■著者:真保裕一
■発行:文藝春秋
■価格:1,429円+税
■感想など
その手紙、便箋何枚?
本文全編に渡って手紙のやりとりだけで構成されるという、異色の作品。
単身赴任でギリシャに赴いている山上悟と、その妻で彼との別れを考えている奈美子
の間での手紙のやりとりで始まる。
手紙とはいっても一つ一つが非常に長く、読んでいるうちにこれは手紙だという意識は
なくなってくる。手紙の内容も相手に対する自分の気持ちなどを語りかける普通の手紙
と違い、それに絡めた形で誰かに語りかけるような雰囲気でそれぞれの近況がそれこ
そ小説のように綴られている。確かにこうすれば小説としても違和感なく読めるけど、
逆にあまり手紙という印象が感じられなくなる。
中盤では、奈美子が過去に交わされた祖父と祖母(奈美子は祖母によく似ている)の
手紙を見つけ、話は彼らの手紙の内容に変わる。この祖母は若くして亡くなっているの
だが、衝撃的な過去を持っており、その手紙のやりとりの中にその真実がしたためられ
ており、奈美子はそれを読んで真実を知ることになった。
その隠された真実は奈美子が聞いていたものと異なり、祖母の潔白が示されており、
また祖父の祖母に対する深い愛情が見て取れるのだが、一番のクライマックスである
この部分でそれほど小説にのめりこめなかった。手紙のやりとりでの展開、ということも
あり、ちょっと間延びしてしまった感があったのかもしれない。
■発行:文藝春秋
■価格:1,429円+税
■感想など
その手紙、便箋何枚?
本文全編に渡って手紙のやりとりだけで構成されるという、異色の作品。
単身赴任でギリシャに赴いている山上悟と、その妻で彼との別れを考えている奈美子
の間での手紙のやりとりで始まる。
手紙とはいっても一つ一つが非常に長く、読んでいるうちにこれは手紙だという意識は
なくなってくる。手紙の内容も相手に対する自分の気持ちなどを語りかける普通の手紙
と違い、それに絡めた形で誰かに語りかけるような雰囲気でそれぞれの近況がそれこ
そ小説のように綴られている。確かにこうすれば小説としても違和感なく読めるけど、
逆にあまり手紙という印象が感じられなくなる。
中盤では、奈美子が過去に交わされた祖父と祖母(奈美子は祖母によく似ている)の
手紙を見つけ、話は彼らの手紙の内容に変わる。この祖母は若くして亡くなっているの
だが、衝撃的な過去を持っており、その手紙のやりとりの中にその真実がしたためられ
ており、奈美子はそれを読んで真実を知ることになった。
その隠された真実は奈美子が聞いていたものと異なり、祖母の潔白が示されており、
また祖父の祖母に対する深い愛情が見て取れるのだが、一番のクライマックスである
この部分でそれほど小説にのめりこめなかった。手紙のやりとりでの展開、ということも
あり、ちょっと間延びしてしまった感があったのかもしれない。
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