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阪神間で暮らす-4

テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

古巣読売新聞社の誤報に思う 賽の河原で石積みする記者の思いとは

2025-09-09 | いろいろ



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大谷昭宏のフラッシュアップ】  古巣読売新聞社の誤報に思う 賽の河原で石積みする記者の思いとは


 東京地検が捜査中の国会議員秘書給与不正受給事件で、読売新聞が捜査対象者を取り違え、別の維新議員を1面で掲載してしまった大誤報。私の古巣の新聞社の体質について、いくつもの週刊誌の取材を受けたが、ここではあらためて新聞記者について書いておきたい。

 誤報から3日後に掲載された読売の検証記事を読んで私は心底驚いた。じつは記事掲載に至るまで、捜査サイドからただの1度も議員の名前は出ていなかったのだ。

 たしかに事件取材には腹のさぐり合い、その場の感触がついてまわる。ただ記者が関係者に具体名をぶつけて「否定されなかった」「肯定的だった」というだけで、議員の顔写真までつけて報道できるものなのか。

 私は検証記事の見出し、<マイナス情報を軽視>につきると感じている。

 それにつけ、思い出すのは記者時代に先輩からたたき込まれた「事件取材は賽の河原の石積み」という言葉だ。

 賽(さい)の河原とは「むなしい努力の場」。事件を取材するたびに1つの見通しを立てて河原でせっせと石を積む。だけど最後の最後で間違いだったと気づいて、またベソをかきながら石を積み直す。その繰り返しだという。けれど誤報の記者たちはマイナス情報を見ずに石を積み続けてしまった。

 今回の件を受けて読売は「記者教育の徹底」と「チェック機能の充実」を図るとしている。だけど教育や制度で、果たして誤報は避けきれるものなのだろうか。

 折しも読売OBで元巨人軍代表の清武英利さんが記者時代を振り返った著書「記者は天国に行けない」が刊行された。私も取材を受けた長編の著作。そのなかで清武さんはこう書く。

 <今年の正月は夜回り取材をしていた。五十年前と同じように電柱の陰で人を待った。成長のない自分に気恥ずかしさを感じつつ、冷たい闇の中で、そこが私の持ち場のような懐かしい気分だった->

 75歳。今も賽の河原で石積みをしている記者がいる。

◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「ニュースONE」などに出演中。



大谷昭宏( おおたに・あきひろ)
  元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。
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自民党が総裁選を実施へ、高市・小泉両氏の争い軸に展開か。

2025-09-09 | いろいろ



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自民党が総裁選を実施へ、高市・小泉両氏の争い軸に展開か。野党の対応次第では新総裁が首相に選ばれない可能性も

ブルームバーグ
 配信


 石破茂首相が退陣表明したことを受け、自民党内で「ポスト石破」を決める総裁選に向けた動きが活発化する。

 昨年の総裁選で上位につけた高市早苗前経済安全保障担当相、小泉進次郎農相による争いが軸となるとみられる。物価高対策や日米関税交渉などに加え、少数与党の国会運営で連立拡大を含めた野党との協力の在り方などが争点になる。

 新総裁は就任後、国会での首相指名選挙に臨む。与党は衆参両院で過半数割れしており、野党の対応次第で新総裁が首相に選ばれない可能性もある。

 総裁選には高市、小泉両氏のほか、林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保担当相、茂木敏充前幹事長、河野太郎前デジタル相、加藤勝信財務相らが立候補する可能性がある。候補に浮上している議員の横顔をまとめた。



高市早苗前経済安全保障担当相


  


 英国の故サッチャー元首相を目標とする。学生時代にはヘビーメタルバンドでドラムを担当していた。松下政経塾出身の64歳。2回目の挑戦だった昨年の総裁選では1回目の投票でトップに立ったが、決選投票で石破首相に逆転された。石破政権では要職につかなかったが、高い知名度から参院選でも応援演説で全国を回った。

 昨年9月の総裁選期間中に出演したインターネット番組で日本銀行の金融政策について「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言し、利上げをけん制した。今年5月のユーチューブ番組では、食料品対象の消費税率(8%)を0%に引き下げるべきだとの考えを示していた。



小泉進次郎農相


  


