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阪神間で暮らす-4

テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

「参院選」自公が勝っても負けても訪れる“同じ未来” 選挙後は野田代表が与党に取り込まれ「立憲」との大連立に

2025-07-05 | いろいろ



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「参院選」自公が勝っても負けても訪れる“同じ未来” 選挙後は野田代表が与党に取り込まれ「立憲」との大連立に

政官財の罪と罰


 古賀茂明




 参議院選挙は7月3日公示、20日投開票と決まった。

 東京都議会選挙で自民党が惨敗し、参院選でも自民にとって非常に厳しい結果になるのは確実だという見方が一般的だ。

 石破茂首相は、それを前提に、与党である自民党と公明党合わせて参議院の過半数を維持できるか否かを勝敗ラインとした。

 参議院の定数は248議席。このうち、改選の124議席と欠員の補充を合わせて125議席をめぐる争いになる。非改選の自公の議席数は75なので、過半数の125議席を確保するために、今回の選挙で50議席獲得を目指すことになる。

 選挙の対象となる125議席のうち50議席だから、目標としては、かなり低い。普通なら、楽勝となるはずだが、今回は、それさえもかなり危ないと見られる。

 その原因として、有権者が依然として自民党の裏金事件をはじめとした政治資金問題に非常に厳しい目を向けていること、物価高対策として表明した給付金が選挙目当ての「バラマキ」だという批判を受けていることなどが挙げられている。

 だが、もう一つ深刻な原因として考えられるのが、旧来の自民党政治を変えてくれると期待した石破首相がその期待に全く応えていないという「がっかり感」が「自民党は嫌いだ」という嫌悪感を増幅させてしまったということだ。自民党にとってはどうしようもない状態になっている可能性が高い。

 なぜなら、一度嫌悪感を持たれてしまうと、何をやっても、自民党がやっている限り、評価されないどころか、逆に批判のネタにされてしまうからだ。

 その最たるものが、給付金に対するバラマキ批判である。

 バラマキ批判は、古くから自民党が野党に対して使う常套手段だった。私が覚えている最も古いものは、「野党は税金はまけろ、橋や道路は造れとうまい話ばかりする。これは毛針で釣りをするようなもので、それにひっかかる人は知能指数が高くない」という渡辺美智雄元副総理が通商産業大臣だった時の発言だ(1986年3月1日の講演)。自民党は常に野党に対してこうしたバラマキ批判を展開してきた。それによって、「バラマキ」は野党が行う悪い政策だというイメージを定着させるのに成功したのだ。

 野党が選挙の公約で減税、年金増額、保険料引き下げ、給付金などの政策を掲げると、必ず自民党は「バラマキ」批判を行い、有権者もそれに影響を受けてきた。

 一方、自民党が給付金などの政策を掲げた場合は、ある程度の批判はあっても、それが投票行動に影響する程度にまで高まることはなかった。

 理由ははっきりしないが、自民党は政権与党で、財政規律に責任を負っているので、バラマキのように見えても、帳尻は合わせてくれるのだろうという安心感があったのかもしれない。


【写真】石破首相がタッグを組みたい野党代表がこちら

   


立憲の公約の方が「バラマキ」度合いは強い

 他方、野党は、政権についていないので、無責任に聞こえの良いことを言えるが、実際にそれを実現できるのかどうかは疑わしいし、財政がどうなるかについて責任を負うつもりはないはずだと有権者は考えがちなのではないだろうか。

 同じ政策でも全く評価が違うというのはなんともおかしなことだが、野党は常にこの不思議なパラドックスに悩まされてきた。

 しかし、今回の参院選においては、明らかにこの地合いが逆転している。石破首相が消費税減税を強く批判する一方、一律2万円プラス子どもと住民税非課税の大人に2万円の上乗せという給付金を配ると言った途端に選挙目当ての「バラマキ」だという強い批判が起きた。

 しかし、冷静に考えると、野党第1党の立憲民主党の公約の方が「バラマキ」の度合いは強い。同党は、1年ないし最大2年の時限で食料品の消費税税率ゼロを公約とした上に、それを実施するまでの間に一律2万円の給付金の支給を公約としている。明らかに自民党よりも大きなバラマキだ。

