桃から生まれた桃太郎、というのは原作にはなかったらしい。
川から流れてきた桃を食べたおじいさんとおばあさんの肉体が不思議と若返って、夜の営みを頑張った結果、桃太郎が生まれた、というのが原作らしい。
ところが、桃太郎を教科書に載せる際にこの部分は教育によくない、という理由によって桃から生まれた、という内容に変えられた。
桃から生まれた、という部分が寓話性を高めてるし、沢山の人が惹きつけられる魅力的な部分だと思う。
第三者の強引な改変により、本来のものよりも魅力的になることもあると思う。
そんな話を聞いて僕もおはなしを改変したい欲が出てきた。
しかし長く語り継がれた偉大な話を改変するのも気がひける。
そんな時、作者自身が「あの話はなかったことにしてください」と言っているのをテレビかなにかで見たのを思い出した。
記憶から消されようとしているお話。いいね、いいね。改変の題材にできそう。
小倉優子さんが作った「こりん星」という話がある。

うまく出来るか心配だけど、僕の独断で強引に改変してみようと思う。
気になった箇所をいくつか。
①
優しい人しかいない。
【改変】
悪い人がいるから、初めて優しい人の価値も出てくる。優しい人だらけだとありがたみがない。
どうせなら悪い人だらけ、という設定の方が優しい人の価値も高まる。その方が教育にいいだろう。
②
通貨は、1モモ、2モモ。これは優しさの単位。優しさが通貨。
【改変】
優しい人と思いこませて騙す詐欺事件も蔓延っている現代。これは教育によくない。
とにかく通貨は目に見える物にしたい。1モモという単位があるなら、食料を通過にしよう(なるべく作者の意図をくんでいきたい)。
食料で物々交換。それに見合うだけの条件を双方で納得したら交渉成立。
③
こりん星の場所は千葉、みんなの心の中、港区、ゆうこりんの頭の中と言われてる。
【改変】
ブレてるので場所をどこかひとつに絞りたい。
まず、心の中や頭の中では逃げてる感じがあってちょっと弱い気がする。
千葉、港区って、星なのに地球外じゃない。星とは言うけど、独立国家みたいに世間からは隔離された場所なのだろうか。
あとは「こりん星からきました」と自己紹介したときに、遠くからはるばる来た感じがほしい。千葉や港区は近すぎると思う。せめて本州からは飛び出したい。
そして、ちょっと世間から一線ひいた場所。そして、悪そうな人が多くて、お金ではなく物々交換。
どこがいいか非常に悩んだ結果、北海道の網走刑務所に。
④
こりん星の住人
りんごももか姫・・・・・・・・・こりん星のお姫様。名字はりんご。お城に住む。いつもはドレスを着ている。時々バイトもする。りんこスクールに通う学生。
マミリン・・・・・・・・・召使いであり。大親友。隣の国の姫に眠らされてしまう。ももか姫はマミリンを救うために6つの鍵を探す旅に出る。
ジュア・・・・・・・・・ももか姫の愛馬。
パパ・・・・・・・・・こりん星の王様。
【改変】
オヤジ・・・・・・・・・・担当の刑務官のこと。
ケツ番・・・・・・・・・・その部屋での新入り。
弁当持ち・・・・・・・・執行猶予中の人や2刑以上のひと。弁当とは執行猶予期間を指す。
A級・B級・・・・・・・・・A級は初犯。B級は再犯。暴力団関係者は初めからB級
金線・・・・・・・・・・・お偉いさんの刑務官のこと。帽子と腕に金色の線が入っているためこう呼ばれる。
Gマーク・・・・・・・・・暴力団関係者。
⑤
こりん星語
「プ~ プ~」・・・・・・・・・りんこの後に付けることもある。りんこだプ~。(敬語)
「ちー」 ・・・・・・・・・「ち」よろちく。ちーだい(ちょうだい)。ごめんちぃ。とかとか
りんこをマスターしたら、これも使っていきましょう~。
「バイにゃーん!」・・・・・・・・・お別れの挨拶。
【改変】
用便・・・・・・・・・・トイレ。舎房以外では決められた時間以外「用便お願いします」と許可を取らねばならない。許可が下りるとは限らない。
飛行機・・・・・・・・・連行スタイル。うつ伏せの格好から両手を後ろ回しで掌が上を向く形で広げられ両足と共に持ち上げられる。
ずー・・・・・・・・・・・オヤジ(刑務官)が来た!の合図。「ずーずー」と言って知らせる。最も唇が動かず、かつよく聞こえる言葉だから使われるようになった。
⑥
こりん星の名所
ドレミ橋・・・・・・・・・「ドレミ橋」はこりん星でもメジャーな場所。オレンジ味のゼリーの湖の上に橋がある。
ポッキー山・・・・・・・・・お城の裏にある山。とっても大きな山。いつも姿を秘密にしてる小人さんたちが住んでいる(内緒ですよ)。お正月前日の夜にももか姫はポッキー山の小人さんたちと、てっぺんに向かいます。
夢の雲の世界・・・・・・・・・わたあめでできてる雲の上の遊園地。お正月の3日間だけの限定。です。
クモロン・・・・・・・・・空の上に浮かぶ雲を作っている。1日1個ずつ、空に浮かぶ雲を作っている。雲が空にいっぱいになると、七色のキャンディーを降らしてくれる。
【改変】
共同室・・・・・・・・・多くの被収容者が集団生活を送る部屋。全て和室にて、夜は布団を敷いて寝る。
単独室・・・・・・・・・分類の結果、集団生活を送るのが困難な者、要注意の被収容者、性倒錯者、組織間の抗争で命の危険がある被収容者など隔離する必要性がある被収容者が生活する部屋。規則違反を行い、懲罰として隔離し反省を促すために一時的に収容する場合もある。
風呂・・・・・・・・・被収容者の風呂は、夏季が週3回、その他の時期は週2回。入浴時間は「15分間」、5分毎の時間が経過するとブザーが鳴り、入浴中の被収容者に知らせるシステム。ボディソープやシャンプーは無し、全て石鹸。
運動場・・・・・・・・・入浴の無い平日、午後の就業時間中に、約40分の運動時間が組まれる。野球やソフトボール、散歩やマラソンなどの運動を被収容者は行います、少々の大声で雑談してもOK。
設定が整った。
それでは登場人物たちを動かしていこう。
起 床 6:30
開房点検 6:50
朝 食 7:00
出 房 7:30
作業開始 7:40
昼食・休憩 11:50~12:30
作業終了 16:30
還 房 16:40
閉房点検 16:50
夕 食 17:00
余 暇 17:30
仮 就寝 19:00
消灯・就寝 21:00
これで教科書にも載せられるような気もする。
楽しいこと、ミステリー、ホラーやツライ思いや感動もある星、こりん星。
やはり作者の意図をくもう。
この話はなかったことにしてください。