 小泉純一郎元首相の次男。自民党が野党に転落した2009年の衆院選で初当選した。44歳。昨年の総裁選では国会議員票でトップだったが、党員票が伸びず3位となり決選投票に進めなかった。菅義偉副総裁に近いとされる。6日には菅氏とともに石破首相を訪ね、自発的に辞任するよう促したと報じられている。

 石破内閣発足時に選対委員長を務めたが衆院選敗退を受け、辞任。その後、江藤拓氏が失言で辞任したことを受け、農相に就任した。コメ価格高騰対策では政府備蓄米を随意契約で売り渡す方式を導入し、引き下げに尽力した。石破首相の下、コメ増産を打ち出したが、農家の不安払しょくが課題となる。



林芳正官房長官


  


 2回目の挑戦だった昨年の総裁選では小泉氏に続き、4位だった。政策通として知られ、参院議員時代に農相、文部科学相などを歴任。21年から衆院に転身し、岸田文雄政権下で外相、官房長官を務めた。石破政権でも官房長官に再任され、政権基盤がぜい弱だった首相を支えた。

 解散した岸田派でナンバー2の座長を務めていた。楽器をたしなみ、主要7カ国(G7)外相の前でピアノの弾き語りを披露したことがある。64歳。



小林鷹之元経済安全保障担当相

 50歳の小林氏は、若い世代のリーダーの1人と目されている。9人が立候補した昨年の総裁選では中堅・若手議員の支持を得て一番乗りで立候補表明の記者会見を行い、5位に食い込んだ。石破政権では要職につかず、参院選後は首相の早期退陣を促す発言を続けていた。

 サラリーマン家庭に生まれ、財務官僚になったが、12年の衆院選で野党だった自民党から出馬し、政界入りした。宇宙資源法など議員立法にも取り組み、岸田内閣で初代の経済安全保障担当相を務めた。



茂木敏充前幹事長

 大手コンサルタント会社勤務などを経て1993年の衆院選で初当選。現職幹事長として挑んだ前回の総裁選では6位だった。石破政権では要職から外れた。参院選後はユーチューブで党の再生には「リーダーも含めて主要なメンバーも決めてやり直していく姿」が必要と指摘し、首相を含めた執行部の交代を主張した。

 経済産業相、外相、党政調会長なども歴任した69歳。日米貿易協定など通商交渉も担当したことがあり、「タフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」のイメージを売りにする。


著者:広川高史
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 高市は食品消費税を下げると言っているのが財務省ベッタリの麻生の支持を得られない理由か、そうなると勝利は厳しい。また総理になったとしても少数与党、連立に参政党と言う声もありどうなるか。
 ここに出ている5人の中では林芳正がまだましに見えるが、五十歩百歩か。






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トランプ関税の試練、トヨタ自動車やホンダといった大手には吸収余力、一方でマツダや三菱自動車など中堅には厳しい状況が続く

2025-09-08 | いろいろ



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トランプ関税の試練、トヨタ自動車やホンダといった大手には吸収余力、一方でマツダや三菱自動車など中堅には厳しい状況が続く


  


 トランプ米大統領が自動車関税を引き下げる大統領令に署名した5日(米国時間4日)、日本の自動車業界からはひとまず安堵の声が聞かれた。しかし、27.5%から15%に下がるタイミングが明確になったとはいえ、4月以前の2.5%に比べれば税率は6倍。トヨタ自動車やホンダといった関税の影響を吸収する余力のある大手に比べ、マツダや三菱自動車など中堅には厳しい状況が続くとの見方が専門家からは出ている。



一歩前進も税率は6倍

 トヨタは大統領令の署名を受け、「当社が米国で販売する自動車の8割近くは北米で生産されているが、この枠組みは大いに必要とされていた明確性を提供する」とコメントした。別の日本車メーカー幹部は「やっと15%の適用時期のめどが立った。これで具体的に対策を決めやすくなるので一歩前進とは言えるが、関税負担は厳しい」と話した。

