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生活保護を「ナマポ」発言、コロナ感染で即入院、 「生い立ちを売り物にしてる」とディスり…引退を表明した石原伸晃(68)の政治家人生

2025-07-02 | いろいろ



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生活保護を「ナマポ」発言、コロナ感染で即入院、 「生い立ちを売り物にしてる」とディスり…引退を表明した石原伸晃(68)の政治家人生






「政界を動かしているのは石原伸晃である」という説

 石原伸晃氏が政界引退を表明。都議選の翌日に流れてきたニュースだ。

 私は以前から「政界を動かしているのは石原伸晃である。ただし本人の知らないところで」という説を唱えてきた。


  


 例を挙げる。まず2012年の自民党総裁選。当初、本命とも言われていたのは石原伸晃氏だった。ところが失言などで失速。安倍晋三氏が予想を覆して2度目の総裁になった。第二次安倍政権は長期になったので「安倍一強を生んだのは伸晃」と言ってもよい。

 さらに同年の衆院選では東京都知事だった父親の石原慎太郎氏が国政復帰をした。伸晃氏がピリッとしないから父親がまた国政に出てきたように見えた。政界に第三極の波が起きた。さらに俳優の山本太郎氏が伸晃氏の東京8区から出馬。1年後に山本氏は政界入りし、現在はれいわ新選組の党首である。なんという伸晃氏の政界再編力だろう。本人の知らないところで。

 圧巻は2016年の東京都知事選だ。小池百合子氏が立候補して保守分裂。小池氏は自民党東京都連にケンカを売ってブームを起こした。当時の都連会長は伸晃氏。またしても本人の意思とは関係なく政局のかませ犬となった。

 2021年の衆院選でも大きな動きがあった。伸晃氏の東京8区は野党共闘を巡り一気に注目選挙区になってしまったのだ。伸晃氏は落選。また政界を動かした。本人の意思とは関係なく。

 驚くのはこの後だ。伸晃氏は東京8区ではなく2025年の参院選へのくら替え出馬を目指す考えを表明したのだ。当時の読売新聞オンラインの見出しを見てみよう。

『石原伸晃氏の参院くら替え方針、自民関係者「敵前逃亡とみられても仕方ない」』(2023年6月28日)

 敵前逃亡って! 伸晃先生に対して失礼じゃないか!

 記事では「石原氏が地盤にしてきた杉並区では、自民党勢力の衰退が続いており」と解説され、伸晃氏に投票してきたという男性は「参院に挑戦というのは、杉並が見捨てられた感じがする。もう一度挑戦してもらいたかった」。

 では参院選出馬作戦はうまくいったのか? しかし伸晃氏の名前は出てこず。今年の4月、Xでこんなポストをしている。



名前が飛び交うのを見て「困惑」する伸晃氏

「昨日、自民党東京都連 参議院議員候補者選考委員会に出席をしました。 報道では既にお名前が出ているようですが、私には都連会長はじめ事務局からも、未だ何の連絡もありません。困惑しております。」(2025年4月12日)

 自分ではない名前が飛び交うのを見て「困惑」する伸晃先生。ただ、本人以外は誰も困惑していなかったことを補足しておきたい。

 さて今回、政治家・石原伸晃のラスト演説を見ることができたので報告したい。都議選が告示された6月13日に伸晃氏は小宮安里氏の応援に駆け付けた。小宮氏は伸晃氏の元秘書なのだ。伸晃氏は叫んだ。


  


「悪いことはしていない。どんなに厳しかろうが、世間の風当たりが強かろうが、小宮安里は勝つ!」

 小宮氏は都議会自民党の裏金問題で自民党非公認となっていた。応援に力が入るのはわかるがマイナスなことばかり並べているのが気になった。面白かったのは他の演説者が小宮氏について「世襲でもないし、お金持ちでもない、有名人でもない!」と力説していたことだ。これってぜんぶ石原伸晃のことじゃないか。必死な選挙戦では身内からもつい本音が出てしまうのだろうか。これには後ろで聞いていた伸晃氏も苦笑いしていた。



「生い立ちを売り物にしてる」と誰かをディスっていたが…

 伸晃氏の応援演説は選挙戦最終日も見ることができた。

「今回ね、(小宮さんは)大変厳しい。自民党がね、ちょっとだらしないからね。いいよ~、外にいると。ホントのこと言えるから」

 昔の自分のポスターを見たら眉間に3本しわが入っていたが、最近はしわが無くなったことをご機嫌に語りだした。かなりリラックスした演説だった(今にして思えばもう選挙に関係なくなったからかも)。

 続いて17名が立候補した杉並区について触れ、

「見てるとね、自分の生い立ちのこととか、それを売り物にしてる人とか、ここがブームだから乗っかって議員になろうかみたいなね、そんな人がたくさん出てるからこういうわけのわからないことになっているんだと思います」