 物価高対策という名目はどちらも同じなのに、なぜか自民党の公約の方が強い批判を浴びている。消費税減税を批判し過ぎたことが一つの原因だろう。野党に対して減税はバラマキだと批判しながら、その舌の根も乾かぬうちに自分達も同じバラマキを口にしたことでブーメラン効果になってしまった。

 自民党は、財源を税の上振れ分の範囲内で行い、赤字国債は出さないと言うが、そもそも、大赤字の財政状況なのに、いまさら赤字国債が悪いと言っても有権者には響かない。防衛費増額や巨額の大企業補助金については財源論をスルーして先に決めてしまうこととの比較でも、自民党の議論は分が悪い。

 少し前までは、赤字国債を出して良いのか、社会保障の財源がなくなっても良いのか、と畳みかける大手メディアによる消費税減税バッシングで、財源なき消費税減税には反対だという声が強まっていた。自民党もこれを利用して、野党批判を展開した。

 しかし、自民党の給付金公約で雰囲気は一変した。その底流には、前述した「自民党は嫌いだ」という嫌悪感が強く働いている可能性が高い。ということは、どうやっても自民批判は止まらないということになる。

 このまま行くと参議院でも衆議院と同じように自公過半数割れという結果になるかもしれない。

 そうなると、まず、自民党内で石破おろしが始まるだろう。その結果、自民党総裁の交代、衆参両議院での首相指名選挙という事態になる可能性がある。そこで何が起きるか。



消費税減税を目指す「大義名分」ができる

 昨年の総選挙後の衆議院では野党が過半数をとり、衆議院の首相指名選挙で石破自民総裁と野田佳彦立憲代表の決選投票になったにもかかわらず、国民民主党などが野田氏に投票しなかったことにより、石破少数与党政権ができてしまった。

 またも、自民総裁と立憲野田代表の決選投票となるだろうが、国民民主がどう出るか。

 消費税減税が大きな争点となった選挙で、減税を主張した野党が勝ったのだから、減税を行えという主張を野党がしやすくなる。公明党も本来は消費税減税を唱えていた。選挙に負けた自民党は、消費税の減税を否定したまま政権を維持すると言っても、それは民意に反する主張だということになる。逆に言えば、消費税減税を掲げる政権こそが民意を正しく反映した民主的な政権だということだ。

 自民党は、政権にいなければ政治資金が集まらず、非常に苦しい思いをしなければならないということを過去の野党時代に嫌というほど思い知らされた。だから、何があっても政権を維持することを最優先するということでは一枚岩になれる。財政規律重視などというお題目は、政権維持のためなら簡単に放棄するだろう。

 野党の側も消費税減税は最優先すべき政策だということで、その実現に全力を尽くすことが有権者に応える道であると主張できる。

 ここまで言えば、あとはどうなるかはおわかりだろう。

 自公にどこかの政党を加えた連立政権を作って消費税減税を目指す「大義名分」ができるということだ。

 その組み合わせはいろいろありうる。

 自公国、自公維、自公国維という組み合わせが、おそらく最も難易度が低いが、私は、むしろ自公立という大連立の方を自民は選ぶのではないかと見ている。

 なぜなら、国民民主と維新は財政規律について比較的無頓着である。そのため、連立を維持するには際限なきバラマキ政策を実施することが必須になる。特に、国民民主との連立ではその傾向は顕著なものになるだろう。

 一方、自公立の連立の場合は、食料品税率ゼロを1年か2年やって、その後は消費税増税となる可能性が高い。参院選後は、自民と立憲が手を握れば、選挙なしの黄金の3年間が手に入る。その間に消費税を10%から15%まで段階的に引き上げる法律を通してしまうということも可能だ。なぜそうなるのか。

 トランプ米大統領の圧力により、現在の防衛費をGDP比1%から2%に引き上げるという自公政権の方針では間に合わない。少なくとも3%、中期的には3.5%プラス関連インフラなどの予算1.5%というNATO並みの増額を目指すことになる可能性が高い。元々自民は軍拡に熱心であるから、誰もそれを止めるものはいない。そうなれば、増税なしには予算は組めないのは自明のことだ。



石破・野田コンビなら息がぴったり合う

 残念ながら、立憲野田代表は、バリバリの軍拡主義者である。そもそも、憲法違反であるために憲法改正なしには認められないはずだった集団的自衛権を憲法改正なしで憲法解釈の変更により認める道を開いたのは野田氏である。彼が首相を務めていた2012年の夏に、そのために設置した有識者会議に報告書をまとめさせた。