 SBI証券の遠藤功治チーフエグゼクティブアナリストは「ひょっとしたら関税が27.5%のまま年末まで続くのではないかと思っていた人もいた中、15%の適用時期が見えたので、ひとまず安心だ」と言う。一方、15%の税率は高いと指摘した上で、「ニューノーマルとして今後受け入れないといけないのか、それとも米国最高裁が違法と認識してトランプ関税が撤廃されるのか、まだ先行きは不透明だ」と語る。

 もともとの2.5%から27.5%へ関税が引き上げられた4月以降、日本の自動車メーカーが値上げする動きは当初、限定的だった。各社が自社で関税コストを背負った形だが、米国内に積み上げていた在庫が底をついたこともあり、6月以降は値上げが相次いだ。遠藤氏は、関税コストを吸収する値上げが「これからさらに本格化する」と予想する。その上で、ブランド力が今後の売れ行きを左右するとみる。

 商品の値段が上昇する中で、ブランド力が強く下取り価格が高かったり、人気のある新車やハイブリッド車のラインアップが充実したメーカーは優位との見立てだ。

 三菱自はすでに値上げを実施。米国に生産拠点がないことから、日産自動車の米国工場を活用して共同生産する案も検討している。三菱自は日本勢の中で米国でのシェアが低く、関税による値上げ実施は影響を特に受けやすい、と米自動車調査会社オートフォーキャスト・ソリューションズのサム・フィオラニ副社長は指摘する。「車両コストが上昇すれば、市場での優位性を失いかねない」と話す。

 三菱自は8月下旬、26年3月期通期の連結業績予想を下方修正し、営業利益を従来の1000億円から前年比50%減の700億円に引き下げた。関税措置の影響を見直したことや競争激化による販売減少や販売費の増加、インフレによるコスト悪化を織り込んだ。

 加藤隆雄社長は下方修正の理由について、関税コストを吸収するために予定していた値上げや、値引き原資となる販売奨励金の削減を「想定通りに実行するのが困難」になったと説明。関税による販売減少を挽回するために米国以外の市場でも競争が激化しており、「販売費の増加などが今後さらに収益を圧迫する」と語った。



長すぎるトランプ大統領の任期

 多くの自動車メーカーが生産拠点を置くメキシコとカナダが、米国との間で関税交渉がまだ決着していないことも懸念材料だ。

 メキシコ国家統計局のデータによると、マツダの場合、メキシコからの米国への輸出台数は4月から7月までで前年同期比で54%落ち込んだ。メキシコから米国へ輸出する自動車メーカー12社の中で最大の落ち込み幅だった。

 減少理由の1つには、収益性を維持するため、メキシコからの米国向け出荷を意図的に減らし、トヨタとの米国合弁工場(アラバマ州)でスポーツ多目的車(SUV)「CX-50」の生産を増やしたことがある。4月から7月までのマツダの米国販売は14万5039台で、前年同期(14万2246台)に比べ1.9%増えた。稼働率がその分低下するメキシコの生産拠点が、この先重荷となりうる。

 英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツの自動車担当アナリスト、ジュリー・ブート氏は、日本からの関税15%も収益を圧迫し続けるとし、「トランプ大統領の任期がマツダには長すぎる」と語る。

 その上でブート氏は、マツダがトヨタとの連携を強化すると予想。米国での車両生産や共同調達での協業を深め、トヨタがこの先2年間でマツダへの出資比率を現在の約5%から引き上げる可能性もあるとみている。


(白木真紀、Daniel Leussink 編集:久保信博)
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「対米投資80兆円」にくすぶるトランプ政権の罠…関税合意に正式署名も波乱含み

2025-09-08 | いろいろ



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「対米投資80兆円」にくすぶるトランプ政権の罠…関税合意に正式署名も波乱含み


  


〈全集中の呼吸で目的完遂目指します〉──。日米関税の交渉役である赤沢経済再生相は4日、通算10回目の訪米に向け、自身のXにそう書き込んだ。翌5日(日本時間)、トランプ米大統領が日本車などへの関税引き下げに関する大統領令に署名。今後2週間以内に新税率15%が発効する見通しとなった。赤沢大臣は「鬼の首を取った」ような気分かもしれないが、不安材料は尽きない。

 これまで日本側は、現状27.5%の自動車関税引き下げの早期実現と、15%が上乗せされた相互関税の修正を要求してきた。今回の大統領令署名を受け、自動車関税も相互関税も税率は15%になる。

