オウム真理教の松本智津夫元死刑囚の死刑が執行されてから、13日で1週間。当日の朝から執行までの松本元死刑囚の詳細な様子が関係者への取材で明らかになりました。
今月6日午前7時ごろ。松本智津夫元死刑囚は東京拘置所にある独居房の一室で目を覚ましました。朝食は部屋でほぼ全てを食べたといいます。刑務官から声がかかったのは7時40分ごろ。
「出房」(刑務官)
刑務官に付き添われ、行き着いた先は教誨室でした。
【関係者取材をもとに再現】
「お別れの日が来ました。教誨(きょうかい)はどうしますか」(刑務官)
「・・・」(松本元死刑囚)
「じゃあやらないんだね。言い残したことはある?」(刑務官)
「・・・」(松本元死刑囚)
終始、ぼうぜんとしていたという松本元死刑囚。
「引き取りはどうする?」(刑務官)
「・・・」(松本元死刑囚)
「誰でもいいんだぞ」(刑務官)
「ちょっと待って」(松本元死刑囚)
しばらく考え込みます。
「誰でもいいんだよ。妻・次女・三女・四女がいるだろう」(刑務官)
少し間が空いたあと、松本元死刑囚が遺骨の引き取り先として選んだのは・・・
「四女」(松本元死刑囚)
小声でよく聞き取れなかった刑務官が「四女?」と聞き返すと、松本元死刑囚は四女の名前を口にしたといいます。
「四女だな?」(刑務官)
そう問いかける刑務官に、次のように言って、うなずきました。
「グフッ」(松本元死刑囚)
教誨室を出て刑場に入ると、東京拘置所長から刑の執行を正式に告げられ、午前8時すぎ、執行されました。暴れたり、抵抗したりするようなことはなかったということです。
その後、教団幹部だった遠藤誠一元死刑囚と土谷正実元死刑囚に対しても相次いで死刑が執行されました。刑務官に遺体の引き渡し先を問われると、後継団体アレフの担当者の名前を挙げた遠藤元死刑囚。
一方の土谷正実元死刑囚は、死刑執行の時期が近いと感じた時に暴れる傾向にあり、今年3月に他の死刑囚が東京拘置所から各地の拘置所に移送された際にも、執行の準備に入ったと思ったのか、暴れて懲罰に使われる保護房に収容されました。今回、死刑が執行された際にも保護房から刑場に連行されたということです。そして、遺骨は婚約者の女性に引き渡されたということです。
こうして、かつての教祖と教団幹部3人への死刑執行は、7月6日の朝、東京拘置所で2時間あまりで終わりました。