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はしきやし

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徹夜の祈り

2010-03-12 | Classical

Rauta_vigilia カトリックでは6月24日を洗礼者ヨハネ(バプテズマのヨハネ)の誕生日として祝う。イエスの誕生日が冬至の祭りと習合したように、ヨハネの誕生日は夏至の祭りと集合したのだろう。北方の国々では緑の葉や花で飾った柱を広場の中央に立て、人々はその周りを踊りながら夜を明かすという。メイポールみたいなものを想像すればいいんじゃないかと思う。

 ラウタヴァーラの“Vigilia”は洗礼者聖ヨハネを追悼する徹夜祭のための音楽。混声合唱と4人の独唱者たちによって歌われ、「晩課」(14トラック)と「朝課」(20トラック)の2曲からなる。英語でいうと「イヴニング・サーヴィス」と「モーニング・サーヴィス」なのだが、トーストは出ない。「晩課」は日没時、「朝課」は日の出の時間帯に行われるおつとめのこと。
 ブックレットにフィンランド正教会の委嘱によって書かれたとあるが、そもそもフィンランドに正教会なるものがあることを知らなかった。6月の祭りで歌うものかどうかも不明。この録音はコンサート・ヴァージョンだそうで、ラウタヴァーラが作曲した部分のみが演奏されている。

Rautavaara: Vigilia
1. Vespers (1971)
2. Matins (1972)
Finnish Radio Chamber Choir/Timo Nuoranne
Jyrki Korhonen, bass
Topi Lehtipuu, tenor
Pia Freund, soprano
Lilli Paasikivi, mezzo soprano
-Recorded 1997
Ondine Inc. ODE 910-2

 器楽もオルガンもない無伴奏で、全体としては普通に祈りの音楽である。厳粛さや荘厳さはなく、19世紀の西欧合唱曲を聴いているよう。クラスターやグリッサンディがときおり20世紀音楽らしさを感じさせるが、これは東方教会の唱法を活かしているとも考えられる。モダンというよりミステリアスに響いて興味深い。
 歌詞はヨハネ関連のものかと思いきや、「わが魂よ、主を称えよ」と「詩篇」の章句が歌われたり聖母を讃えたりとさまざま。「朝課」のほうではイエスの復活も扱われる。おそらくおつとめの要所要所で歌われるものなのだろう。あるいは連祷の合い間にこういう(言っちゃ悪いが)息抜き的な合唱が入ることで、飽きずにおつとめが済ませられるんじゃないだろうか。

Classical Index

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迷宮へ

2010-03-11 | Classical

Montsalvatge_1 モンサルヴァーチェ(1912-2002)はハープ協奏曲といくつかのピアノ曲について書いただけだった。かれは1912年3月11日生まれ、スペインの20世紀後半を代表する作曲家のひとり。オペラ『長靴をはいた猫』(1948)はじめバレエ音楽、室内楽、ピアノ曲、歌曲などさまざまなジャンルの作品がある。一般的には『5つの黒人の歌』を中心とする歌曲、『イヴェットのためのソナチネ』などのピアノ作品が有名なようで、録音も幾種類か出ている。まだまだ録音が少ないというのが実情だ。
 モンサルヴァーチェはよくカタルーニャ民謡を素材にしているとか民族主義的な作風だとか書かれているが、それは一部の作品に限られる。かれの力作、主要作はたいていピレネーの北側の音楽に基礎をおいており、ミヨーのような多調音楽、さらには無調や十二音などの前衛的手法が採用されている。

Xavier Montsalvatge: Orchestral Works
1. Laberinto (1971)
2. Folia Daliniana (1996)
3. Sortilegis (1992)
4. Sinfonía mediterránea (1948)
Orquesta Filarmonica de Gran Canaria/Adrian Leaper
-Recorded 1998
ASV CD DCA 1060