 懸案事項に解消のメドが立ち、赤沢大臣は記者団に「『やっと』というのが正直な感想」と漏らしたが、安心はできない。トランプ関税の正当性が揺れているからだ。

「大統領令署名にマーケットは好感しましたが、日米間の合意がひっくり返るリスクが横たわっています。米連邦巡回区控訴裁判所は先月、トランプ関税を違法と認定。最終的な判断は連邦最高裁に委ねられました。トランプ氏は、最高裁で敗訴した場合には関税合意を『解消しなければならないだろう』と公言しており、決して手放しで喜べる状況ではないのです」(経済評論家・斎藤満氏)

 トランプ大統領らしい不確実性もさることながら、最大の「罠」は別にある。対米投資5500億ドル(約80兆円)の実情だ。


主導権はガッチリ握られ…

  


 大統領令の署名と同時に、日米両政府は米国の求めに応じて2つの文書を作成した。ひとつは、7月の関税合意のコミットメントを再確認する共同声明。もうひとつが、対米投資に関する共通理解を確認する了解文書(MOU)だ。

 赤沢大臣は文書署名後、カウンターパートのラトニック商務長官と固い握手を交わし、あふれんばかりの笑顔で抱擁。しかし、MOUの内容は、

トランプが投資先を選定
日本側が資金を出さない場合、米国は相互関税や自動車関税を再び上げることが可能
元本返済まで利益は日米が50:50で分け合う
返済終了後の利益は米国側が9割を受け取る

 ──と、日本にとって不利な条件が並ぶ。

 一応、投資先の選定にあたっては、米側のみの投資委員会が検討した後、日米で構成する協議委員会で議論し、トランプに投資先を推薦する流れになっている。

 日本も一枚かめるとはいえ、主導権は関税の再引き上げをチラつかせる米側にガッチリ握られている。

「法的拘束力がないので、きちんと利益分配されるのかも分からないし、そもそも元を取れる利益が上がるかも不透明。しかし、カネを出さない選択は許されない。関税を人質に取った恐喝で80兆円をむしり取られたようなものです」(斎藤満氏)

 結局、「トランプの腹ひとつ」の不平等な状況に変わりない。全集中できていないゾ!
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「9・8衆院解散」情報まで浮上の石破おろし政局最終盤 自民お家騒動に国民が巻き込まれる!?

2025-09-08 | いろいろ



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中山知子 取材備忘録 「9・8衆院解散」情報まで浮上の石破おろし政局最終盤 自民お家騒動に国民が巻き込まれる!?


  


 石破茂首相の進退につながる自民党総裁選を前倒しするか、しないか問題の結論が、明日9月8日に決着する。そのタイミングが近づくに従って、本当に総裁選前倒しが実現した場合、石破首相は、総裁選前倒しの是非を自民党員だけでなく国民全体に問うとして、衆院解散・総選挙に踏み切るのではないかという警戒感が急速に強まっている。

 身内の問題を身内で解決できないから国民に信を問うというのは、どう見ても「奇策」。これまでは、前倒しに動く自民党議員や地方組織に向けた「けん制」の意味合いと受け取られていた。ただ、さすがにちゅうちょするだろうとみられた政権を支える政務三役メンバーからも公然と前倒し実施要求が相次ぎ、閣僚(麻生派の鈴木馨祐法相)にも拡大。地方組織でも前倒しを求める声が増えており、5日ごろから「前倒し実施は不可避」との観測も、出始めている。

 そうした流れに呼応するかのように、石破首相が衆院解散に踏み切るのではという見方が、現実的な日程などをもって語られ始めた。5日以降、永田町では「9月8日に首相が解散表明、16日公示、28日投開票」「9月30日公示、10月12日投開票」など真偽不明の日程情報まで、飛び交っている。「情報戦」の一環なのか首相の本心なのかは、まだ見えない状況だ。