 しみじみした。「生い立ちを売り物にしてる」と誰かをディスっていたが、石原軍団をバックに選挙戦をしていた伸晃氏の姿が走馬灯のように浮かんだ。



「外から政治を見ていこうと決めた」と政治家引退表明

 小宮氏は落選したが最後の1議席を争った相手は国崎隆志氏だった。国崎氏も伸晃氏の秘書を務めた人物だ。ちなみに小宮氏も国崎氏もSNSでは演説場所の事前告知をほぼしていなかった。伸晃氏も2021年の衆院選ではステルス選挙をしていたので二人とも「師匠」に似たのだろうか。

 伸晃氏の最終日の演説に話を戻すと、トップバッターで応援演説を終えた伸晃氏は会場を後にした。初日は最後までいたが今回は一段と早い。なかなか会えない伸晃氏に話を聞きたいと思った私たちは伸晃氏を追った。姿を見つけると、伸晃氏は赤信号で横断歩道を渡っており、待たせてあった車に乗り込んだ。速い! 次の応援演説だろうか? その背中は自民関係者が言った「敵前逃亡」という言葉とオーバーラップしてしまった(失礼)。


  


 この2日後に伸晃氏は政治家引退表明をテレビ番組でする。「まだ元気なので国を思う気持ちは変わらない。憂える事態が、イランとアメリカの話みたいにたくさんある。こういうことに対して意見を述べていこうと」と、「外から政治を見ていこうと決めた」と述べた。

 今後はコメンテーターとして露出するのかもしれないが、それならまず聞いてみたいのは「生活保護引き下げ、違法」と 最高裁が判決を下したことだ。国が2013~15年に生活保護費を大幅に引き下げたのは違法だとした。引き下げ前の2011~12年ごろ、生活保護制度や利用者を狙った「生活保護バッシング」が過熱した。

 石原伸晃氏は2012年の自民党総裁選に出馬中、「報道ステーション」で生活保護のことを「ナマポ」というネットスラングを使って語った。あれも生活保護に対するバッシングを高めた一因ではなかったか? 2021年には伸晃氏はコロナに感染するとすぐに入院でき、リアルな格差を見せつけたことも話題になった。格差社会と言われる中で「コメンテーター石原伸晃」にはそんなことも聞いてみたい。


◆◆◆

 文春オンラインで好評連載のプチ鹿島さんの政治コラムが一冊の本になりました。タイトルは『お笑い公文書2025 裏ガネ地獄変 プチ鹿島政治コラム集2』。

   




  1970年生まれ。長野県出身。
  時事ネタと見立てを得意とする芸風で、新聞、雑誌などにコラムを多数寄稿。TBSラジオ『東京ポッド許可局』『荒川強啓 デイ・キャッチ!』出演ほか、『教養としてのプロレス』(双葉文庫)、『芸人式 新聞の読み方』(幻冬舎文庫)などの著書がある。
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蓮舫氏と山尾志桜里氏 参院選への取材対応でにじんだ「空気」の違い

2025-06-30 | いろいろ



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中山知子 取材備忘録  蓮舫氏と山尾志桜里氏 参院選への取材対応でにじんだ「空気」の違い


  


 7月3日の公示に向けて、参院選の準備が各党で最終盤を迎えている。候補者の擁立作業も最終盤となる中、「大物」の擁立が正式に発表された。立憲民主党が比例代表に擁立する元参院議員の蓮舫氏(57)だ。

 前回の22年参院選東京選挙区で4回目の当選を果たしたが、昨年の東京都知事選に出馬し、まさかの3番目の票数で落選。その後のインスタライブで「国政から卒業して都知事に手をあげて(多くの聴衆が集まる)すごい景色を見た。残念ながら結果は出せなかったけれど、120万以上の人が『蓮舫』と書いてくれたのに、また国政に戻るというのはちょっと私の中では違う。渡り鳥みたいじゃない?」「自分の中で整理をつけなきゃいけない。いったん、ピリオドかな」と語っていただけに、1年もたたない中、参院選での国政再挑戦には党内でも疑問や批判の声があり、執行部側がそれを押し切る形で今回の判断となった。

 選挙への立候補は自由だし、今回「目玉候補がいない」(関係者)とされる立民の執行部が、蓮舫氏の高い知名度に期待するのは、当然かもしれない。ただ「いったん」でも「ピリオド」と口にしながら、また国政(しかも参議院)を目指す方針に転換。立民関係者から「じゃあなぜ都知事選に出たのか。3年後の都知事選を目指すための『いったんピリオド』なら分かるが、1年たってまた参院に戻ろうとするというのは、戦略としてどうなのか」「『ピリオド』の意味が分かって言ったのか」など、皮肉や厳しい声を聞いた。それも仕方ないと感じる。