 作曲年の最も古い『地中海交響曲』(1948)は前衛手法を採り入れる前の作品。第1楽章冒頭は海の夜明けのようであり、水平線に太陽が顔を出すと海辺の町が胎動をはじめる。朝凪のなか、昇り始めた朝日があたりをくまなく照らし、幸福感に満ちたひとときとなる。そういう表記があるわけじゃないが、何度聴いてもそう感じてしまう。印象派ふうなのだ。つづく二つの楽章は狂詩曲ふうであり、交響曲らしい雰囲気はない。とはいえ音楽そのものは伝統的な機能和声に基づいたもの。最終楽章も描写的で、ドビュッシーの『海』のような華やかさ、力強さを持っている。

 1971年の『ラベリント』は「迷宮」、ミノタウロスのラビリンスである。「迷路」「テセウスとアリアドネの出逢い」「ミノタウロスの来世のために」という3曲で構成される交響詩。十二音技法が用いられ、作曲技法のすべてを試みたかのような多彩な展開をみせる力作。管楽器、打楽器の用法が素晴らしく、心地よい緊張感に貫かれている。第2曲のアリアドネのテーマはやがて蜘蛛に変えられてしまう運命を予見するかのように哀しげである。第3曲にはスペイン舞曲のリズムが採り入れられている。

 『フォリア・ダリニアーナ』(1996)はフルート、オーボエ、クラリネット、バッスーン、弦楽と打楽器のためのシンフォニエッタ。サルヴァドール・ダリの生涯と作品をヒントに書いたといい、スペインのフォリアをベースにしながらも前衛的な作品に仕上がっている。調性があるようでないあたり、シュールかも知れない。若干ユーモラスな印象だが狂気を感じさせる部分もあり、独奏者たちは超絶技巧を求められる。

 もうひとつは『占い師』(1992)。指揮者コンクールのために書いたものだそうで、各セクションがややこしく入り組んでいるのはそのためか。8分ほどのかっこいい曲である。

Classical Index

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無人島ドビュッシー

2010-03-09 | Classical

Wg_debussy ドビュッシーのピアノ曲を聴きたいと思ったン十年前、ガイドブックを見ると圧倒的に支持されていたのがヴァルター・ギーゼキングのレコードだった。そのときすでに録音から四半世紀ほどが経っていたのだが、新しいステレオ録音めじろ押しの中で、先生方はまず第一にギーゼキングのモノラル録音を推しておられた。真に受けて数枚のLPを買い込み、少々音が悪いのを気にしながらもよく聴いていた。
 それから時が経ち、録音されてあやうく60年になろうとしている今、相変わらずギーゼキングがわたしのベストである。無人島ドビュッシーはこれだ。ま、実際はステレオ録音のフランソワなどもよく聴くわけだが、どっぷりドビュッシーワールドに浸りたいときはギーゼキングを選んでいる。

Debussy: The Complete Works for Piano
Walter Gieseking, piano
Orchester des Hessischen Rundfunks/Kurt Schröder*
-Recorded 1951-55
EMI Classics 5 65855 2 (4CDs)

 それほど聴き較べたわけではない。チッコリーニは安定感・安心感があるが面白味に欠け、ベロフは新鮮だが音色に違和感があり、安川さんは丁寧だがキレがもの足りなく、ミケランジェリは美しいが神経質に過ぎ、残ったのがギーゼキングとフランソワだったのだ。天才的なひらめきのフランソワ。深読みのギーゼキング。実際はどうか知らない。聴いているとそんな印象をうけるということ。

 ギーゼキングのドビュッシーはダイナミックである。強弱の振幅が大きい。雰囲気だけのきれいなドビュッシーではない。とっつきにくい『12の練習曲』がこれほど聴き応えのある面白い曲集だと分からせてくれるのはギーゼキングくらいのもの。『前奏曲集』など印象主義時代に入ってからの曲は、旋法、和音などの精妙さが繊細なタッチで再現されていて、見事というしかない。「沈める寺」のような大きい起伏のある曲はとくにうまい。
 『アラベスク』や『ベルガマスク組曲』など比較的初期の作品も情感に流れず、むしろ淡々と弾き進む。思い入れたっぷりの演奏がお好きな人にはもの足りないかも知れないが、ギーゼキングの演奏は飽きがこない。