 その野田氏が自民党と組んだらどうなるか。税と社会保障の一体改革ということを旗印に消費税の大幅増税を実現し、ふたを開ければ、増税分は軍拡予算に消えていくということが起きるのは避けられない。国が滅びれば社会保障も何もなくなってしまうという決まり文句で、庶民から巻き上げた消費税を軍拡に使うのだ。

 ところで、仮に自公が参院選で過半数維持に成功したらどうなるのだろうか。

 石破政権は継続する可能性が高い。しかし、その結果何が起きるかと言えば、選挙後すぐではないかもしれないが、自公立の大連立の可能性が一番高いと考えられる。税と社会保障の一体改革名目の消費税増税も大軍拡路線も石破・野田コンビなら息がぴったり合うのではないか。

 そもそも、政治資金改革も選択的夫婦別姓も物価高対策も全て無策だと石破政権を批判しながら、結局石破政権を「信任」して、不信任案を出さなかった野田氏の本心は、何としても石破氏と大連立を組んで消費税を引き上げ、憲法改正と中国と戦う準備をするための軍拡を行うということだったのではないか。

 そうでなければ、これだけ自民党批判が高まっているのに、不信任案を出さなかった理由を説明できない。

 いずれにしても、参院選の結果が自公勝利でも敗北でも結局は同じことが起きる可能性があるということだ。

 自民が、国民民主、維新との連立を選ばず立憲との連立に走る理由として、立憲が政権に入れば不信任案の提出により政権交代に追い込まれることがないのに対して、国民民主や維新(どちらも不信任案提出に必要な議席数がない)との連立では立憲による不信任案の提出を止めることができないという大きな違いがあることも忘れてはならない。

 そして最後に、この大連立の生みの親がトランプ大統領だということも付け加えておきたい。

 自動車・鉄鋼・アルミなどに25%関税をかけ、すでに実施中の一律10%追加関税に上乗せする14%というメチャクチャな関税を90日間猶予した結果、参院選最中の7月9日が期限となった。そのおかげで、野田代表が「国難」を理由に不信任案提出を見送る大義名分を得ることにつながった。

 その上に、国防費増額の圧力をかけてくれたことで消費税増税が不可避と考える自民党が、立憲野田代表を国民民主や維新を除外して連立パートナーに選ぶしかない状況に追い込んでくれた。

 トランプ大統領に足を向けて寝られない。それが今の野田氏の心境かもしれない。



古賀茂明 (こが・しげあき)
  古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。
  1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など
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紀子さまの醸し出す“ただならぬ空気”で眞子さんの出産はタブー扱い 「性別や誕生日をいまだに知らされていない」

2025-07-04 | いろいろ



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紀子さまの醸し出す“ただならぬ空気”で眞子さんの出産はタブー扱い 「性別や誕生日をいまだに知らされていない」


  


お祝いムードは皆無

 秋篠宮家の長女・小室眞子さん(33)の出産が報じられたのは5月下旬。夫妻を巡っては3月、眞子さんの身に着けた「ゆったりシルエット」のロングコートのいでたちを含めてさまざまに取り沙汰されたものである。出産報道後、宮内庁からなされた発表は、4年前の結婚の経緯もあって実によそよそしいものだった。さらに当の秋篠宮邸では目下、職員たちが、とりわけ紀子さまのお振る舞いを気にされ、祝意を口にするのも躊躇われる雰囲気が漂っているというのだ。

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 新しい家族を授かった眞子さんと、夫でニューヨーク州弁護士の小室圭さん(33)は心機一転、今年3月にコネチカット州にあるタウンハウス型2階建て住宅に転居していた。延床面積およそ74平方メートル、3人家族にふさわしい新居を、小室さんは68万ドル(約9800万円)で購入したのである。

 幸せムードに満ちた生活を送っている様子の夫妻の一方で、二人が飛び出していった日本では、新しい家族が増えたというのにお祝いムードは皆無。それはかねて指摘されてきた通り、皇室としては到底認められない結婚だったためである。実際に秋篠宮さまご自身が「類例を見ない結婚」と評されており、国民に祝福されなかった以上、今後は二人の動静を公にすることもない──。これが秋篠宮さまの強いご意思であられたわけだが、そんな中でも、