 そんな蓮舫氏の、公認内定後初めての街頭演説を取材に行って、少し前に取材したあの人の記者会見との違いを感じた。国民民主党から参院選比例代表に公認予定とされながら、過去の不倫疑惑報道に関する説明不足などから、出馬会見の翌日に公認内定を取り消された山尾志桜里元衆院議員(50)の会見だ。

 山尾氏は単身で会見に臨み、2時間半、つるし上げのような質問も含めた質疑に応じた。何をどう聞かれても、記者側の疑問が晴れるような答えはなく、最後は攻める材料も尽きるような形となって会見が終わり、よくも悪くも、山尾氏の「信念」の壁は突き崩せなかった。山尾氏が後に暴露したように、党幹部は「辞職会見」なら同席するという逃げの姿勢だったため、山尾氏は最後まで1人で記者への説明を続けた。

 一方、蓮舫氏は記者会見を開いたわけではない。街頭演説後、取材に来ていた記者に囲まれ、その場で質問に応じる形となった。なぜ記者会見しないのか問われると「街頭演説に来ていただける記者の人がおられるなら、その後に答えた方が、会見を設けることで『2度手間』にならないと思った」と答えた。会見が開かれても報道陣は2度手間とは思わずに、取材に行っただろうけれど。

 蓮舫氏の横には、応援に入った小川淳也幹事長と、自身に近く党東京都連幹事長でもある手塚仁雄衆院議員が陣取った。蓮舫氏はどこか、党側に守られているようだった。質疑応答が行われたのは私鉄の駅改札近くの街頭で、周囲ではヤジのような内容を叫んでいる人もいた。記者会見のように、腰を据えて向き合うような雰囲気ではなかった。蓮舫氏が取材に応じた時間は約20分。質疑後、蓮舫氏は来た時と同じように車に乗り込み会場を後にした。

 その数時間前、定例会見に臨んだ野田佳彦代表は、「生まれ変わったニュー蓮舫」というワードを口にした。野田氏も蓮舫氏に近い立場だ。野田氏の会見からの街頭演説と取材対応。ひとつのレールの上でものごとが流れたような、「説明した」という既成事実が演出されたような空気を感じたのも確かだ。

 蓮舫氏は、国政再挑戦の判断への批判について「謙虚に受け止めるしかない」と述べ、1年前の「いったんピリオド」発言を念頭に「言葉を大切にしている政治家として、発信に思いが欠けていたが、当時は精神的に弱い状況にあった。これからの発信には気をつけようと思う」などと、釈明を続けた。一方、昨年の衆院選で与党が単独過半数に追い込まれたことについて「衆議院で野党が力をいただいて、なんかワクワクしちゃったんですね」と語り、その後、党側から声をかけられるようになったと語った。もし衆院の与野党勢力逆転がなかったら、今回の判断はあったのだろうか。環境が整えられたステージに、満を持して出ていく。そんな形だったのではないだろうかなど、考えてしまうことは、多い。

 でも、やっぱり、蓮舫氏には国政への未練が残っていたようにも感じる。都知事選落選後の昨年7月12日、X(旧ツイッター)に、国会議員時代の「戦闘服」だった白いジャケットについて「たくさんリサイクルに出しちゃった。さあ、すっきり」と気分一新を告白していたが、今回、その白ジャケットはどうするのかと問われた蓮舫氏は「もったいない精神があって。断捨離するのに勇気がなくて、半分残していたんです」。再登板の機会に備えて、もし半分残していたとしたら…。国政再挑戦に向けた蓮舫氏の「本音」に、この時、接したようにも感じた。

【中山知子】



◆中山知子(なかやま・ともこ)
  1992年に日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。小泉純一郎首相の北朝鮮訪問に2度同行取材。文化社会部記者&デスク、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスクを経て、社会/地域情報部記者。福岡県出身。青学大卒。
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開幕前にロシアのいないG7を批判して早々に帰国したトランプの胸中 (抄)

2025-06-29 | いろいろ

ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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開幕前にロシアのいないG7を批判して早々に帰国したトランプの胸中


  


 G7サミットが16日にカナダのカナナスキスで開幕した。その開幕前に行われたアメリカのトランプ大統領とカナダのカーニー首相との会談をフーテンはテレビで見た。今回のG7が何であるかが端的に示されていた。

 会談の冒頭でカーニー首相はトランプ大統領に誕生日のお祝いを述べ、へりくだった様子を見せた。G7の中心はあくまでもトランプであると印象付ける態度だった。するとトランプは「アメリカのオバマ大統領とカナダのトルドー首相がG8からロシアを排除したことは間違いだった」と切り出したのである。

 そして「ロシアをG8から排除していなければ戦争は起きていなかっただろう」と述べ、14年にロシアがクリミア半島を併合したことに対する制裁として、アメリカとカナダのリベラル政権がロシアをG8の枠組みから排除したことが、ウクライナ戦争の原因になったとの認識を示した。