 CDにはLP(たしか6枚のバラ売りだった)になかった『ピアノと管弦楽のための幻想曲』が収録されている。これのみが1951年フランクフルトでのライヴで、ほかはアビーロード・スタジオで録音されている。最近かつてのLPに似た肖像画入りデザインで4枚バラ売りが出ているが、『幻想曲』は入っていないもよう。

《収録曲》
01. 前奏曲集 第1集 Préludes I (1909-10)
02. 前奏曲集 第2集 Préludes II (1912-13)
03. ピアノのために Pour le piano (1894-1901)
04. 版画 Estampes (1903)
05. 映像 第1集 Images I (1905)
06. 映像 第2集 Images II (1907)
07. 子供の領分 Children's corner (1906-08)
08. 12の練習曲 12 Études (1913-15)
09. マスク Masques (1904)
10. スケッチブックより D'un cahier d'esquisses (1903)
11. 喜びの島 L'Isle joyeuse (1904)
12. レントよりおそく La plus que lente (1910)
13. 小さな黒人 Le petit nègre (1909)
14. 英雄的な子守歌 Berceuse héroïque (1914)
15. ハイドンを讃えて Hommage à Haydn (1909)
16. ベルガマスク組曲 Suite bergamasque (1890/1905)
17. ボヘミア舞曲 Danse Bohémienne (1880)
18. 夢 Rêverie (1890)
19. マズルカ Mazurka (1890?)
20. ロマンティックなワルツ Valse romantique (1890)
21. 2つのアラベスク Deux arabesques (1888-91)
22. 夜想曲 Nocturne (1892)
23. スティリー風タランテラ Tarantelle Styrienne (1890)
24. バラッド Ballade slave (1890)
25. ピアノと管弦楽のための幻想曲 Fantaisie pour piano et orchestre (1889-90)*

Classical Index

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歴史的ピアノを聴く

2010-03-08 | Classical

Burnett1 Burnett2 英国のレーベル「アモン・ラ(Amon Ra=エジプトの神の名)」は歴史的楽器を用いた録音の宝庫で、ピアノ関連でもいくつかの魅力的なリリースがある。セイディスク(Saydisc)の一部門をなす弱小レーベルだが、アイテムを容易に廃盤にしないのがいい。

 写真のアルバムのピアニストはいずれもリチャード・バーネット。ケントにあるフィンチコックス・コレクション所蔵のさまざまなピアノが使われている。曲とピアノの関連づけがなされており、ジョン・フィールドの作品はロンドンのクレメンティ製、シューベルトはヴィーンのグラーフ製のピアノで聴くことができる。またハイドンが愛用したスクウェア・ピアノ(4オクターヴ半)やクレメンティのキャビネット・ピアノ(アップライト型6オクターヴ)など、比較的珍しいものもある。楽器の保存状態もよい。

The Golden Treasury of Historic Pianos
Richard Burnett plays historic pianos by Rosenberger, Fritz,
Clementi, Erad, Broadwood, Henschker, Walter and Graf
-Recorded 1977-91
Amon Ra CD-SAR 64

The Romantic Piano
Richard Burnett plays historic pianos by Broadwood, Graf,
Fritz, Rosenberger, Collard and Clementi
-Recording date unknown
Amon Ra CD-SAR 67

 登場する作曲家はほかにモーツァルト、ベートーヴェン、ヴェーバー、ゴッチョーク(ゴットシャルク)、メンデルスゾーン、ショパン、シューマン、ブラームスなど。ソナタの場合は一楽章のみだったりするが、『子どもの情景』は全曲が収められている(写真右)。これはグラーフが用いられ、ブックレットには製作者グラーフとシューマン夫妻とのエピソードが紹介されている。読んでも面白いアルバムなのである。

