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たのしい古文の時間

~華やかな世界を一緒に味わおう~

大江山の歌~文法編~

2008年08月21日 09時27分12秒 | 大江山の歌
大江山の歌シリーズ第3弾

本日は文法編です。
ブログで文法を細かく説明するのって結構大変なんだけど・・
時間もたくさんあるから、丁寧に書いておきますね

「保昌が妻」
これは、「が」がポイントです。現代語だと、「が」は主格で使われることが多いですね。
たとえば、「彼女が笑った」とかね。
でも、古文では様々な使われ方があって、ここでは、「保昌の妻」と訳します。
・・・・保昌は男なのに、妻ってことはないですし(笑)

「歌詠みにとられて」
「とられて」がポイント。単語ごとに切ると、「とら/れ/て」ですね。
元の形に直すと、「とる/る/て」です。
「とる」は動詞、「る」は・・・
これは主に用言について意味を加えるものとして、助動詞と考えられます。
活用して「れ」になってしまっているんですね。
歌合があって、小式部内侍が歌の読み手に・・
と続くわけですから、「選ばれる」と考えられますね??
「選ぶ」という動作を誰かに「される」ということで、「受身」の意味になります。

「参りたりや。」
「参る」は「行く」の謙譲語(これは、後で「敬語」の時にやるね)。「参上する」
「たり」は完了の助動詞。
最後の「や」は疑問の助詞です。
というわけで、「参上したでしょうか」が現代語訳ですね~。

「思すらむ」
「思う」ではない!って前回の語句編でやりましたね~。
「思ふ」の尊敬語、「思す」(おぼす)です。「お思いになる」
問題は、「らむ」ですが、これは助動詞です。
べし、らむ、らし、めり~♪ ですね。
推量グループ(む、らむ、けむ)を授業で扱ったのを覚えていますか?
「む」は未来を推量する、「推量」 ※午後から雨が降るだろう。
「らむ」は現在を推量する、「現在推量」 ※今ごろ外は雨が降っているだろう。
「けむ」は過去を推量する、「過去推量」 ※先生は、昔は可愛かっただろう。
ここでは、定頼中納言が、御簾の中にいる小式部内侍の、現在の心情を推量しているわけですから、
「お思いになっているでしょう」が訳になりますね。

「遠ければ」
・・・これは大事!大事すぎるくらい大事!
「ば」の訳し方は、どんな文章でもた~くさん出てくるからね。
未然形 + ば → ~ならば
已然形 + ば → ~ので、~すると(文脈で判断)
というルールをおさえておきましょう。
使えるか、ということになってくると、未然形と已然形が見分けられないといけません。
用言の活用をしっかり覚えておかないと、文法ってできないんです
ここでは、「遠し」という形容詞(「し」で終わってるから)の已然形です。
「く から く かり し き かる けれ かれ」だからね。
だから、已然形+ばということになり、「~ので」か「~すると」のどちらか。
小式部は京都にいて、丹後は京都北部。「遠い」わけです。
だ・か・ら 丹後の名所「天の橋立」を見たことがないんでしょう?
というわけで、「遠いので」というのが正解。

「かかるやうやはある。」
ポイントは「やは」と係り結びの法則の2つです。
まず、「やは」という表現がきたら、「反語」だと思ってください。
「~か、いや、~ない」という表現ですね。
自問自答の場面でよく使われます。
「え?マジ?そんなに大変なの?いや、大変じゃない!」みたいな。
自分の考えや本音を言う時、または相手によく言い聞かせる時に使うよね。
「そんなことしていいの??だめだよね??」みたいな。(怒る時に使うかな~)
で、係り結びの法則は、
係助詞とよばれる「ぞ・なむ・や・か・こそ」が文中に含まれていると、
結びが終止形ではなく、変わってしまうという法則です。
ぞ・なむ・や・か → 連体形で結ぶ
こそ → 已然形で結ぶ
頭の中にしっかりつめておいてくださいね。
ここでは、「や」があるから、終止形は「あり」のはずが連体形の「ある」で結んであるんです。
訳は、「このようなことがあるか、いや、ない」という定頼中納言のセリフ。
上手に歌が詠めないと思っていた小式部内侍が上手に読めてしまったことを、
認めたくなかったんでしょうね~・・・。
ダメな男ね(笑)

「逃げられけり」
ポイントは「られ」ですね。
品詞は大丈夫よね? 助動詞です。
もとの形は「らる」です。「る らる す さす~♪」のね。
「とられて」の「れ」と兄弟だと思ってください。(もはや、双子かしらね)
助動詞の「る」「らる」というのは、おんなじ意味です。
「受身」「可能」「自発」「尊敬」という4つの意味を持っているのですが、
これを見分けなくてはなりません。
「逃げ」たのはだれかを考えてみましょう。
定頼中納言ですね? けっこう身分の高いお方です、中納言となれば。
というわけで、敬語を使わなくてはなりません。
ここでは、「尊敬」の意味ですね。
「お逃げになられた。」という訳がいいでしょう。
過去の助動詞「けり」もお忘れなく!

「来にけり」
ここでポイントなのは、「にけり」です!
「に」と「けり」ね。
「に」は活用してしまっている(「けり」の上だから連用形)けど、
もともとの形は「ぬ」です。「つ ぬ たり けり~♪」の「ぬ」
意味は「完了」です。
「けり」が「過去」ということで、似たような意味の二つが並んでいるんです。
だから、これは「完了+過去」で覚えましょう
訳は、直訳だと「~てしまった」になるんだけど、「~た」の方が自然でいいですね。
「来た」と訳せばOKです


ふぅ~・・・
長かった・・。みんな見てくれるかなぁ~
ノートにも書いてあることだとは思うけど、もう一度授業を思い出してみてね