 ここにトランプ大統領の立ち位置と今回のG7に参加した理由がはっきり見える。トランプはアメリカがG7各国の考え方に反対であることを伝えに来たのである。つまりG7の議題になるウクライナ戦争、イスラエルのイラン攻撃、関税問題について、アメリカは各国とは異なることを開幕前に表明するために参加した。

 報道では翌日にウクライナのゼレンスキー大統領と会談する予定があると言われていたが、開幕前にホスト国の首相に自分の立ち位置をはっきりさせたことで、フーテンはトランプがゼレンスキーと会談する気があるのだろうかと疑った。

 すると案の定トランプは早々にG7を切り上げるというニュースが入ってきた。イスラエルのイラン攻撃が緊迫しているからその対応のためと西側メディアは報道しているが、そんなことではない。イスラエルのイラン攻撃は先が見えている。イランは報復を長く続けられない。外交交渉に戻るしかない。トランプの狙い通りになる可能性が高い。

 それよりもウクライナ支援を続けるG7と議論をすることをトランプは時間の無駄だと考えている。同じように関税問題でトランプと会談したがった韓国やメキシコなどの首脳はいたが、トランプは日本の石破総理と30分会談しただけで他とは話をしなかった。

 これを見るとトランプの中で日本は特別視されている。しかも結論は出ず、協議は持ち越された。これは悪いことではない。アメリカの主要な競争相手は中国なので、アメリカは日本に協力してもらいたい立場である。その立場を利用してむしろアメリカとは強気に交渉した方が良い。そして日本はトランプと同じようにG7の中にいながらロシアや中国との関係を重視した方が良い。

 フーテンは開幕前のトランプ発言を聞いて、トランプはウクライナ戦争が14年のウクライナの「マイダン革命」に起因すると言いたいのだと思った。それは当時のフーテンが抱いた疑問と符合する。当時の西側メディアは横並びでプーチン批判を繰り広げたが、それをフーテンはおかしいと感じていた。

 問題の始まりは14年2月にロシアの保養地ソチで開かれた冬季五輪である。五輪には主催国の威信がかかる。ロシアは80年のモスクワ夏季五輪でアフガニスタン侵攻を理由に西側世界からボイコットされた。プーチンは是が非でも冬季五輪を成功させなければならなかった。

 ところがソチ冬季五輪はボイコットではないが、開会式を西側のリーダーがそろって欠席した。理由はロシアが同性愛者に厳しい法律を作ったからで、LGBTの権利を擁護する団体から抗議の声が上がっていたが、その声に西側政治リーダーがそろって同調したのである。

 G7の中で開会式に出席したリーダーは日本の安倍晋三総理ただ一人だった。それがフーテンには異様に見えた。何か裏がありそうだと思った。すると2月7日に開会式が始まったころからウクライナでヤヌコビッチ大統領に対する反政府デモが広がり始めた。

 そして五輪が終了する5日前の18日、ついにデモ隊と警察隊が衝突して死傷者が出た。これで反政府デモは盛り上がり、五輪の最終日である23日にヤヌコビッチ大統領はロシアに亡命した。デモの現場にはアメリカのNATO大使でネオコン幹部を夫に持つビクトリア・ヌーランドの姿があった。ロシアが五輪にかかりきりの時期を狙って、ウクライナでは親露派大統領の追い落としが図られた。フーテンの目にはそのように見えた。

 この時、アメリカはソチ五輪に参加している米国民を救出するためと称し、黒海に軍艦を出動させた。戦闘状態が勃発するかもしれないと思った可能性がある。するとロシアはキューバに軍艦を派遣した。これがアメリカへのけん制に見え、フーテンには一触即発の危機に思えた。

 五輪が終わるまで身動きが取れなかったプーチンは、五輪が終わるや黒海艦隊の拠点があるクリミア半島をウクライナに奪われぬよう動き出す。クリミアでは政権が親欧米派に交代したことに抗議する親露派住民が独立を宣言、プーチンは親露派住民の保護を理由にロシア軍を派遣してウクライナ軍を降伏させた。

 親露派住民は3月16日に住民投票を行ってロシア領になることを選択する。しかし西側世界はこの併合を認めない。認めないが、それを侵略だと非難することもしなかった。オバマは軍事的対応を取らなかった理由として「クリミアにはロシア語を話すロシア系移住民が多いから」と述べた。しかし一方ではロシアをG8から排除した。オバマという政治家の対応はいつもどっちつかずである。

 そこにはNATOを東方拡大してロシアを追い詰めることが、世界を民主主義化する正義の行いだというクリントン政権以来の米民主党のリベラル思考がある。しかしネオコンが軍事力を使って民主主義を広めようとするのに対し、オバマは「アメリカは世界の警察官をやめる」という平和志向の立場だから、どっちつかずになる。きれいごとすぎるのだ。

 ・・・・・。



       この記事は有料記事のため抄録です。
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「中国車」を日本車と称して売る未来 中国のトヨタ車のコックピットはファーウェイ製!