 左のアルバムは曲によってフルートやクラリネット、弦楽四重奏が加わる。既出の室内楽アルバムからの抜粋らしく、それらももちろん古楽器のみによるアンサンブル。イアン・パートリッジの歌うベートーヴェン歌曲まであり、ローゼンベルガーによる歌伴が聴ける。

 使用したピアノはすべて写真を掲載。今みたいな黒いピアノはひとつもない。ピアノはまだ工業製品ではなく、工房で職人たちが一台一台シコシコ作っていたのだと感じさせる。木目の活かされた温かみのある工芸品といったおもむき。そんな写真を眺めながら200年ほど昔の音色が楽しめる。

Classical Index

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ロマンティック・バーバー

2010-03-05 | Classical

Barber_2 1990年代に始まったスラットキンによるRCAへの一連の米国音楽録音はコープランドピストンシューマンなどを含む一大シリーズになっていた。とくに高く評価されたものはなかったような気がするが、バーバーの協奏曲を集めたこの一枚は竹澤恭子が参加したことで少しばかり話題になった。数年前にリリースされた廉価盤には『カプリコーン協奏曲』は含まれず、『ピアノ協奏曲』(1962)が入っている。

Samuel Barber: Concertos
1. Concerto for Violin and Orchestra, Op.14 (1939-40)
2. Capricorn Concerto, Op.21 (1944)
3. Concerto for Cello and Orchestra, Op.22 (1945)
Kyoko Takezawa, violin(1)
Jacob Berg, flute(2)
Peter Bowman, oboe(2)
Susan Slaughter, trumpet(2)
Steven Isserlis, cello(3)
Saint Louis Symphony Orchestra/Leonard Slatkin
-Recorded 1994 & 95
RCA 09026-68283-2

 『ヴァイオリン協奏曲』はあの有名な『アダージョ』の5年後に完成。驚くほどロマンティックなコンチェルトである。2歳年下のケージがすでにプリペアード・ピアノの作品を書き始めていたことを思うと、バーバーの保守性がわかるというもの。とはいえ『アダージョ』からはかなり進化しており、技巧的な最終楽章は無調が支配的になっている。第1楽章の叙情的な美しさからするとかなりの落差。ロマン派の音楽といって差し支えないかと思うが、新古典主義の作品ともいえる。メランコリーの影が差すのはバーバーらしさである。
 竹澤はこの振幅の大きい曲を見事に弾きこなしている。競合盤を聴いたことがなくて言うのもナンだが、第1楽章、第2楽章の叙情性も、第3楽章の常動曲の華麗さも充分に表現されているんじゃないだろうか。

 『カプリコーン協奏曲』(1944)はフルート、オーボエ、トランペットという3人の独奏者とストリングスによる室内協奏曲である。カプリコーンというのは作曲家の山荘の名前で、標題音楽ではない。バロックのコンチェルト・グロッソの様式に倣っているが、プロコフィエフに通じるモダニズム作品で調性感は希薄。第2楽章に叙情的なパッセージが現われるものの緩徐楽章を持たず、リズミカルで少しばかりユーモラスなのが特徴だ。

 その翌年の『チェロ協奏曲』はたいへんな力作。独奏者にさまざまな奏法と高度な技巧を要求するだけでなく、管弦楽にも多彩な表現を求め、スコアは複雑化している。この厚さはブラームスからレーガー、ヒンデミットに連なるもので、米国より欧州の伝統を感じる。そこにバーバーの個性である叙情味(というより哀愁か)が加わり、いっそう魅力を増している。
 非常に難しいため、録音は思ったほど出ていない。聴いた範囲ではウォルフィッシュの豪快な演奏が面白かったが、イッサーリスの落ち着いたアプローチのほうがバーバーの繊細な情感を表出するには適しているだろう。

Classical Index

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