「側近トップである吉田尚正・皇嗣職大夫は5月30日の会見で、秋篠宮さまをはじめご家族が出産を喜ばれており、眞子さんやお子さんの幸せを願われている、そのようにご一家の様子を明かしたのです」(宮内庁担当記者)



事実上の“言論統制”

 ところが、お住まいの宮邸では現在“ただならぬ空気”が支配しているというのだ。さる宮内庁関係者が明かすには、

「日々、ご一家のお側でお世話にあたっている皇嗣職の職員らは、産まれたお子さんの性別や誕生日をいまだに知らされていません。それどころか、宮邸内で大っぴらにこの話題に触れるのはご法度となっている。せっかく初孫が誕生したというのに、秋篠宮さまや紀子さまへお祝いの言葉を述べることすら、はばかられる雰囲気にあるのです」



「紀子さまが別の話題を……」

 実際に、秋篠宮家の事情に通じる人物も、

「宮邸で秋篠宮ご夫妻に接している人たちは、誰も『おめでとうございます』とのお声がけができていません」

 としながら、以下のように続けるのだ。

「そのムードを形づくっているのは、他ならぬ紀子さまです。もちろん秋篠宮ご夫妻から私たちに『この件については触れないように』といった仰せがあったわけではありません。ただ、最初に出産が報じられて以降、紀子さまがその話題に決して触れようとなさらないご様子は、はっきりうかがえました。例えば宮邸を訪ねてきたお客様とお話しなさる時、相手が何かを切り出す前に『ところであの方はお元気でしょうか』などと、機先を制するかのように紀子さまが別の話題を持ち出される場面も、しばしば見受けられました」

 職員らもまた、事情を心得ていない来客がお祝いを述べようとした際には、事前にそれとなく言い含めて制止することがあったというのだ。



「きわめて不健全」

 このような雰囲気は悠仁さまにも好ましくない影響があると、家族問題カウンセラーの山脇由貴子氏が言う。

「お支えしている職員らに対し自らの母親が『聞いてくれるな』というオーラを出され、そのために職員がお祝いも言えない。そのような環境は、悠仁さまにとって決して好ましいものではありません。『姉に家族ができたのに、喜んではいけない人が大勢いるのか』と感じてしまわれるのであれば、極めて不健全です」

 7月3日発売の「週刊新潮」では、眞子さんの出産を巡る秋篠宮邸の緊張感漂う雰囲気について、複数の関係者の証言を基に3ページにわたって特集する。


週刊新潮 2025年7月10日号掲載
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生活保護を「ナマポ」発言、コロナ感染で即入院、 「生い立ちを売り物にしてる」とディスり…引退を表明した石原伸晃(68)の政治家人生

2025-07-02 | いろいろ



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生活保護を「ナマポ」発言、コロナ感染で即入院、 「生い立ちを売り物にしてる」とディスり…引退を表明した石原伸晃(68)の政治家人生






「政界を動かしているのは石原伸晃である」という説

 石原伸晃氏が政界引退を表明。都議選の翌日に流れてきたニュースだ。

 私は以前から「政界を動かしているのは石原伸晃である。ただし本人の知らないところで」という説を唱えてきた。


  


 例を挙げる。まず2012年の自民党総裁選。当初、本命とも言われていたのは石原伸晃氏だった。ところが失言などで失速。安倍晋三氏が予想を覆して2度目の総裁になった。第二次安倍政権は長期になったので「安倍一強を生んだのは伸晃」と言ってもよい。

 さらに同年の衆院選では東京都知事だった父親の石原慎太郎氏が国政復帰をした。伸晃氏がピリッとしないから父親がまた国政に出てきたように見えた。政界に第三極の波が起きた。さらに俳優の山本太郎氏が伸晃氏の東京8区から出馬。1年後に山本氏は政界入りし、現在はれいわ新選組の党首である。なんという伸晃氏の政界再編力だろう。本人の知らないところで。

 圧巻は2016年の東京都知事選だ。小池百合子氏が立候補して保守分裂。小池氏は自民党東京都連にケンカを売ってブームを起こした。当時の都連会長は伸晃氏。またしても本人の意思とは関係なく政局のかませ犬となった。

 2021年の衆院選でも大きな動きがあった。伸晃氏の東京8区は野党共闘を巡り一気に注目選挙区になってしまったのだ。伸晃氏は落選。また政界を動かした。本人の意思とは関係なく。

 驚くのはこの後だ。伸晃氏は東京8区ではなく2025年の参院選へのくら替え出馬を目指す考えを表明したのだ。当時の読売新聞オンラインの見出しを見てみよう。

『石原伸晃氏の参院くら替え方針、自民関係者「敵前逃亡とみられても仕方ない」』(2023年6月28日)

 敵前逃亡って! 伸晃先生に対して失礼じゃないか!