2025-06-28 | いろいろ



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「中国車」を日本車と称して売る未来 中国のトヨタ車のコックピットはファーウェイ製!

政官財の罪と罰


 古賀茂明




 6月16日にカナダで行われた日米首脳会談で、トランプ関税などについての協議はまとまらなかった。25%の自動車関税の行方も全く予測できない。

 自動車産業は日本経済を支える大黒柱だ。関連部門を合わせた就業人口は500万人を超え、日本の輸出の約2割を占める米国向けのうち自動車関連はその約3割を占める。

 そこに25%というトランプ関税がかけられ、2025年5月には、車両(完成車)も自動車部品も輸出は金額ベースで大きく減少。今後もかなりの減少は避けられない。

 このままでは、日本の自動車メーカーは、米国への生産移転をさらに進めざるを得ない。日本経済への大打撃は必至だ。

 世界第2の自動車市場米国で苦境にある日本メーカーだが、世界一の市場中国では、米国以上の試練に見舞われている。

 しかし、依然として、日本では、日本メーカーが中国で巻き返しに転じたというような「大本営発表」記事が目につく。

 そこで、現状をおさらいしておくことから始めたい。

 日本の自動車メーカーの中国市場でのシェアは低下の一途だ。24年の日系大手3社(トヨタ、日産、ホンダ)の新車販売の合計は330万台で21年から3割も減少した。日本車シェアは同期間に20.6%から11.2%へと半減に近い落ち込みである。

 原因は、中国で販売が伸びているEVとPHVのいずれにおいても、販売台数で米テスラと中国メーカーに桁違いの完敗を喫したことだ。

 私は、6月初めに中国を訪問した。その際、杭州のモーターショーを視察したが、BYD、ファーウェイ(自社生産ではないが、後述する「ファーウェイ・インサイド」の企業のクルマが同じブースに集まって展示するという形態だった)、シャオミ、ジーリー、シャオペンなどのブースには多くの人が集まっていたのに対して、レクサス(トヨタ)、日産、ホンダなどの日本メーカーのブースでは、客がほとんどいない。

 杭州市内では、さほどの数ではないが、時折トヨタのEV、bZ3が走っていた。上海ではほとんど見かけなかったのに、杭州では全てタクシーだが、少しは目にするのである。だが、同行した中国人の友人は、「トヨタのEVの評判は今ひとつですよ」と冷たい。

 たまたま乗ったタクシーがbZ3だったので、タクシー運転手に質問すると、運転手の話が止まらなくなった。通訳してくれる友人によると、クルマとして走る機能はともかく、走行距離がカタログの記載よりもかなり短いことや、ナビを含めて車載システムが全く使い物にならず、非常に不満だという。室内装備もシャビーだと言う。同業者も同じ意見だそうだ。「こんなクルマをつくった人間は非常識だ」という厳しい言葉まで出た。


【写真】これぞ近未来!最先端の中国のクルマはこちら

   


トヨタに忖度する日本メディア

 たった一人の感想でしかないが、仮にこのような同業者の口コミが広がれば、この先は楽観できない。

 bZ3の発売当初は大変な人気だと報じられた。ただし、このクルマは、電池も主要部品もほとんどがBYDによるもので、はっきり言って、トヨタのクルマではない。データを見ると、昨年通年の純粋なEV(BEV)に限った(つまりガソリン車やPHVは入っていない)車種別販売ランキングではかろうじて29位に入ったが、24年12月にはトップ30から落ちている。ちなみに、トヨタが鳴り物入りで発売したbz4Xはほぼ売れていない。

 24年通年のBEV販売1位は、テスラのモデルYだが、2位と3位を含め、ベスト10のうち5つはBYDのクルマだった。ベスト30には、トヨタのbZ3が前述のとおりかろうじて29位に入ったのみ。日本との差は歴然である。

 こういう話をすると、必ず出てくるのが、トヨタが25年3月に発売したSUVの EV「bZ3X」がヒットしているという話だ。そういう報道は私も読んだ。

 しかし、よく見ると、EVやPHVを含む新エネルギー車の中のSUV部門に限って見て、しかも競合ひしめく中国のメーカーを除いた外資系だけの4月販売ランキングで「トップクラス」に躍り出たというのが正確なところだ。無理やりトップを演出する市場の区切り方である。トヨタに忖度する日本メディアらしい。