 ただ6日夜には、「菅おろし」の末に自ら身を引いた菅義偉元首相と、「ポスト石破」の1人小泉進次郎農相が、夜の総理公邸を訪れ、特に進次郎氏とは1時間以上「サシ」となったこともあり、緊張が走った。進次郎氏はこれまで解散論に否定的な見解を示してきたが、石破首相の進退を含めた今後に向けた話し合いが持たれたことは、想像に難くない。一方、野党からも、立憲民主党の野田佳彦代表や国民民主党の玉木雄一郎代表が衆院解散の可能性に触れた発言をしている。「解散する場合、石破首相は何を大義にするのか。頭の中で、勝機に向けたシミュレーションが本当に成立しているのか。ただ『暴走』しているだけなのではないか」。自民党関係者も首をひねる動きが見え始めてきた。

 だれもが納得する「大義」のない解散は今まで、なくはなかったが、自民党の単なる党内抗争が発端で信を問うという発想は、相当荒っぽい。石破首相が先月24日に会食した小泉純一郎元首相が2005年8月に衆院解散に踏み切った際も、持論の郵政民営化を争点にすることに批判もあったが、まがりなりにも政策の信を問う選挙だった。石破首相が今回のような解散をすれば、「自民党は分裂してしまう」との声も懸念も耳にした。

 一方、一貫して「前倒しなら解散」と訴えてきたのが、今年6月に23年ぶりに自民党に復党した鈴木宗男参院議員(77)だ。党内の激しい権力闘争が時に激しさを極めた時代の自民党を知る立場。北方四島支援などをめぐる疑惑などで2002年に離党するまでは党や政権の中枢におり、さまざまな権力闘争を見聞きし自身も巻き込まれた人物だ。2日に両院議員総会で参院選の総括がまとまった後、話を聞いた際も「自信を持って解散に打って出るように、その心意気でやっていただきたい」と訴えていた。

 宗男氏は、国民に問う場合の争点を「(現在の)自民党政権でいいかということ。100万人の党員で総裁を決めるなら、堂々と総選挙をやって国民に信を問うのがいちばん公明正大だ」と述べ、「密室で何かやっているのではないかといわれかねないような動きがある」と、「石破おろし」の別の側面を批判。前倒しに続々と動く中堅、若手の動きを念頭に「若い人は簡単に総裁選というが、本当の修羅場やのるかそるかの経験があるのか。ちょっと私は、甘いなと思う。そんなに、この世界は甘いものではない」と主張し「自民党は変わっていない。派閥解消といっても派閥単位で集まり、多数派工作をやっている。それを国民は分かっており、それならそれで総選挙で信を問うた方が公明正大だ」と訴えた。

 「総裁選より解散」は、これまで宗男氏が表立って訴えてきた持論だったが、石破首相も現実的に模索しているのではないかとの見方が、浮上してきた。世論調査での内閣支持率が下落していないことも、強気の背景にあるとみられる。石破首相は首相就任前から、就任直後の所信表明演説でも、かつて師事した渡辺美智雄元副総理の言葉を繰り返してきた。「政治家の仕事は勇気と真心を持って、真実を語る」というもの。慶大時代に全日本学生法律討論会で優勝した経験もあり、「政治家は言葉が仕事」が持論の石破首相だが、総裁選前倒しの意思確認の動きに至るまでに、その言葉が「身内」に刺さった形跡はないし、自分の思いを国民に伝わる形で公で語る場面もほぼなかった。

 公になったうちの言葉の1つが、2日の党両院議員総会で口にした「地位に恋々とするものでも、しがみつくつもりもまったくない」「しかるべき時にきちんとした決断をするということが私が果たす責務」というフレーズ。ただ、これが、明確な覚悟として伝わらなかったことも「前倒し」要求加速の一因になったと感じる。

 参院選から1カ月以上が過ぎ、物価高に苦しむ国民の声に政治が何も応えないばかりか、自民党の「お家騒動」が原因で解散に発展したケースとなれば、歴史に残る「悪手」と指摘する向きもある。「石破おろし」は自民党だけでなく、国民まで巻き込んだ動きに、本当になっていってしまうのか。結論はまもなく出る。その時石破首相は、何を語るのだろうか。

【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)



◆中山知子 (なかやま・ともこ)
  1992年に日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。小泉純一郎首相の北朝鮮訪問に2度同行取材。文化社会部記者&デスク、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスクを経て、社会/地域情報部記者。福岡県出身。青学大卒。
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