない学力レベルが入学する学校になっているからです。

20~30年も前の昔の桐朋中学校の隆盛期を知る人間からしたら、目が飛び出るような数字でしょうが、これが現実です。伸びる進学校、落ちる進学校と二極化する私学。桐朋中学校は負のスパイラルから抜けていません。

今年、2015年の進学実績の惨敗も学校関係者からしたらショックでそうが、それよりも、これから卒業を控える世代の学力レベルのほうがマズい状況。

偏差値からして、たぶん5年後の桐朋高校の進学実績は

東大3(現役1)

東工大6(現役3)

一橋大4(現役2)

ぐらいにまで激減しているはず。都立2番手校と同じかやや劣るぐらい。東大は0になるとも言われてますけど、桐朋小学校出身者に期待ってところでしょうか。

大切なのは、普通に学校についてちゃんと調べている保護者なら、桐朋が5年後には、もはや中堅校レベルの進学実績しか出せなくなる運命なのは知っているということ。塾でも、親切な先生ならば、「桐朋は来年以降にどんどん実績は落ちることが確実ですが、それを了承して志望しますか?」と確認してくれるはず。

2月2日入試を設けたからといって、もはや偏差値60以上の層は帰ってきません。メインは偏差値46~53ぐらいの層でしょう。よって、今年の進学実績でマイナス偏差値2下がるとして、+2ぐらいが桐朋中学校の2月2日入試の妥当偏差値。

おそらく、2月1日は偏差値52、2月2日は偏差値54ぐらいになるでしょう。桐朋中学校復活とはまずなりません。残念ですが……。


日比谷高校、2016年の東大合格者数公立首位!

2015-06-09 02:28:30 | 日記

大手の塾(サ〇ックス、早〇アカ、e〇a、Z〇進学教室、T〇AS)のチラシを見ると、日比谷高校の復権がいよいよホンモノになってきたことを実感する。

手元には2015年度と2016年度の高校入試のチラシがあるが、筑駒、開成、学芸大附属レベルの、かつての高校入試の最難関と呼ばれた高校の合格者が、ことごとく第一志望の日比谷高校や西高校に進学している。早慶附属とか筑波大附属は、もはや完全に日比谷高校にとっての併願校になっている。

2016年の日比谷高校の東大合格者数は、53名。これは全国の公立高校でダントツのナンバー1だ。ほか、国公立医学部や一橋大、東京工業大といった難関国立大にも大量合格を実現している。

高校入試もそれを象徴するように、2015年、2016年と激戦が続いている。2016年は、去年よりも倍率は下がったのに、志望者の偏差値は上がったから、ボーダーラインはさらに上がってしまった。男子なら、筑駒とか開成の合格者が、その権利を保持したまま、第一志望の日比谷を受験するのだから、ボーダーラインが上がるのも無理はない。塾にとっては腕の見せ所だろうか。

日比谷高校が、高校入試で人気な理由は何なのだろう。

今年の4月、高校関連のコンサルタントで知られる岡林秀明さんが、「東大合格市場 あの超進学校がやっていること」という本を出版した。

この本では、なぜ日比谷など都立トップ校が圧倒的な支持を受けるのか、真の理由が書かれていて興味深い。

「日比谷、西、国立の最大の強み、競争優位は「3年制高校」であること」

本書ではこう結論付けている。都内の進学校は今や、猫も杓子も中高一貫、中高一貫、中高一貫……どこも中高一貫教育を売りにしてる。

逆に、日比谷高校のような3年制高校で東大に大量合格する進学校はほとんど無くなってきている。だからこそ、日比谷高校というのは、高校受験生にとって魅力に映る。

しかも、本書の指摘することによると、東大合格者数ナンバー1の開成高校ですら、外部進学生の学力が相当に落ちたせいで、内部進学生と比べて進学実績が悪化。高校から入学する生徒だけを抽出した進学実績では、日比谷高校のほうが開成高校よりも東大合格者数が多いという逆転現象が起こる。

私立・国立のトップ校は、中高一貫教育を売りにする性質上、どうしても高校受験生は補完的な扱いになり、3年間で伸ばすことに特化した日比谷高校には敵わなくなる。これが、高校受験生の間で知られるようになってきた。