 しかも、bZ3Xは合弁相手の広州汽車集団と共同開発した。同社はEVブランド「AION」を擁し、まともなEVをつくれる。電池はもちろんBYD。運転支援機能も中国新興のモメンタのものを使った。トヨタは何をつくったのだろうか。

 トヨタは、さらに、「bZ7」という新型車を投入する予定だが、こちらは、通信機器大手のファーウェイが開発したコックピットの採用を大々的に発表した。トヨタのEVブランド力がないので、「ファーウェイのクルマです」と中国の消費者にアピールせざるを得ないのだ。

 ガソリン車のエンジンに相当する電池も、モーターなどを含むほとんどの部品も中国メーカーに頼り、コックピットも中国企業頼み。自動運転も中国新興企業のものを使う。全ては中国の有力メーカーがつくっているから安心ですよと言わない限り売れない状況になってしまった。

 それが今の日本のBEVの実力である。

 そして、BEVだけでなく、PHVでも、日本メーカーはBYDなどの中国メーカーに技術力で完全に敗北している。

 つまり、今後伸びが期待できる分野で何も良いニュースがないのだ。

 しかし、実は、本当の苦境はこれから始まる。

 これからの自動車業界の競争は、EVをつくれるかとか、航続距離がどれくらいかとか、加速性能がどれくらいかという段階を通り過ぎてしまった。



カラオケ、マッサージ、ドローンも操縦できる車

 次の競争は、スマート化とインフォテインメント化とSDV化と自動運転技術だということになっている。

 杭州のモーターショーでも、中国メーカーのEVの運転席に座った来場者は、夢中になって、運転席横あるいは前面に設置された、あるいはフロントガラスに映し出された画像を相手に熱心に話しかけ、さまざまな機能を試していた。これらのシステムでは、英語対応も標準なので、「I love you」と話しかけてなんと答えるかなどと遊んでいる人もいる。さまざまな映画の鑑賞が可能でカラオケができるというのも珍しくなくなった。もちろん、全土に5Gが普及しているからこそ提供できるものだ。

 装備も、運転席だけでなく後部座席までマッサージ機能が付いているものや、冷蔵庫付きも普及してきた。屋根に格納されたドローンを車中から遠隔操作で飛ばして映像を撮れるものもある。

 機能も装備もメーカーごと、モデルごとに違うから選ぶ方も大変だ。

 運転アシスト機能は路上で試乗しないとわからないが、口コミで評価の情報や実際に使っている映像がネットに溢れ、それがクルマの評価に反映される。

 こうした情報は、ようやく日本でも報じられるようになった。

 しかし、今回中国を訪れたこととその前にファーウェイの関係者に取材をしたことで、私は、また新たな発見をした。

 それは、これからの競争は、個人のライフスタイルの創造に「総合的に」どれだけ役立つかということが中心になるということだ。

「総合的に」というのは、EVの競争にとどまらないということを意味する。

 クルマのスマホ化という概念がかなり前から言われ続けた。今やスマホは単なる通信手段にとどまらない。家電や家のセキュリティ、エンタメ、SNS、投資、交通機関の予約・利用、各種の商取引、金融決済、あらゆるものがスマホによって提供される。

 スマホを制するものが消費者向けビジネスを制するとも言われた。

 しかし、スマホは、毎年新しい機種が発表され、機種の乗り換えも頻繁に起きる。また、通信会社の乗り換えも数年ごとに起きる可能性がある。

 そこで、多くの企業はスマホとEVを一体化させる時に、スマホ側とEV側どちらに主導権があるのかと考える。

 スマホよりもEVの方が乗り換え頻度が低い。消費者のブランドへの忠誠度でも、スマホよりも自動車の方が高い。

 つまり、EVで消費者を囲い込む方が優位に立てる。



スマホとEVの融合という夢が復活

 そう考えたのが、シャオミである。スマホメーカーとして中国で米アップルに次ぐ2位、世界市場でもアップルと韓国のサムスンに次ぐ3位のシャオミが、24年、EVの自社製造に乗り出した背景には、こうした考え方がある。シャオミの出したSU7は昨年12月に中国のBEV市場でなんと5位に入った。驚きである。シャオミは、クルマ以外にも、多種類の家電製品を出し、シャオミファンの推し活というほどの顧客の忠誠度を高めることに成功している。消費者の生活全般をターゲットにする戦略によって、今後、BYD、テスラ2強の競争に食い込む潜在性を秘めている。

 EVのスマホ化と言えば、少し前までは、アップルの専売特許だったが、自動運転車の開発を断念したことで、その野望は潰えた。

 一方、世界のスマホ市場でサムスンに次ぐ2位、中国市場ではダントツだった中国の通信機器大手のファーウェイは、19年以降の米国制裁により、スマホ事業がほぼ壊滅した。これにより、ファーウェイも狙っていたスマホとEVの融合という夢がやはり消えたかに見えたが、ここにきて、スマホの世界でも復活を遂げつつある。そして、ファーウェイの新たなEV戦略は、ある意味最も高度なものと言っても良いかもしれない。