 記事では「石原氏が地盤にしてきた杉並区では、自民党勢力の衰退が続いており」と解説され、伸晃氏に投票してきたという男性は「参院に挑戦というのは、杉並が見捨てられた感じがする。もう一度挑戦してもらいたかった」。

 では参院選出馬作戦はうまくいったのか? しかし伸晃氏の名前は出てこず。今年の4月、Xでこんなポストをしている。



名前が飛び交うのを見て「困惑」する伸晃氏

「昨日、自民党東京都連 参議院議員候補者選考委員会に出席をしました。 報道では既にお名前が出ているようですが、私には都連会長はじめ事務局からも、未だ何の連絡もありません。困惑しております。」(2025年4月12日)

 自分ではない名前が飛び交うのを見て「困惑」する伸晃先生。ただ、本人以外は誰も困惑していなかったことを補足しておきたい。

 さて今回、政治家・石原伸晃のラスト演説を見ることができたので報告したい。都議選が告示された6月13日に伸晃氏は小宮安里氏の応援に駆け付けた。小宮氏は伸晃氏の元秘書なのだ。伸晃氏は叫んだ。


  


「悪いことはしていない。どんなに厳しかろうが、世間の風当たりが強かろうが、小宮安里は勝つ!」

 小宮氏は都議会自民党の裏金問題で自民党非公認となっていた。応援に力が入るのはわかるがマイナスなことばかり並べているのが気になった。面白かったのは他の演説者が小宮氏について「世襲でもないし、お金持ちでもない、有名人でもない!」と力説していたことだ。これってぜんぶ石原伸晃のことじゃないか。必死な選挙戦では身内からもつい本音が出てしまうのだろうか。これには後ろで聞いていた伸晃氏も苦笑いしていた。



「生い立ちを売り物にしてる」と誰かをディスっていたが…

 伸晃氏の応援演説は選挙戦最終日も見ることができた。

「今回ね、(小宮さんは)大変厳しい。自民党がね、ちょっとだらしないからね。いいよ~、外にいると。ホントのこと言えるから」

 昔の自分のポスターを見たら眉間に3本しわが入っていたが、最近はしわが無くなったことをご機嫌に語りだした。かなりリラックスした演説だった(今にして思えばもう選挙に関係なくなったからかも)。

 続いて17名が立候補した杉並区について触れ、

「見てるとね、自分の生い立ちのこととか、それを売り物にしてる人とか、ここがブームだから乗っかって議員になろうかみたいなね、そんな人がたくさん出てるからこういうわけのわからないことになっているんだと思います」

 しみじみした。「生い立ちを売り物にしてる」と誰かをディスっていたが、石原軍団をバックに選挙戦をしていた伸晃氏の姿が走馬灯のように浮かんだ。



「外から政治を見ていこうと決めた」と政治家引退表明

 小宮氏は落選したが最後の1議席を争った相手は国崎隆志氏だった。国崎氏も伸晃氏の秘書を務めた人物だ。ちなみに小宮氏も国崎氏もSNSでは演説場所の事前告知をほぼしていなかった。伸晃氏も2021年の衆院選ではステルス選挙をしていたので二人とも「師匠」に似たのだろうか。

 伸晃氏の最終日の演説に話を戻すと、トップバッターで応援演説を終えた伸晃氏は会場を後にした。初日は最後までいたが今回は一段と早い。なかなか会えない伸晃氏に話を聞きたいと思った私たちは伸晃氏を追った。姿を見つけると、伸晃氏は赤信号で横断歩道を渡っており、待たせてあった車に乗り込んだ。速い! 次の応援演説だろうか? その背中は自民関係者が言った「敵前逃亡」という言葉とオーバーラップしてしまった(失礼)。


  


 この2日後に伸晃氏は政治家引退表明をテレビ番組でする。「まだ元気なので国を思う気持ちは変わらない。憂える事態が、イランとアメリカの話みたいにたくさんある。こういうことに対して意見を述べていこうと」と、「外から政治を見ていこうと決めた」と述べた。

