諏訪山岳会公式ブログ

諏訪地域の山好き、クライミング好きが集まって、ウラヤマからヒマラヤまで四季を通じてオールラウンドに活動しています。

戸隠・西窟尾根

2016年02月14日 | アルパインクライミング

戸隠西窟尾根


2016年2
1112日    参加者:U山、S原、F見(お試し)

戸隠・西窟尾根に行って来ました。

昨年2月末に天候悪化で途中から引き返したルートですが、今回は天候にも恵まれ、稜線まで行くことができました。今年は暖冬ですが戸隠はやはり甘くはなく、二日間、目いっぱいの山行でした。



11 晴れ

奥社入口の駐車スペースには数台の車しかおらず、パッキング後出発。戸隠も見た目、積雪は昨年より少な目の様子。随神門でわかんを付け、鏡池へ向かう踏み跡を辿り、途中から樹林に入り西窟尾根に向かってラッセルを始める。わかんを付けていても膝から腰くらいまでで、根雪の上に新雪が50センチくらい積もっている感じ。

 

   

 

途中で後ろから東京の二人パーティが追いつき、5人で交代でラッセルすることに。この二人とは翌日まで前後左右しながら行動することになった。人数が増えありがたいが、急登での腰ラッセルは順番が来るとやはりきついものがある。それでも駐車場からちょうど2時間ほどで尾根に出ることができ、傾斜が落ち樹間から青空の中、行く手の稜線や背後のスキー場が望まれるようになり気持ちが良い。

尾根が痩せてくる手前でハーネスを付ける。ここからアイゼン+わかんでゆくが、ここでロープを使用。ここは二人Pが先行し、ブッシュのリッジ登りと小ピークのトラバース。その先の岩峰で二人は右へ懸垂、当方は昨年同様左に20m程下降し、岩峰を草付きブッシュ帯を左上。久々のフル装備での急傾斜の草付き登りに闘志に火が付き、ロープを伸ばして尾根に上がる。

その後15m程懸垂してコルへ降り、その後再びブッシュの尾根を腕力で登りかえすとちょっと眺めの良いピークに至り、小休止。厳冬期のはずなのに春山の様な日差しとそよ風、気持ちが良い。

 

     

 

その先は懸垂交えて小ピークをラッセルしながら二つほど越えたが、途中、右下からのトレースが合流、結局二人Pは核心部をトラバースでパスして登ってきたらしい。時間も遅くなってしまったので、昨年テントを張った場所で本日終了とし、設営。テントに入り、お決まりの水作りをしながら一杯をはじめ、酔いの回った頃夕食とする。この日はU山準備のバターたっぷりぺミカンをフリーズドライのビーフシチューに投入したが、カロリーたっぷりで味も良くなかなか豪華な夕食となった。

 

諏訪5時―奥社PA8時-随神門8時半―尾根上10時―1600付近設営17

 

12日 晴れ後曇り

5時頃起き、明るくなるのを待って出発。朝焼けで稜線が赤く染まる中、アイゼン+わかんで二人Pのトレースを辿る。

 

夏道と合流する西窟でわかんを外し、急な雪壁~岩稜を登る。途中、先行していた二人Pに追いつき、先行させてもらう。今日もラッセルがきつい。

 

  

 

尾根を辿ると鎖場が出てきたのでロープを使用して通過、その後も岩場・鎖場・雪壁など足下が切れ落ちている所が多く、コンテ含めて稜線までロープは出したまま行動した。

蟻の戸渡はU山がロープを伸ばし細い雪のリッジに最初にトレースをつける。雪に埋もれた鎖とスノーバーの他はなかなか支点も取れず、確保している方も緊張する。戸渡り手前の大岩からでは50mロープで3分の2くらいまでしか届かず、途中の雪面でピッチを切る。F見・S原と続き、2P目はS原が先行し、モミの木のあるところまで行き後続を確保。結局、蟻の戸渡は見通しの良い安定した支点間の距離は7080mはありそう。 

 

   

 

モミの木から先は雪の尾根となりコンテで登り、ピーク下の岩場で念のためスタカットで登ると八方睨。そこまで見えなかった高妻や日本海方面など、文字通り八方が眺められ、大展望の中、三人で握手を交わした。

 

 

 

しばらく休み、下山にかかる。蟻の戸渡はトレースはあるが下り方向も決して楽ではない。ロープを2本つないで使ってみたが、結局手際が悪く時間を要してしまったり、お試しのF見さんに緊張を強いてしまったりと反省点が残った。

その後は懸垂を3回し、ロープをたたむ。西窟で登攀具をデポし、一度テント場に戻り撤収、西窟まで登りかえして百間長屋沿いの夏道を下山にかかる。二人Pは先行して下山しており、トレースをありがたく使わせてもらう。

午前中は快晴だったが、昼頃には雲が増え、富士山の方にはレンズ雲も出現、3時過ぎにはすっかり曇ってたくさんのレンズ雲が出て天候悪化は予報通りだが、降る前には降りられそう。

 

   

 

百間八軒長屋で小休後、急な尾根を立派なトレースに助けられながら下山、どうやら奥社から百間長屋手前まで登高した人たちが居たらしい。

奥社でお参りをし、無事下山できたお礼をした後、誰もいない参道を駐車場まで戻り、立ち寄り温泉へ。スキー客で混んでいてゆっくりできなかったが汗を流し、戸隠そばを食して帰路についた。

 

1600m6時半―西窟7時-蟻の戸渡9時―八方睨10時―西窟13時―1600m―西窟14時―奥社16時―奥社PA16時半―神告げの湯17時―諏訪21

***
会員も使う人が多くなった手袋「テムレス」、今回は初日は3人とも使いました。戸隠の様な湿雪ラッセルでは防水性の良いテムレスは大変有効でした。ただ、通気性をうたい文句にしてはいるものの、どうしても汗をかいて中から蒸れ、行動終了時には内側が湿ってしまい、テント内で指先までちまちまとひっくり返して干しました。その他、全体の長さが短く深雪ラッセル時に手首から雪が入る、手首紐が付けられない、など改良されたら、より使いやすくなると思いました。



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1 コメント

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Unknown (U山)
2016-02-15 20:43:48
おかげさまでようやく雪の戸隠の主稜線に立つことができました。ピークからはいつもとは違う山並みが見えて新鮮でした。そして眼下には切り立った雪稜の数々。これからも気力と体力と相談しながら戸隠の雪稜をトレースしていきたいと思います。
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