 ファーウェイは、スマホ・タブレット・車載機器など異なるデバイス間でシームレスな連携が可能となるOS、ハーモニーを開発した。自らはクルマをつくらず、ハーモニーOSによる車載機器やシステムを自動車メーカーに提供している。また、自動運転システムもそのOS上で動くようにした上で、テスラ並みのものを提供している。インテル・インサイドという言葉が一世を風靡したことがあったが、今や、ファーウェイ・インサイドと謳うEVが勢力を伸ばす。これにより、クルマと家電、さらにはPCやタブレットも同じOS上で動かせるということは、それらの機器をシームレスに使うことができる(アプリを開かずに連続的に使用できる。例えば、車中で見ていた映画の続きを異なるアプリを開くことなく家のテレビをオンにしただけで見られる)ため、自然とファーウェイ製のスマホ、家電、PCなどの購買につながり、またスマホの通信契約も継続される。また、EVのシステムに関連する機器・部品などを販売できる。

 こうした競争に参入する他の企業は、全ての機器やシステムを自前で揃えることは事実上不可能だから、異分野のプレイヤーが協力することで分野機能統合型の競争に参入するしかない。

 製造業の競争の仕方としては、異次元に入ったということなのではないだろうか。



中国メーカーの妨害しか未来がない

 日本の自動車メーカーは、EVをつくれるようになったという段階だ。

 今は、EVのインフォテインメント、スマート化、自動運転技術、SDV化というような分野での競争にようやく参入しつつある。

 テスラは、完全自動(無人)運転タクシーによってEVでの競争を勝ち抜く戦略で、中国のような分野機能統合的な消費者囲い込み競争には参加していない。

 いろいろな戦略があり得るのだろうが、日本のメーカーには、そうした大きな戦略が見えない。

 このままでは、トヨタのEVは、中国では、ほぼ中国企業に全面的に頼った形で、欧州でも、結局は中国車との競争になるので、やはり中国企業に頼りながら、米国では、遅れた米国メーカーとの競争なので自前の技術で競争するということになるのだろう。

 日本では、本格展開を始めたBYDなどとの競争になるが、技術では勝てない分、流通でBYDの展開を妨害する作戦しかなさそうだ。国民の嫌中意識を政府の協力を得て最大限活用するかもしれない

 トヨタといえども純粋な日本企業としてやっていくのは難しくなってきたという現実。

 5年後くらいには、「実質的には中国製」のクルマを、日本メーカーは自社がつくったと称して売ることになるのではないか。

 何とも「悲しい予感」がする。



古賀茂明(こが・しげあき)
  古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。
  1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など
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"一時的な乱れ"か? それとも"必然"か? トランプ大統領の《歴史的意義》を見極め「日本の針路」を定めよ

2025-06-27 | いろいろ



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"一時的な乱れ"か? それとも"必然"か? トランプ大統領の《歴史的意義》を見極め「日本の針路」を定めよ

野口悠紀雄
  一橋大学名誉教授



  


「歴史の一時的な逸脱」であってほしいが…

 現在、アメリカで進行している、トランプ大統領による一連の破壊的政策と政治的扇動をめぐって、われわれは根本的な問いに直面している。それは「これはトランプという特異な人格の政治家がたまたま引き起こした歴史の一時的な乱れにすぎないのか。それとも、歴史の必然であり、われわれが見ているのは新しい時代の始まりなのか」という問いだ。

 このどちらかであるかによって、対処の方針も大きく変わる。悪夢のような一連の事態を見ていると、多くの人は「これが歴史の一時的な逸脱であってほしい」と強く望んでいることだろう。しかし、後で述べるように、それを否定する事実も存在する。

 この問いは、民主主義制度、自由経済、知の尊重といった現代国家の根幹に関わるものだ。トランプ大統領の行動をどのように評価するかは、アメリカの未来、さらには自由主義的秩序の将来をどう見通すかという根源的な判断に直結している。

 まず、この現象を「一時的な乱れ」と捉える立場から見てみよう。この見方を支持するのは、アメリカの政治経済制度の基幹がいまだ機能しているという事実である。とりわけ、市場の反応がトランプ大統領の行動を制約する実効的な力となっているという事実だ。

 例えば、4月に発表された相互関税措置によって、ドル、株価、債券価格が同時に下落するという「トリプル安」状態が発生し、トランプ政権は上乗せ関税を90日間凍結せざるをえなくなった。

 第2次トランプ政権のこれまでの交渉経緯を見ると、トランプ大統領の行動は「ディール(取引)」として読み解くことができる。

 例えば中国に対しては、125%まで引き上げた相互関税率を廃止し、当初の34%に戻した。そのうえで、24%の執行を90日間停止し、ベースライン関税の10%を適用するとした。また、EU(欧州連合)に対しても50%の関税を課すと脅したが、実際には交渉の延長を認めている。

