イギリスの田舎とB&Bめぐり

留学中の娘を訪ねた45日間のイギリス旅行記。月1間隔でUPしていく予定なので、ゆっくり・じっくり読み進めてください。

17 ラドロウ(Ludlow) 6月22(木)~23(金)

2011-12-26 15:35:53 | イギリス旅行記

 
  お昼前、愛想の良いB&Bの奥さんに見送られて出発した。次の行く先はラドロウ。
 が、その前に私達は先ず、昨日訪れたテディーベアの専門店に向かった。
   今まで伸ばし伸ばしにしていたテディーベアの購入。これまで訪れた町々で沢山のベアたちを熱心に見比べ、目が肥えてきたところで、ここで買うことに決めた。そうなると、目星を付けていたあのベアが売れずに残っているかが、気がきではなかったのだが、幸い、ちゃんと私達を待っていてくれた。
   テディーベアは、大きさやメーカーによって値段がピンからキリまで差がある。それがアンティークものとなると、全く私達には高嶺の花。上限が80ポンド位でしかも気品のあるクマちゃんにやっとめぐり合えて、晴れてミチの腕にしっかりと抱かれて店を出た(ベアの写真は次回お楽しみに)。
   ウェールズからイングランドの方向へ真っ直ぐ走り、ヘレフォードという街では大聖堂を横目で見て(寄って見学したかったが、街の出入りが複雑そうだったので止めた)、2日前にお茶休憩をしたレミンスターを通過して、2時間ほどでラドウロウに到着した。

   ラドロウは中世に発展した小さなマーケットタウンだ。ここの目玉はラドロウ城と聖ローレンス教会。両者とも町の中心部にあり、それを中世の可愛らしい建築が取りまいている。
   先ずはホテルで荷を解き(ちょっと問題が生じたが、後述)、ラドロウ城見物からスタートした【写真1】。濠に掛かった橋から門をくぐると、外壁だけが残った廃墟の城は中が広く空いていて、その一角に、にわか作りの舞台がしつらえられ、折りたたみ椅子がずらりと並べられていたのは、翌日上演されるシェークスピア劇のためだとか。          
屋根部分が壊れてしまっている中で、頑丈な塔とその周辺部分が、かろうじて登れる姿で残されていた。暗く狭い塔の中、磨り減った石段を登っていくと屋根なしの最上階に出た。足場が悪く、安全柵が張られた通路をソロソロと歩きながら、見渡す限りの田園や山並の美しさに目を奪われた。すぐ下には、先生に引率されてきた小学生達が、輪になって説明を聞いている姿が小さく見えた【写真2】。
  ラドロウ城は16世紀初め、王子アーサー(ヘンリー8世の兄、王位に就く前に死去)と、その妃キャサリン(アーサー王子の死後、ヘンリー8世の最初の妃になった)が、新婚時代(1501~1502)を過ごした城であり、わずか一年でアーサー王子が急死してしまった悲話が残っている。そのためかどうか、見学者でなかなかの賑わいだった。
  
  城からほど近く、より町の中心に建っているのが「セント・ローレンス教会」。大聖堂ばりの立派さだが、(格下の)教区教会と知ってびっくりした。正面大祭壇の後方に立派なステンドグラス、その下に、木製の壁面を覆いつくすように、聖人像の彫刻が並ぶ【写真3】。落ち着いた木製の壁に囲まれ、会堂内は荘厳な静けさに包まれていた。
 
次はぶらぶら歩きの時間。
寄り添うように建っている家々は、木組み、れんが、石造りとバラエティーに富み【写真4】、ほとんどが一階部分に店舗を構えている。片端から覗いて歩いた。収穫は名作童話「クマのプーさん」のイラスト絵葉書を買えたこと。これまでも、見かける度に2枚3枚と買ってきたが、ここで、こんなにたくさんめぐり逢えるとは・・・もちろんディズニーのではなくて、オリジナル絵本に添えられている「E・H・シェパード」の愛らしい挿絵の絵葉書。
 「こんなに出回るのは今が最後ですよ」という店主の口車?に乗せられて、全種類を一枚ずつ買い、安い値段で(たしか1枚50円くらい)コレクションが充実!ほくほく顔の私達だった。
  しかし、ここにきてミチが体調を壊してしまった。頭痛がして食欲も無いと言うミチは先にホテルへ帰り、私はもう少し買物等をしてから、郊外のホテルまで歩いて帰った。ミチは「どうも風邪らしいわぁ~」とベッドで寝ていた。日本から持参した薬を飲ませ、夕食は一人でホテルのレストランへ。ミチへはスープと軽いビスケットを貰って帰った。
  このホテルは、着いた早々に問題が発生した。通された部屋にはシャワーだけでバスタブが無かったのだ。予約時に明記しておいた条件だったので部屋をかえてもらった。ところが、部屋が変わったら、今度はシャワーから水しか出てこない。またまたホテルマンがやってきて、しばらく水栓のあたりをガタガタいわせていたが、自分では直せないから工事人を呼ぶとの事。
 「出かけてください。帰って来られる頃にはお湯が出るようになってますよ」の声に送られて出かけたが、ミチは「ああは云っても、たぶん直ってないと思うよ」と予言し、その通りになった。結局、滞在中最後まで直らなかったと言うより、直す気が無かったように見受けられた。ミチに言わせると、「これがイギリス流」なのだそうだ。バスタブだけでもよしとしよう。
  もう一つホテルの話題を…到着した時に出迎えてくれた男性、シャワーを直しに来た男性、レスランで注文をとりに来た男性そして出来上がった料理を運んで来た男性全てが、なんと同じ人物だったのだ。見上げるばかりの大柄で、ビール好きの体型をした彼は、マメマメしく一人で何役もこなす働き者だったのだ。
  明日、ミチの体調が快復することを願ってベッドに入った。