 今後はコメンテーターとして露出するのかもしれないが、それならまず聞いてみたいのは「生活保護引き下げ、違法」と 最高裁が判決を下したことだ。国が2013~15年に生活保護費を大幅に引き下げたのは違法だとした。引き下げ前の2011~12年ごろ、生活保護制度や利用者を狙った「生活保護バッシング」が過熱した。

 石原伸晃氏は2012年の自民党総裁選に出馬中、「報道ステーション」で生活保護のことを「ナマポ」というネットスラングを使って語った。あれも生活保護に対するバッシングを高めた一因ではなかったか? 2021年には伸晃氏はコロナに感染するとすぐに入院でき、リアルな格差を見せつけたことも話題になった。格差社会と言われる中で「コメンテーター石原伸晃」にはそんなことも聞いてみたい。


◆◆◆

 文春オンラインで好評連載のプチ鹿島さんの政治コラムが一冊の本になりました。タイトルは『お笑い公文書2025 裏ガネ地獄変 プチ鹿島政治コラム集2』。

   




  1970年生まれ。長野県出身。
  時事ネタと見立てを得意とする芸風で、新聞、雑誌などにコラムを多数寄稿。TBSラジオ『東京ポッド許可局』『荒川強啓 デイ・キャッチ!』出演ほか、『教養としてのプロレス』(双葉文庫)、『芸人式 新聞の読み方』(幻冬舎文庫)などの著書がある。
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蓮舫氏と山尾志桜里氏 参院選への取材対応でにじんだ「空気」の違い

2025-06-30 | いろいろ



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中山知子 取材備忘録  蓮舫氏と山尾志桜里氏 参院選への取材対応でにじんだ「空気」の違い


  


 7月3日の公示に向けて、参院選の準備が各党で最終盤を迎えている。候補者の擁立作業も最終盤となる中、「大物」の擁立が正式に発表された。立憲民主党が比例代表に擁立する元参院議員の蓮舫氏(57)だ。

 前回の22年参院選東京選挙区で4回目の当選を果たしたが、昨年の東京都知事選に出馬し、まさかの3番目の票数で落選。その後のインスタライブで「国政から卒業して都知事に手をあげて(多くの聴衆が集まる)すごい景色を見た。残念ながら結果は出せなかったけれど、120万以上の人が『蓮舫』と書いてくれたのに、また国政に戻るというのはちょっと私の中では違う。渡り鳥みたいじゃない?」「自分の中で整理をつけなきゃいけない。いったん、ピリオドかな」と語っていただけに、1年もたたない中、参院選での国政再挑戦には党内でも疑問や批判の声があり、執行部側がそれを押し切る形で今回の判断となった。

 選挙への立候補は自由だし、今回「目玉候補がいない」(関係者)とされる立民の執行部が、蓮舫氏の高い知名度に期待するのは、当然かもしれない。ただ「いったん」でも「ピリオド」と口にしながら、また国政(しかも参議院)を目指す方針に転換。立民関係者から「じゃあなぜ都知事選に出たのか。3年後の都知事選を目指すための『いったんピリオド』なら分かるが、1年たってまた参院に戻ろうとするというのは、戦略としてどうなのか」「『ピリオド』の意味が分かって言ったのか」など、皮肉や厳しい声を聞いた。それも仕方ないと感じる。

 そんな蓮舫氏の、公認内定後初めての街頭演説を取材に行って、少し前に取材したあの人の記者会見との違いを感じた。国民民主党から参院選比例代表に公認予定とされながら、過去の不倫疑惑報道に関する説明不足などから、出馬会見の翌日に公認内定を取り消された山尾志桜里元衆院議員(50)の会見だ。

 山尾氏は単身で会見に臨み、2時間半、つるし上げのような質問も含めた質疑に応じた。何をどう聞かれても、記者側の疑問が晴れるような答えはなく、最後は攻める材料も尽きるような形となって会見が終わり、よくも悪くも、山尾氏の「信念」の壁は突き崩せなかった。山尾氏が後に暴露したように、党幹部は「辞職会見」なら同席するという逃げの姿勢だったため、山尾氏は最後まで1人で記者への説明を続けた。

