春烙

寒いなあ…

四神伝 一章 一.玄武<17>

2007年04月20日 22時02分05秒 | 四神伝 一章<完>
 翌日。深い眠りについていた神兄弟のうち、壱鬼と翼乃が正午に起き、台所で昼食の準備をしていた。
「うーん」
「昨日のことが気になってるの、壱鬼兄さん?」
「まあな。実というと、俺も夢を見たんだ」
「俺も見たよ」
「僕もです」
 水奈が台所に入ってきた。
「おはよう、水奈兄さん」
「おはようございます。壱鬼君、翼乃君」
「兄弟全員が夢を見るなんてな」
 そう言って、壱鬼はテーブルにサラダが入った皿をのせた。
「ちなみに壱鬼君。君はどんな夢を見ましたか?」
「俺は虎。白い虎になる夢だ」
「俺は鳥だよ。赤い鳥になる夢」
「僕は青い竜です」
「ちょっと待て。虎、鳥、竜、ヘビのついた亀……これ全部、四神じゃないか!?」
「たしかに。虎は白虎。鳥は朱雀。竜は青龍。そして、昨日現れたのは玄武」
「お祖父さんが言っていた『覚醒』が来たと思います」
「覚醒ねえ……」
 と、台所にアスカが入ってきた。
「ねえ、みんな」
「どうした、アスカ?」
「泳地が白いヘビ持ってるよ~」
「「「白い……ヘビ!!?」」」
 その時、泳地が白いヘビを連れて台所に入ってきた。
「朝起きたら、ベッドの中にヘビが入っていたんだが……誰が連れてきた」
「知らない」
「知りません」
「知らねえ」
「知らないよ」
 泳地が問うと、四人は同じことを言った。
「かってに来たんじゃねえの?」
「どこからだ」
「あー、森かも」
「自分で来たのか、こいつは」
「まあいいじゃん。そいつ結構、泳地兄貴に懐いているし」
「そうだよ、泳地」
「まあ……たしかに懐いているが」
 泳地は腕に巻き付いているヘビを見つめた。
「飼ったらどうですか?」
「このヘビをか」
「いいと思うよ」
「……」
「飼おうよ、泳地」
「アスカもいってんだぜ」
「……わかった。このヘビを家で飼う」
「わーい」
「昼食、食べよう」
 翼乃が言うと、全員、それぞれの椅子に座った。


 一.玄武<完>……二.青龍へ


 やっと『玄武』が終わった~~


コメントを投稿