 こうした行動は、TACO(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもビビってやめる)と揶揄された。

 このように、トランプ大統領の強硬策は金融市場や交渉相手の反応によって頻繁に後退を余儀なくされており、破壊的な政策も結果的には理解可能なものに落ち着いていくように見える。

 これは、トランプ大統領が「恫喝 → 譲歩 → 合意」というパターンで交渉を進める人物であることを示しているだけのことである。つまり、トランプ大統領は交渉のカードとして強い言辞を使っているにすぎず、最終的には合理的な妥協に引き戻されている、という解釈が成り立つ。

 このような事例に注目するなら、トランプ氏は特異な政治家ではあるものの、アメリカの制度の基本は依然としてバランスを保っており、市場経済と民主主義制度が最終的には軌道修正を行うであろうことが期待できる。したがって、トランプ現象は「例外的な逸脱」であり、歴史の主流とは言いがたいという評価が可能だ。



「歴史的必然」としてのトランプ

 しかし、トランプ大統領の言動や政策は「アメリカ社会の底流にあった不満の噴出」であり、その意味で「歴史的必然」だ、という理解も否定できない。

 とくに象徴的なのは、大学や研究機関を敵視する政策に対するアメリカ国民の反応だ。ハーバード大学などの主要大学に対して、ビザの発給停止や連邦補助金の打ち切りなどの方針を打ち出したが、これに対するアメリカ社会からの反発は驚くほど弱かった。

 この背景には、プアホワイト層(低所得の白人労働者層)をはじめとする広範な社会階層のフラストレーションがあるからだといわれる。彼らは、自らの経済的没落をグローバリズムに起因するものと捉え、エリート層への反感をつのらせてきた。その受け皿となったのがトランプ氏だ。

 この構図で理解するなら、トランプ氏は「異常な存在」ではなく、「ポピュリズムの時代における必然的なリーダー」ということになる。つまり、アメリカ社会が必然的にトランプ大統領を生んだのであり、これは歴史の必然だという解釈が成立することになる。

 トランプ政策は、第1次政権期(2017~2021年)と第2次政権期(2025年~)で大きく異なっている。

 第1次政権時の関税政策の中心は対中関税であったが、これはある意味「理解可能な国家戦略」であり、その点で「歴史の必然」だった。台頭する中国に対してアメリカの覇権を守ろうとする政策であり、1980年代に日本に対して行われた貿易摩擦政策の延長線上に位置づけられるものだ。

 しかし、第2次政権における関税政策は、経済的な合理性を欠いている。中国だけでなく、日本、EU、カナダといった友好国に対しても高率関税を課している。

 その理由は「アメリカに製造業を呼び戻すため」だとされているが、これは著しく経済合理性を欠いた考えだ。とりわけ「iPhone」などのグローバル製品は、製造プロセスが複数の国や地域にまたがっており、国内回帰は事実上不可能だ。

 このような政策をトランプ大統領が本気で信じているとすれば、それは経済メカニズムの理解水準があまりにも低いことを示している。 逆に、信じてはいないが政治的支持を得るためにあえて主張しているのだとすれば、それはポピュリズムにすぎない。いずれにせよ、歴史的な必然によって生まれた政策とは考えられない。



日本はどう対処すべきか

 現実の交渉過程に関して報道されていることは、あまりに少ない。例えば、鉄鋼関税問題はトランプ大統領の思惑どおりに進んでいるように見えるが、取引の実態はどうだったのか。報道される内容は断片的であり、日本製鉄とトランプ政権の間で何らかの取引があった可能性があるが、その詳細は明らかにされていない。

 この交渉で得をしたのは誰だったのか。「得をしたのは日本製鉄だ」とトランプは言ったが、本当にそうなのか。表面的には、アメリカの鉄鋼労働者とトランプ大統領が得をしたように見えるが、日本の国益はどの程度守られたのか、明確な情報がない。今後、交渉の実態を検証する必要がある。

 日本政府に求められるのは、戦略的な対応である。相手が「ディール型」の指導者である以上、こちらもそれに対応する交渉戦略と、世論に説明可能な透明性の高い外交姿勢が必要だ。

 トランプ大統領という存在は、アメリカの社会的分断と民主主義の危機を象徴している。その現象を「一時的な乱れ」と見るか、それとも「歴史の必然」と見るかは、今後のアメリカ社会の反応、そして国際社会との関係構築の過程によって明らかになるだろう。そして、われわれは単にそれを傍観するのではなく、その中で自国の戦略をどう定めるかを問わなければならない。



野口 悠紀雄 (のぐち ゆきお)
  一橋大学名誉教授
  1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。
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