イギリスの田舎とB&Bめぐり

留学中の娘を訪ねた45日間のイギリス旅行記。月1間隔でUPしていく予定なので、ゆっくり・じっくり読み進めてください。

8と2/1 ダートムア→ボートン・オンザ・ウォーター 移動 6月7日(水)

2009-07-30 22:18:45 | イギリス旅行記

 B&B「ザ・サイダーハウス」を出発の朝、前夜の約束どおり庭を案内してもらった。特に、手入れの行き届いた菜園には感心した。黒々とした土は見るからに栄養たっぷり。堆肥作りから自家製なのがご自慢であった。庭の一角、レンガ塀に沿って、純和風の草花と思っていた「雪ノ下」がびっしり茂っていたのにびっくり。葉を天ぷらにしたら美味しいと教えてあげたら、今度はあちらがびっくりしていた。
  
10:10 宿を出て、いよいよ長時間ドライブの始まり。先ずはDartMoor(ダートムア)横断コースなので単純な一本道である。A線で何度かラウンドアバウトを通過した後、B3212でダートムアに入った。そこには、見渡す限り「ヒース」しか生息しない荒野が広がっていた。案内書を読むと、湿地や沼地、花崗岩が突き出た岩山地帯などのエリアがあるらしい。そういえば、以前シャーロックホームズのTV映画「ヴァスカビル家の犬」というのを見たが、犯人が最後にダートムアの底なし沼に足をとられて、沈んでいくオドロオドロシイ場面があったのを思い出す。また、アガサクリスティーの(題は思い出せないが)ダートムアの洞窟が出てくる推理小説を読んだこともある。
  イングランド北部ヨークシャーにあるもう一つの荒野Haworth(ハワース)もエミリーブロンテの小説「嵐が丘」の舞台として知られている。荒野と文学の結び付きは深い…と言うわけで、何か恐ろしげな所との先入観を持って訪れた私達だった。
 が、その期待?はあっさり裏切られてしまった。少なくともB3212の車窓から見る限り、夏の陽光にさらされたダートムアは、何の暗さも陰もない、開けっぴろげな土地であった(別のルートを行けば、違った顔を見られたかも知れないが・・・)。
 土地は、結構起伏があり、まっ平らというわけではない。所々に花崗岩がニョキッと土から突き出ていて、樹木といえば、黒ずんだ葉の、地を這うようなヒースばかり。荒野というにふさわしい光景が広がっていた。
  
しかし、驚いた事に、こんな所にも羊が点在していた!野生なのか放牧なのかは不明だが・・・ヒースの下に生えている僅かな青草を食料にしているのだろうか?この強い日差しや、逆に悪天候の際の風雨を、さえぎる物の無い荒野で、どうやってしのいでいるのだろうか?と、気になってしまう。きっと、彼等なりに生活の知恵を身につけているに違いない。人を怖がらない羊たちは、平気で車道を横断したり、車の正面に、物問いたげな顔をして立ちふさがったりする。人間が通らせて貰っているのだから、道が空くまで、静かに待つのは当然の事。
  
1時間半ほど走った11:30、小さな村に着いた。 「Moretonahampstead」・・・(モートナムステッドと読む)という名前で、スペルを書いている内に、通り過ぎてしまいそうな、小さな村だ。それでもご多分に漏れず、パブ、ティールーム、骨董店の三点(店?)セットはちゃんと揃っていた。
  骨董店でレースの付け襟を買った。ややクリームがかった色合いの、幅広の付け襟はその昔、どんな人が編み、どんな婦人の襟元を飾ったのだろうかと、ロマンティックな想像を掻き立ててくれる。
  ちょっと余談になるが・・・このたび、娘のミチが写真展をひらいた(7/10-7/22)際、会場の窓ガラスに、このアンティークレースがふんわりと留めつけられ、雰囲気作りに一役買うことが出来た。これまで棚に仕舞われたままだったのが、やっと出番到来で、レースも嬉しかった事だろう。(余談おわり)
  
ぶらぶらする内に、正午を回ったので、堂々と「この辺で一番美味しいスコーンの店」と看板を掲げている店に入って、なるほど美味しい(そして大きい)スコーンを賞味して昼食とした。
 
ダートムアは残り3分の1まで来ていた。再び車を走らせると、辺りは、だんだんヒースが少なくなり、イギリスらしい緑野に変わっていった。
ほっとする間も無く、大聖堂で有名なエクスターを迂回して、高速道路(イギリスではモーターウェイ)M5に入った。今までと違い二人とも少し緊張気味になる。

写真説明
1、ダートムアの荒野にたたずむ羊の親子
2、石積が作る僅かな陰で、日差しを避ける羊たち
3、モートナムステッドのアンティーク屋さん
4、そこで買ったアンティークレースを飾ったミチの写真展会場