 一方、蓮舫氏は記者会見を開いたわけではない。街頭演説後、取材に来ていた記者に囲まれ、その場で質問に応じる形となった。なぜ記者会見しないのか問われると「街頭演説に来ていただける記者の人がおられるなら、その後に答えた方が、会見を設けることで『2度手間』にならないと思った」と答えた。会見が開かれても報道陣は2度手間とは思わずに、取材に行っただろうけれど。

 蓮舫氏の横には、応援に入った小川淳也幹事長と、自身に近く党東京都連幹事長でもある手塚仁雄衆院議員が陣取った。蓮舫氏はどこか、党側に守られているようだった。質疑応答が行われたのは私鉄の駅改札近くの街頭で、周囲ではヤジのような内容を叫んでいる人もいた。記者会見のように、腰を据えて向き合うような雰囲気ではなかった。蓮舫氏が取材に応じた時間は約20分。質疑後、蓮舫氏は来た時と同じように車に乗り込み会場を後にした。

 その数時間前、定例会見に臨んだ野田佳彦代表は、「生まれ変わったニュー蓮舫」というワードを口にした。野田氏も蓮舫氏に近い立場だ。野田氏の会見からの街頭演説と取材対応。ひとつのレールの上でものごとが流れたような、「説明した」という既成事実が演出されたような空気を感じたのも確かだ。

 蓮舫氏は、国政再挑戦の判断への批判について「謙虚に受け止めるしかない」と述べ、1年前の「いったんピリオド」発言を念頭に「言葉を大切にしている政治家として、発信に思いが欠けていたが、当時は精神的に弱い状況にあった。これからの発信には気をつけようと思う」などと、釈明を続けた。一方、昨年の衆院選で与党が単独過半数に追い込まれたことについて「衆議院で野党が力をいただいて、なんかワクワクしちゃったんですね」と語り、その後、党側から声をかけられるようになったと語った。もし衆院の与野党勢力逆転がなかったら、今回の判断はあったのだろうか。環境が整えられたステージに、満を持して出ていく。そんな形だったのではないだろうかなど、考えてしまうことは、多い。

 でも、やっぱり、蓮舫氏には国政への未練が残っていたようにも感じる。都知事選落選後の昨年7月12日、X(旧ツイッター)に、国会議員時代の「戦闘服」だった白いジャケットについて「たくさんリサイクルに出しちゃった。さあ、すっきり」と気分一新を告白していたが、今回、その白ジャケットはどうするのかと問われた蓮舫氏は「もったいない精神があって。断捨離するのに勇気がなくて、半分残していたんです」。再登板の機会に備えて、もし半分残していたとしたら…。国政再挑戦に向けた蓮舫氏の「本音」に、この時、接したようにも感じた。

【中山知子】



◆中山知子(なかやま・ともこ)
  1992年に日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。小泉純一郎首相の北朝鮮訪問に2度同行取材。文化社会部記者&デスク、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスクを経て、社会/地域情報部記者。福岡県出身。青学大卒。
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開幕前にロシアのいないG7を批判して早々に帰国したトランプの胸中 (抄)

2025-06-29 | いろいろ

ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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開幕前にロシアのいないG7を批判して早々に帰国したトランプの胸中


  


 G7サミットが16日にカナダのカナナスキスで開幕した。その開幕前に行われたアメリカのトランプ大統領とカナダのカーニー首相との会談をフーテンはテレビで見た。今回のG7が何であるかが端的に示されていた。

 会談の冒頭でカーニー首相はトランプ大統領に誕生日のお祝いを述べ、へりくだった様子を見せた。G7の中心はあくまでもトランプであると印象付ける態度だった。するとトランプは「アメリカのオバマ大統領とカナダのトルドー首相がG8からロシアを排除したことは間違いだった」と切り出したのである。

 そして「ロシアをG8から排除していなければ戦争は起きていなかっただろう」と述べ、14年にロシアがクリミア半島を併合したことに対する制裁として、アメリカとカナダのリベラル政権がロシアをG8の枠組みから排除したことが、ウクライナ戦争の原因になったとの認識を示した。

 ここにトランプ大統領の立ち位置と今回のG7に参加した理由がはっきり見える。トランプはアメリカがG7各国の考え方に反対であることを伝えに来たのである。つまりG7の議題になるウクライナ戦争、イスラエルのイラン攻撃、関税問題について、アメリカは各国とは異なることを開幕前に表明するために参加した。

 報道では翌日にウクライナのゼレンスキー大統領と会談する予定があると言われていたが、開幕前にホスト国の首相に自分の立ち位置をはっきりさせたことで、フーテンはトランプがゼレンスキーと会談する気があるのだろうかと疑った。

