Poem&Poem

詩作品

Y式平和大作戦

2016年01月17日 13時36分50秒 | My poem

《ミルクを飲む少年 メアリー・カサット 1868年》


二歳から始まったY君のお泊りは五年の歴史を重ねた
今年の冬休みには初めて
「パパとママはどうしているのかな?」と呟いた
「寂しがっているわよ。」と言いながら
湯上りの柔らかな爪を切ってあげる

朝になると
「パパがここまで迎えにきてくれればいいのに。
 そしたら、その分ここにいられるもん。」
初めてのY君の発言に
「子供は言ったことをすぐに忘れる。」とじいじは言う
Y君の心の奥底から汲み上げきれないさざ波を想う

駅まで不機嫌に歩くY君の手を離さずに歩く
駅のホームでは乗車前に車両数を数える
降車後には 向かいのホームの時刻表示を見て
反対方向からくる電車を待つ
車両数を比べる「同じだった。」
大分時間を費やした

そして パパと待ち合わせのスケートリンクへ
すぐにスケートをやらない
終われば「さよなら」が待っているから
「じゃあランチにしよう」
不機嫌にゆっくりとサンドイッチを頬張るY君

ご機嫌にスケートを楽しんでしまったら
もうお別れの時間 
その前におもちゃ屋さんで遊ぶ それから本屋さん
無口になったY君の手を離さずに駅まで歩く
駅で別れる 向かいのホームから笑顔を見せた 安心。

夜になると Y君の涙声の電話
みんなが一緒に暮らせればいいね
Y君がみんなをつないでいるね

おやすみ Y君
ばあばはこれから三日かけて
疲労回復しなくちゃならない
平和を守るのは涙と体力と愛だぜ!

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