Poem&Poem

詩作品

小春日和

2014年12月26日 16時15分38秒 | My poem


随分永い間 西郷隆盛が「ツン」とともに
憂い顔で空を見上げている
背後では 大銀杏がしきりに落葉する
黄色い地表 青い空

動物園のベンチでも
老人が空を見上げている バクのように
もうこれ以上観るものはないというふうに

山茶花の花びらが
日陰の道にしきりに落下している
紅い地表 白い雲 ペンギンの散歩

気球がゆっくりと
晴れた空を移動している
幼児が手を上げて飛びあがる  
猿を見ずに 猿みたいに

キリンは高い空に
しなやかな首を差しいれている
ハシビロコウはじっとしている
飛ぶことを忘れているようだ
空を背負っている象のあたたかい背中

午後の空を都鳥が飛んでいる
どこから来たのか?
外国船を見たか

鈴懸の木の実が
空に吊られてまるく揺れている
リスが走る

夕焼け空を
猿たちが静かに見つめている
キリンの首の右半分が赤く染まる

空は空と名付けられてさらに果てしない
間もなく夜になる 
朝はどこまで運ばれたのか

[51]