 すると案の定トランプは早々にG7を切り上げるというニュースが入ってきた。イスラエルのイラン攻撃が緊迫しているからその対応のためと西側メディアは報道しているが、そんなことではない。イスラエルのイラン攻撃は先が見えている。イランは報復を長く続けられない。外交交渉に戻るしかない。トランプの狙い通りになる可能性が高い。

 それよりもウクライナ支援を続けるG7と議論をすることをトランプは時間の無駄だと考えている。同じように関税問題でトランプと会談したがった韓国やメキシコなどの首脳はいたが、トランプは日本の石破総理と30分会談しただけで他とは話をしなかった。

 これを見るとトランプの中で日本は特別視されている。しかも結論は出ず、協議は持ち越された。これは悪いことではない。アメリカの主要な競争相手は中国なので、アメリカは日本に協力してもらいたい立場である。その立場を利用してむしろアメリカとは強気に交渉した方が良い。そして日本はトランプと同じようにG7の中にいながらロシアや中国との関係を重視した方が良い。

 フーテンは開幕前のトランプ発言を聞いて、トランプはウクライナ戦争が14年のウクライナの「マイダン革命」に起因すると言いたいのだと思った。それは当時のフーテンが抱いた疑問と符合する。当時の西側メディアは横並びでプーチン批判を繰り広げたが、それをフーテンはおかしいと感じていた。

 問題の始まりは14年2月にロシアの保養地ソチで開かれた冬季五輪である。五輪には主催国の威信がかかる。ロシアは80年のモスクワ夏季五輪でアフガニスタン侵攻を理由に西側世界からボイコットされた。プーチンは是が非でも冬季五輪を成功させなければならなかった。

 ところがソチ冬季五輪はボイコットではないが、開会式を西側のリーダーがそろって欠席した。理由はロシアが同性愛者に厳しい法律を作ったからで、LGBTの権利を擁護する団体から抗議の声が上がっていたが、その声に西側政治リーダーがそろって同調したのである。

 G7の中で開会式に出席したリーダーは日本の安倍晋三総理ただ一人だった。それがフーテンには異様に見えた。何か裏がありそうだと思った。すると2月7日に開会式が始まったころからウクライナでヤヌコビッチ大統領に対する反政府デモが広がり始めた。

 そして五輪が終了する5日前の18日、ついにデモ隊と警察隊が衝突して死傷者が出た。これで反政府デモは盛り上がり、五輪の最終日である23日にヤヌコビッチ大統領はロシアに亡命した。デモの現場にはアメリカのNATO大使でネオコン幹部を夫に持つビクトリア・ヌーランドの姿があった。ロシアが五輪にかかりきりの時期を狙って、ウクライナでは親露派大統領の追い落としが図られた。フーテンの目にはそのように見えた。

 この時、アメリカはソチ五輪に参加している米国民を救出するためと称し、黒海に軍艦を出動させた。戦闘状態が勃発するかもしれないと思った可能性がある。するとロシアはキューバに軍艦を派遣した。これがアメリカへのけん制に見え、フーテンには一触即発の危機に思えた。

 五輪が終わるまで身動きが取れなかったプーチンは、五輪が終わるや黒海艦隊の拠点があるクリミア半島をウクライナに奪われぬよう動き出す。クリミアでは政権が親欧米派に交代したことに抗議する親露派住民が独立を宣言、プーチンは親露派住民の保護を理由にロシア軍を派遣してウクライナ軍を降伏させた。

 親露派住民は3月16日に住民投票を行ってロシア領になることを選択する。しかし西側世界はこの併合を認めない。認めないが、それを侵略だと非難することもしなかった。オバマは軍事的対応を取らなかった理由として「クリミアにはロシア語を話すロシア系移住民が多いから」と述べた。しかし一方ではロシアをG8から排除した。オバマという政治家の対応はいつもどっちつかずである。

 そこにはNATOを東方拡大してロシアを追い詰めることが、世界を民主主義化する正義の行いだというクリントン政権以来の米民主党のリベラル思考がある。しかしネオコンが軍事力を使って民主主義を広めようとするのに対し、オバマは「アメリカは世界の警察官をやめる」という平和志向の立場だから、どっちつかずになる。きれいごとすぎるのだ。

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