日付の変わる頃に
二日続いた雨が止んだようだ
わずかに静かになった部屋でページを繰る
物語はまだ続いているようだ
どこで誰がその続きをとどめたのか?
目覚めれば朝の底にいる
男はすでに起きていて コーヒーを飲んでいる
「友人のMが死んだ夢をみた」という
ぼんやりと見知らぬその男を思い描いても
像を結ぶことはできない
わたくしは目覚め際の夢を反芻する
バスを待っているうちに
幼子はその背後の野原に
蝶を追って行ったまま戻ってこない
バスを何台も見送りながら待っている
大声で幼子の名を呼ぶが
バスの走り去る音にかき消されてしまう
目覚めて安堵したわたくし
「夢には意味はない」とつぶやく
「夢は予兆」と思う男
日々は
目覚め続けることと眠ること
しめり気と光と風と
生きるものたちのかすかな呼吸音と
……い・と・な・み・だ