横一線の学校生活のスタートは、内部進学生に追いつくための無理やりの勉強が必要ないし、内部進学生との人間関係の悩みもない。教育メニューも3年間で東大に合格できるよう計算されてつくられている。

こうした点を踏まえ、東大を目指す中学3年生にとって、たとえ筑駒や開成に受かっても、日比谷や西のほうが魅力たっぷりに映ることを本書で指摘している。

この本の通り、これだけ高校受験で筑駒や開成の人気が落ちると、高校受験自体を完全に止めるのも時間の問題かもしれない。(2015年の開成高校入試は、100名の枠で2倍の200名合格者を出しても、まだ入学者を満たすことができず繰り上げ合格を出している。開成高校は合格しても入学する率が低い学校になってしまった)

 

日比谷生の行事への熱はハンパない! 予想を裏切る青春感!

ただ、やっぱり東大だけでは、日比谷高校の人気は説明できないと思う。

たとえば、星陵祭を見に行って、日比谷高校のイメージがガラリと変わったと話す中学生は多い。日比谷高校と言えば超エリート校のイメージが強いので、なんとなくガリ勉で勉強ばかりしてそうなイメージを持つ。ところが、星陵祭に行くと、その圧倒的な生徒の行事に対するパワーに気圧されっぱなし。高3生が全力で取り組むクラス演劇は完成度が高く列ができる人気だ。良い意味で予想を裏切る熱気。日比谷生の全力の青春感!

SSHに指定され、東大の安田講堂を全部借りてノーベル賞受賞者を呼んで講演会を行うという、どう考えても全国で日比谷にしかできないようなことを普通にやる。アメリカのハーバード大学への交流会、ハワイのすばる望遠鏡を訪問する行事。戦前から続く勝山臨海合宿、スキー教室や夏山キャンプなどの多すぎるほど充実している宿泊行事。

意外にも日比谷の教育は、東大一直線、受験一辺倒ではなく、日比谷にしかできない大胆な行事もあるが、真の教養を身に着けさせるという王道をいくものだ。

日比谷の3年間は短くあっという間だが、とにかく濃密。中高一貫校ではできない教育。先ほどの本にあったように、3年制高校でしかできない教育。こういう学校が、まだ東京都内に残っていることは、高校受験生にとって本当にありがたいことだ。今後も日比谷は伸び続ける。そして、高校受験生のハートをがっちりつかみつづける、王道の進学校であり続けると思う。


多摩科学技術高校、2016年偏差値「65」の脅威

2015-05-16 00:51:52 | 日記

多摩科学技術高校が凄いことになってきた。2016年度入試用のVもぎ・Wもぎの合格確実圏偏差値が65になったのだ。(都立高校偏差値を参照)

2010年の開校時が51程度だったとうから、6年間で10以上も偏差値が上昇したということになる。こんなに急激に偏差値が上がる学校、かつてあっただろうか??

普通科進学校とは違う、ホンモノに触れることができる理数専門の進学校というのが学校ノコンセプト。この特異な学校スタイルが、理系生の生徒の心をつかんだようだ。

進学実績もスゴイ。2015年春は国立大学に現役で30人。ちょっと驚きだ。同じ塾の業界人も、こんなに進学実績が出ることに驚いていた。

多摩科学技術高校は、少人数の精鋭集団というのが売りだから、1学年の生徒数が少なく、210人だというから、そこから30人が国立大にストレート合格。ほかの進学校と比べた合格率はいかに?

多摩地区の人気進学校といえば、武蔵野北高校、小金井北高校、調布北高校。いわゆる三北(サンキタ)だが、この3校よりも、国立大現役合格率は多摩科学技術高校の方が高い。

凄いことだ。だって、この実績を出した学年というのは、Vもぎ・Wもぎで偏差値54程度だったと記憶している。国立大なんて数人合格すれば御の字のレベルではないか。

今年の入学世代は偏差値60オーバー。西高校、国立高校のような都立トップ校レベルの入学者もいる。この代が卒業するころには、冗談ではなく、都立2番手校の立川高校、国分寺高校、武蔵高校、八王子東高校ぐらいの進学実績を出すのではないか。

多摩科学技術高校。夢のある進学校だ。今後、大成長しそうな予感。進学指導重点校を志望している生徒も、理系生なら一度見に行ってほしい。